測量法が昭和24年6月3日に公布され、平成元年に満40年を迎えたことを機会に、
測量の意義及び重要性に対する国民の理解と関心を高めることを目的として、6月
3日を「測量の日」として制定しました。
毎年6月3日を中心に企画展等を開催しています。
日本水準原点の一般公開を実施しています。(今年は5月15日でした)
昨年6月上旬に日本水準原点についてアップしました。

今回は、「日本経緯度原点」を取り上げます。
限界線星食などの天体観測をする際、観測地点の位置(東経、北緯、標高)と時刻
が必須です。
現在では、GPSを使い簡単に観測位置が割り出せるが、一昔前までは国土地理院
発行の地形図から東経・北緯の座標を読み取っていた。
正確な日本の地形図をつくるためには、まず日本列島の正確な位置を求める測量を
行う必要がある。測量するためには、地上にひとつの出発点を設けなければならない。
この点の位置は、経度と緯度で表され日本経緯度原点
(Geodetic Datum Origin of Japan)という。日本の緯度経度の原点になるところです。
原点といっても緯度、経度ともゼロの座標ではない。
測量法第11条(測量の基準)と同施行令第2条(日本経緯度原点及び日本水準原点)
で定められた日本の緯度、経度の原点は、
東京都港区麻布台2丁目18番地1地内 日本経緯度原点金属標の十字の交点と
なっている。

日本経緯度原点は、屋外にあり、いつでもだれでも見ることができます。
地下鉄神谷町で下車すると桜田通に出ます。東京タワーを左に見ながら南へ進み狸穴
(まみあな)交差点から右へ広い坂を少し上がると左にロシア大使館が見えます。
大使館の東南の角の道を南に入ります。まもなく突き当たりになりますが、その右
側が日本経緯度原点で標識がありますからすぐにわかります。

この場所には、1874年(明治7)から海軍の観象台が置かれていましたが、明治
21年になって、赤坂区溜池葵町の内務省地理局天象台と合併し、東京帝国大学付属
東京天文台が置かれました。天文観測により経緯度が定められ1892年(明治25)
に日本経緯度原点とされました。1923年(大正12)の関東大震災の際には天体の
位置を環状の目盛盤で読み取る観測用器械(子午環)が破壊されその中心位置も移動
しましたが経緯度の変更は行われませんでした。(2006/09/25 撮影)





引照点は3ヶ所ある
現在の原点数値の示す位置は、記念碑中央の丸い直径8cmの金属標には長さ2cmの
十字の中心ですが、子午環のあった元位置より北西1mのところに相当します。
原点の標高値は明記されていないが、当時の天文台敷地内にあったと思われる、
1等三角点(東京大正)の標高値は25.4mである。

上の写真の説明板によれば
「日本経緯度原点は、我が国における地理学的経緯度を決めるための基準となる点で
ある。明治25年に東京天文台の子午環の中心を日本経緯度原点と定めた。その後、
大正12年の関東大地震により子午環は崩壊し現存しない。このため、日本経緯度
原点の位置に金属標を設置した。 平成13年に測量法が改正され、測量の基準と
して世界測地系を採用することとなった。これにともなう原点の新たな経度、緯度
および方位角の数値は、最新の宇宙測地技術を用いて定めたものである。
原 点 数 値
経 度 東経139°44′28″8759
緯 度 北緯 35°39′29″1572
方位角 32°20′44″756
(つくば超長基線電波干渉計観測点に対する値)
平成14年4月1日 国土地理院」 とある。


