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さよならの儀式 宮部みゆき

宮部みゆきのSF短編集。SF小説はその世界観に入り込むまでが大変なので、少し苦手意識があるが、本書はさすがに宮部みゆきの文章、普通の現実世界との類似点と相違点の示し方が自然で分かりやすく、もしかしたら自分のSFに対する苦手意識を払拭できるのではないかと感じられる気がした。短編集だけに最後にスカッと全ての謎が解明という訳にはいかない話が多いが、これなら楽しさ先行で読めるしSFの擬似世界を堪能できると思った。(「さよならの儀式」 宮部みゆき、河出書房新社)
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Story Seller Annex  新潮社編集部

人気作家の小説と文芸評論をまとめたアンソロジー。このシリーズは2冊目だが、1冊目同様色々な作家の色々な作品を堪能できるのが嬉しい。有名な作家ばかりなので新しい作家との出会いという要素は皆無だが、色々読むことで各作家の持ち味がよくわかるし、こんな文章も書いているんだといった発見もある。まだ何冊かあるようなので、あまりまとまった時間が取れない旅先などで読みたいなぁと思った。(「Story Seller Annex」 新潮社編集部、新潮文庫)
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人形劇 9月0日大冒険

人形劇団ひとみ座の公演。大人になって人形劇を見るのは初めてだったが、予想をはるかに超える面白さ。子どもが見て楽しいのはもちろんだが、人形の細かい動きや舞台の転換などは大人をも唸らせるところが随所に見られた。劇団創設70年ということらしいが、その年月に培われた膨大な「観客を楽しませるノウハウ」があるのだろう。さっそく近くで行われる次の公演は何かなと検索してしまった。
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いけない 道尾秀介

好きな作家の新刊。自殺の名所とされる場所で起こる3つの全く異なる殺人事件が事件関係者や事件を担当する警察の目線で記述される連作集。この小説の特異な点は、終章で3つの事件が繋がってほぼ全ての謎が明らかになるのだがそれが読者にしか見えないこと、各章の間に地図やイラストが挿入されていてそれが事件の真相の一端を暗示していることなどだろう。しかも、最後まで読み終えても何故だか全てが分かったような気分になれないという不思議な読後感。賛否両論あるかも知れないが、個人的にはこういうミステリーもありだなぁと妙に納得した一冊。(「いけない」 道尾秀介、文藝春秋)
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まひるまの星 吉永南央

主人公のおばあさんが、探偵というほどではないが、近所のちょっとした謎や問題を自然体で解き明かしていくシリーズの第5弾。今回は、近所のお祭りに関わる問題に関わるうちに、自分の母親から大昔に言われた謎の言葉が結びつき、図らずも町の大きな闇を暴いてしまうという内容。老人にありがちな物忘れとかをしつつも、人生の終盤に悔いを残したくないという感覚からの思いがけない行動力が問題解決の鍵となったりする。こうした物語のあやは本シリーズならではのものだ。(「まひるまの星」 吉永南央、文春文庫)
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ショー ディズニーオンアイス2019

昨年に続き2度目の鑑賞。音響や照明が、小さい子どもでも怖がらないソフトさと大人も楽しめるインパクトをちょうど良く両立させたような絶妙さを持っているのに感心した。ディズニーの映画を下敷きにした内容のショーなので、映画を見ていない大人よりも、映画を見ていてストーリーも歌も知っている子どもたちの方が俄然ノリが良く、終わってからディズニーの映画を見てみたくなった。
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サッカーと人種差別 陣野俊史

サッカーという競技を巡る様々な差別に関する事件を取り上げた解説書。本書を読むと、サッカー場で起きた様々な人種差別事件やサッカー選手個人の起こした騒動などの多さに驚かされる。また、サッカーという競技が何故国民意識を熱狂させるのか、何故サッカーを巡る事件が何度も繰り返されるのかといった様々な疑問が沸き起こってくる。本書で紹介されている「クネル」というジェスチャーについては初めて知ったが、広い世界にはこうしたタブーとされるものが他にも色々あり、それを自分のような人間、あえて言えば多くの日本人は意識しないまま無頓着に生きているということを強く感じた。(「サッカーと人種差別」 陣野俊史、文春新書)
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後悔病棟 垣谷美雨

毎日末期ガンの患者と向き合いながら、自分には患者の気持ちを察するデリカシーがないのではないかと悩む若い女性医師が主人公の物語。主人公はある日不思議なものを拾い、それを持って患者と対峙する。設定は荒唐無稽だが、読んでいるうちに読者は本書においてそのアイテム自体に大きな意味があるのではなく、あくまで話をスムーズにするためのものにすぎないと気づく。人が人生の大きな分岐点に差し掛かったとして、後からその時の選択を云々ことにどういう意味があるのか、違う道を進んだ時にその方が良かったかもしれないと言えることがあるのかどうか。結局はその時の自分の選択を信じるしかないのだが、それをどう納得したら良いのかを考えさせられる作品だ。(「後悔病棟」 垣谷美雨、小学館文庫)
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Story Seller 新潮社編集部編

