山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

富士山樹海の森のシダ探索  令和2年5月31日

2020年06月02日 | シダの仲間
 4月中旬に訪れた時にはまだ何も出ていなかったウサギシダ(アオキガハラウサギシダ)であるが、もう葉を展開している頃だろう。おそらくその他のシダも茂り出している頃だろうし、見ておきたい花もある。天気予報では1日曇りの予報だったが空は暗い雲で覆われていて雨が降り出してもおかしくない天気である。時刻はもうお昼近くになってしまい、行けるところまで行って引き返すことにする。


    いきなり出てきたこのシダ、たくさん生えている。


    色と葉の質はベニシダの仲間のようだが最下小羽片が大きくイタチシダの仲間のように見える。トウゴクシダにしては色が薄い。


    ソーラスはまだ出始めたばかりでしっかりとは見えないが、包膜があるように見える。


    そして予想したシダとは全く違うのがこの幅が広い大きな鱗片である。これはまだ出会ったことが無いシダである。答は後ほど。


    シノブカグマ。上のシダと似ているがこちらのほうが小羽片も全体的にも尖っている感じを受ける。


    別株のシノブカグマ


    根元の鱗片は似ているが上に付いている黒くて細い鱗片が違う。


    シノブカグマの特徴は中軸に付いているこの黒くて細い鱗片である。


    イタチシダの仲間。これはヤマイタチシダだろうと思っていたが鱗片を良く見てみるとそうでは無いように見えてきた。


    ソーラス。これで区別するのは難しい。


    細いソーラスは上向きに反り返っている。おそらくこれはイワイタチシダと思われる。


    芽吹いたばかりの軸に付いている鱗片も反り返っている。


    樹海の中にもあったキヨタキシダ


    そしてこれが今回のお目当てのウサギシダ。昨年よりも減っているように見えるのだがこれからまだ生えてくるのかも知れない。


    柔らかい葉質のウサギシダ。新緑で美しい。


    至近距離で見られる個体は少なかった。

 ウサギシダを観察したあたりで小雨が降り出してしまう。ここで引き返そうかとも思ったのだが雲の厚さはそれほどでは無さそうなのでザックカバーだけ付けてもう少し奥まで行ってみることにする。ところが、目的の花の咲くあたりまで行ったところで雨脚が強くなりカッパを着て歩くことになる。レンズの結露が始まってしまい、カッパの胸元にカメラを抱きかかえながら歩くことになる。


    ギンリョウソウ


    クルマバソウ


    見たかった花はこれ。コアツモリソウ。


    まだ咲き始めたばかりで大部分が蕾だった。


    別の場所でも発見した。こちらはまだ完全に蕾。


    見慣れないテンナンショウ属に出会った。葉より低い位置に花が付いている。


    花はもう終わりかけて痛んでいる。葉茎は2本出て葉軸は短く、5~7枚の葉を出している。


    付属体は白、ないしは薄い紫色。おそらくこれはユモトマムシグサの仲間のオオミネテンナンショウではないかと思う。


    こちらが普通のマムシグサ。


    長い葉軸から葉が出ている。


    そしてこのシダの正体は?


    これを見ると最下小羽片が大きくてイタチシダの仲間ということは想像がつく。


    幅の広い鱗片。帰ってから図鑑で調べてみると、これはミヤマイタチシダという初見のシダであることが分かった。

 富士山樹海の森にたくさん生えていたシダはミヤマイタチシダであるということが分かった。昨年も見ていたはずだが、おそらくはベニシダか何かだろうということで片付けていたのだろう。シダの知識はだいぶ付いてきたようには思うのだが、ちょっと場所が変わると分からないものがほとんどである。まだまだ勉強不足、かつ観察不足である。しかしまたひとつ新しいシダを知ったことは進歩である。

 ヤマトグサもあるのではないかと足元を良く見ながら歩いたが、残念ながら見つからなかった。今回の場所はツガやヒノキが主体の主に常緑針葉樹林帯であるが、ヤマトグサは広葉樹林の林床にあるのではないかと思っている。機会を見て探してみたい。


    雨に濡れるヤマシャクヤク
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1 コメント

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Unknown (Y)
2020-06-20 19:32:19
クルマバソウ(アカネ科)ではなく、クルマバツクバネソウ(シュロソウ科)が正しいと思います。
下から7・8・9枚目のテンナンショウは気になりますね…。専門家に見てもらったほうが良いと思います。

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