2007.1.12撮影
方位角というのは、この地点から茨城県つくば市の国土地理院内にある超長基線電波
干渉計VLBI観測点金属標の十字の交点を見た方位角である。
「これが測量法第11条(測量の基準)と同施行令第2条(日本経緯度原点及び
日本水準原点)で定められた日本の緯度、経度の原点です。
また原点方位角がきまっているのは三角網中の各三角点の位置をきめるために原点
からほかの1点(1点だけでよい)への方位があたえられていなければならない」とある。
なお平成13年の新測量法(世界測地系)と旧測量法(日本測地系)との差は次の通りである。
(旧)東経139°44′40″5020 (新)東経 139°44′28″8759 (差)-11″6261(東に290m)
(旧)北緯 35°39′17″5148 (新)北緯 35°39′29″1572 (差)+11″6424 (南に350m)
「理科年表」に記載されている各地の太陽、月の出入、南中の時刻などは経緯度原点
である旧東京天文台子午環の中心点ではなくて「子午環」のちかくにあった「大子午儀」
の中心が原点になっています。大子午儀跡は、標識もなく計算上の点として残されている
のですが、この位置を東京の代表地点として太陽、月の出入などが計算されます。
両者(子午環と大子午儀)の原点は経度0.5秒、緯度1.5秒の差があり東西に約10m、
南北に約45m離れたところに子午環と大子午儀という2種類の観測機器があったことになる。
[国立天文台:理科年表、暦部 丸善 1996 p3]
「地球」という言葉は、これだけで地面が丸いことを意味しています。17世紀はじめに
中国を訪れたイエズス会士マテオ・リッチによる造語といわれています。
[小学館:日本国語大辞典 第二版 2001]
しかし地球は完全な球体ではなく赤道付近が少しふくらんだ回転楕円体の形をしています。
その大きな理由は地球の自転、公転の際に生じる遠心力の作用があるからです。
半径で21kmほど、ふくらんでいます。さらに実際の地球の表面は起伏があるため、その
ままでは経緯度線が引けません。そこで我が国では明治以来ドイツの天文学者ベッセル
(Friedrich Wilhelm Bessel 1784~1846)が算出した地球の形状を表すベッセル
楕円体を準拠楕円体として採用し、その表面に三角測量や水準測量、ついで狭い部分の地形
測量の結果を載せていくことで地図を作成していました。1924年(大正13)マドリッド
で開かれた万国測地会議で米国のヘイフォード(John Fillmore Hayford 1868~1925)
が発表した数値をもとにした国際回転楕円体を決定しましたが、このときすでに、我が国と
ドイツはベッセルの楕円体、米英仏は英国のクラーク(Alexander Ross Clarke 1828~
1914)の楕円体を採用しており、わずかな差であったのでそのままつづけていました。
ところが近年GPS(人工衛星の信号による位置決定システム)などの技術革新により極めて
正確な地球の測量が可能となってきました。その結果、日本経緯度原点は東南に約450m
ずれていることがわかりました。また日本測地系として経緯度の計算に採用していたベッセル
楕円体は実際の地球より長半径が約700m短いこともわかりました。このようなずれは
日本経緯度原点がおかれた旧東京天文台での鉛直線(回転楕円体に立てた垂線)の方向が
厳密に地球の中心を示さず質量の大きい側にわずかに傾いており鉛直線偏差が生じている
からです。さらに明治以降の地殻変動や技術水準なども影響しています。
日本以外でも同じ状況で各国ばらばらな測量の基準を地球の重心を原点とする世界測地系に
統一されることになりました。わが国では平成13年6月に測量法が改正され、施行は翌年
4月からです。新しい測量法では将来の数値の変化に迅速に対応するため回転楕円体の
長半径や扁平率は政令できめることになっています。国土地理院が発行する地形図の四隅に
記載される緯度、経度は当面、従来の日本測地系の値(黒字)に世界測地系(茶色字)の
値が併記されます。世界測地系によると東京付近の経線は東に約290m、緯線は南に
約350mずれます。これにより日本測地系にもとづく経度、緯度はそれぞれマイナス12秒、
プラス12秒の補正が必要です。これは距離にすると約450mになります。
原点方位角も以前の千葉県鹿野山の一等三角点から、つくば市の国土地理院内VLBI観測点
への方位に変更されました。VLBIは超長基線電波干渉計のことでVLBI観測の成果が
世界測地系への移行の際の基礎データになったためです。原理的にはどこでもよい訳ですが
鹿野山よりも地殻変動が少ないことや観測するうえで便利であることもあげられます。
また方位角は日本経緯度原点とVLBI観測点の双方をGPSで観測を行い得られた座標
から求めています。
地球の大きさと形状 日本測地系 世界測地系 差(世界-日本)
(単位:メートル) (ベッセル) (GRS80)
長半径a 6,377,397.155 6,378,137 +739.85
短半径b 6,356,078.963 6,356,752.31 +673.35
扁平率(a-b)/a 1/299.152813 1/298.257222101
赤道長 全周 40,070,368.1 40,075,016.7 +4,648.6
子午線長一象限 10,000,858.8 10,001,965.7 +1,106.9
法令で定められているのは長半径と扁平率(旧法では扁平度といいます)だけです。
世界測地系の長半径はメートル整数位で定められていますが、細かい精度にしても地球が
完全な回転楕円体でなく近似的に定めているため意味がありません。回転楕円体面よりも
数10m北極周辺はふくれ逆に南極周辺は窪んでいます。また上表の子午線長一象限は
赤道から極までの子午線の長さを表します。
【上西さんの 日本の測量史より】
●東日本大震災後、原点の移動があり法律が快晴されました●
測量法施行令の一部を改正する政令について
発表日時:2011年10月18日(火)14時00分
1.背景
測量法(昭和24年法律第188号)第11条では、基本測量及び公共測量の基準につい
て、位置は地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示することとされています。このう
ち地理学的経緯度は「日本経緯度原点」を、平均海面からの高さは「日本水準原点」を測量
の原点とし、その地点及び原点数値は測量法施行令(昭和24年政令第322号)第2条第
1項及び第2項に規定されているところです。
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴い、日本経緯度原点及び日本
水準原点の移動が確認されました。
原点の位置が移動したことにより地点と原点数値に乖離が生じたことから、測量の正確さ
を確保するため、原点数値を改正します。
2.概要
(1)日本経緯度原点の原点数値の改正(第2条第1項関係)
[1]経度
「東経百三十九度四十四分二十八秒八七五九」を
「東経百三十九度四十四分二十八秒八八六九」に改めることとする。
[2]原点方位角
「三十二度二十分四十四秒七五六」を
「三十二度二十分四十六秒二〇九」に改めることとする。
(2)日本水準原点の原点数値の改正(第2条第2項関係)
「東京湾平均海面上二十四・四一四〇メートル」を
「東京湾平均海面上二十四・三九〇〇メートル」に改めることとする。
(3)施行期日(附則関係)
この政令は、公布の日から施行することとする。
3.今後のスケジュール
閣 議 平成23年10月18日(火)
公 布 平成23年10月21日(金)
施 行 平成23年10月21日(金)
測量の意義及び重要性に対する国民の理解と関心を高めることを目的として、6月
3日を「測量の日」として制定しました。
毎年6月3日を中心に企画展等を開催しています。
日本水準原点の一般公開を実施しています。(今年は5月15日でした)
昨年6月上旬に日本水準原点についてアップしました。