10年くらい前に刊行された色々な作家の短編を集めたアンソロジー。わずか10年前だが、すでにその時に大家となっていた作家もいれば、売り出し中の作家もいる。こうして10年後にそのラインナップを見るといずれも依然として大御所だったりその後に大ブレイクしたりと、本書の選考眼の確かさが際立つ。自分のこの10年の読書もここに掲載された作家たちに導かれてきたんだなぁと思える贅沢な一冊。(「Story Seller」 新潮社編集部編、新潮文庫)
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落語 春風亭一之輔 独演会

人気落語家の独演会。猛暑にも関わらず会場はほぼ満員。開口一番の後、一之輔によるそれぞれ約一時間の古典落語が2本。古典落語をかなり大きなアクションを交えて少し現代風にアレンジした芸風で見ごたえはあったものの、やはり一時間の演目2本となると最後の方は腰が痛くて辛かった。
春風亭一佐 手紙無筆
春風亭一之輔 青菜
春風亭一之輔 唐茄子屋政談
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女は帯も謎もとく 小泉喜美子

ミステリー好きの築地の若い芸者さんが一人称で語る連作ミステリー。その芸者さんが身の回りで起きる大小様々な事件を語るのだが、探偵役になって謎を解くというベタな話ではなく、被害者と最後に言葉をかわした証言者になったり被害者の第一発見者になったりしつつ、担当の刑事さんに解決のヒントを与えたりトンチンカンな推理をしてしまったりと、そのバラエティさが意表をつく内容。ミステリーとして面白いというよりもその語り口や築地あたりの風情を感じる描写がたまらなく面白い。本書が書かれたのは40年以上前のいわゆる本格もミステリーといったパズル的なミステリーが生まれる前のことだが、自分には妙に肌に合うような一冊だった。(「女は帯も謎もとく」 小泉喜美子、光文社文庫)
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連続殺人鬼カエル男ふたたび 中山七里

大昔に読んだ作品の続編。どんでん返しの連続でものすごく面白かったという記憶はあるのだが、肝心のストーリーや固有名詞が思い出せないので、ネットで前作の題名とネタバレ注意で検索してそれを読んでから読むことにした。本作も前作に劣らないどんでん返しの連続の面白さ。前作の初めからカウントすると何回サプライズがあったことになるか、ここまで複層的なミステリーはそれだけで稀有だと思う。さらに法律の陥穽をついた内容も読み応えがある。巻末に登場人物の相関図付きの著者の作品リストが載っていて、次に何を読もうかと思いながらそれもしっかり読んでしまった。(「連続殺人鬼カエル男ふたたび」  中山七里、宝島社文庫)
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週末島旅 小林希

日本の色々特徴のある島を巡る旅行記。最近、アジアの鉄道旅とか世界の奇食巡りなど変わった旅行ものを読むことが多かったせいか、本書を読むと非常に真っ当で穏やかな旅行記に思える。最初はそれが少し物足りない感じだったが、読み進めていくうちに本来の旅のあり方を思い出させてくれているような気がしてきた。本書では、それぞれの島の個性が、うさぎの多い島、猫の多い島、祭りが特徴的な島、街並みが綺麗な島、食材の豊かな島といったひとつのテーマを中心に語られる。そのテーマひとつひとつが一般的な旅の目的と符合していて旅情をそそられる。(「週末島旅」 小林希、幻冬舎文庫)
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落語 小遊三、松之丞、ナイツ他


落語、講談、漫才の人気第一人者による演芸会。平日の昼間ながら大きなホールがほぼ満席。高齢化社会の進展とともに気楽に楽しめる落語や講談の人気が高まっていることがよくわかる。三遊亭小遊三は力の抜けた巧妙な味、神田松之丞はユーモアと迫力が調和した話芸、ナイツは今話題の闇営業問題をふんだんに取り入れたライブならではの笑いで、それぞれ存分に楽しめた。最後の春風亭小朝は落語なのか何なのかよく分からないまま終わってしまった。

春風亭昇りん 真田小僧
三遊亭小遊三 替わり目
神田松之丞 扇の的
ナイツ 漫才
春風亭小朝 涙をこらえてカラオケを
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ウォーキングウィズダイナソー

昨年横浜開催だった恐竜ショーが今年は何故か埼玉に場所を移してしまったので、今年は横浜でやるこちらの恐竜ショーを見ることにした。色々な恐竜が本物のように動き回るのでビックリ。特に最後の巨大なティラノサウルスレックスの咆哮は圧巻だった。一階の比較的ステージに近いセンター席というところで見たが、恐竜が近くに来た時の迫力はすごかったものの、前の席との段差がないので下半分くらいは大人でもほとんど見えず、キッズには少し可愛そうな設営。二階のアリーナ席の方がステージからは遠くなってしまうが全体を見回せるという利点があったようだ。
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