今回は、「日本経緯度原点」を取り上げます。
限界線星食などの天体観測をする際、観測地点の位置(東経、北緯、標高)と時刻
が必須です。
現在では、GPSを使い簡単に観測位置が割り出せるが、一昔前までは国土地理院
発行の地形図から東経・北緯の座標を読み取っていた。
正確な日本の地形図をつくるためには、まず日本列島の正確な位置を求める測量を
行う必要がある。測量するためには、地上にひとつの出発点を設けなければならない。
この点の位置は、経度と緯度で表され日本経緯度原点
(Geodetic Datum Origin of Japan)という。日本の緯度経度の原点になるところです。
原点といっても緯度、経度ともゼロの座標ではない。
測量法第11条(測量の基準)と同施行令第2条(日本経緯度原点及び日本水準原点)
で定められた日本の緯度、経度の原点は、
東京都港区麻布台2丁目18番地1地内 日本経緯度原点金属標の十字の交点と
なっている。

日本経緯度原点は、屋外にあり、いつでもだれでも見ることができます。
地下鉄神谷町で下車すると桜田通に出ます。東京タワーを左に見ながら南へ進み狸穴
(まみあな)交差点から右へ広い坂を少し上がると左にロシア大使館が見えます。
大使館の東南の角の道を南に入ります。まもなく突き当たりになりますが、その右
側が日本経緯度原点で標識がありますからすぐにわかります。

この場所には、1874年(明治7)から海軍の観象台が置かれていましたが、明治
21年になって、赤坂区溜池葵町の内務省地理局天象台と合併し、東京帝国大学付属
東京天文台が置かれました。天文観測により経緯度が定められ1892年(明治25)
に日本経緯度原点とされました。1923年(大正12)の関東大震災の際には天体の
位置を環状の目盛盤で読み取る観測用器械(子午環)が破壊されその中心位置も移動
しましたが経緯度の変更は行われませんでした。(2006/09/25 撮影)





引照点は3ヶ所ある
現在の原点数値の示す位置は、記念碑中央の丸い直径8cmの金属標には長さ2cmの
十字の中心ですが、子午環のあった元位置より北西1mのところに相当します。
原点の標高値は明記されていないが、当時の天文台敷地内にあったと思われる、
1等三角点(東京大正)の標高値は25.4mである。

上の写真の説明板によれば
「日本経緯度原点は、我が国における地理学的経緯度を決めるための基準となる点で
ある。明治25年に東京天文台の子午環の中心を日本経緯度原点と定めた。その後、
大正12年の関東大地震により子午環は崩壊し現存しない。このため、日本経緯度
原点の位置に金属標を設置した。 平成13年に測量法が改正され、測量の基準と
して世界測地系を採用することとなった。これにともなう原点の新たな経度、緯度
および方位角の数値は、最新の宇宙測地技術を用いて定めたものである。
原 点 数 値
経 度 東経139°44′28″8759
緯 度 北緯 35°39′29″1572
方位角 32°20′44″756
(つくば超長基線電波干渉計観測点に対する値)
平成14年4月1日 国土地理院」 とある。


2007.1.12撮影
方位角というのは、この地点から茨城県つくば市の国土地理院内にある超長基線電波
干渉計VLBI観測点金属標の十字の交点を見た方位角である。
「これが測量法第11条(測量の基準)と同施行令第2条(日本経緯度原点及び
日本水準原点)で定められた日本の緯度、経度の原点です。
また原点方位角がきまっているのは三角網中の各三角点の位置をきめるために原点
からほかの1点(1点だけでよい)への方位があたえられていなければならない」とある。
なお平成13年の新測量法(世界測地系)と旧測量法(日本測地系)との差は次の通りである。
(旧)東経139°44′40″5020 (新)東経 139°44′28″8759 (差)-11″6261(東に290m)
(旧)北緯 35°39′17″5148 (新)北緯 35°39′29″1572 (差)+11″6424 (南に350m)
「理科年表」に記載されている各地の太陽、月の出入、南中の時刻などは経緯度原点
である旧東京天文台子午環の中心点ではなくて「子午環」のちかくにあった「大子午儀」
の中心が原点になっています。大子午儀跡は、標識もなく計算上の点として残されている
のですが、この位置を東京の代表地点として太陽、月の出入などが計算されます。
両者(子午環と大子午儀)の原点は経度0.5秒、緯度1.5秒の差があり東西に約10m、
南北に約45m離れたところに子午環と大子午儀という2種類の観測機器があったことになる。
[国立天文台:理科年表、暦部 丸善 1996 p3]
「地球」という言葉は、これだけで地面が丸いことを意味しています。17世紀はじめに
中国を訪れたイエズス会士マテオ・リッチによる造語といわれています。
[小学館:日本国語大辞典 第二版 2001]
しかし地球は完全な球体ではなく赤道付近が少しふくらんだ回転楕円体の形をしています。
その大きな理由は地球の自転、公転の際に生じる遠心力の作用があるからです。
半径で21kmほど、ふくらんでいます。さらに実際の地球の表面は起伏があるため、その
ままでは経緯度線が引けません。そこで我が国では明治以来ドイツの天文学者ベッセル
(Friedrich Wilhelm Bessel 1784~1846)が算出した地球の形状を表すベッセル
楕円体を準拠楕円体として採用し、その表面に三角測量や水準測量、ついで狭い部分の地形
測量の結果を載せていくことで地図を作成していました。1924年(大正13)マドリッド
で開かれた万国測地会議で米国のヘイフォード(John Fillmore Hayford 1868~1925)
が発表した数値をもとにした国際回転楕円体を決定しましたが、このときすでに、我が国と
ドイツはベッセルの楕円体、米英仏は英国のクラーク(Alexander Ross Clarke 1828~
1914)の楕円体を採用しており、わずかな差であったのでそのままつづけていました。
ところが近年GPS(人工衛星の信号による位置決定システム)などの技術革新により極めて
正確な地球の測量が可能となってきました。その結果、日本経緯度原点は東南に約450m
ずれていることがわかりました。また日本測地系として経緯度の計算に採用していたベッセル
楕円体は実際の地球より長半径が約700m短いこともわかりました。このようなずれは
日本経緯度原点がおかれた旧東京天文台での鉛直線(回転楕円体に立てた垂線)の方向が
厳密に地球の中心を示さず質量の大きい側にわずかに傾いており鉛直線偏差が生じている
からです。さらに明治以降の地殻変動や技術水準なども影響しています。
日本以外でも同じ状況で各国ばらばらな測量の基準を地球の重心を原点とする世界測地系に
統一されることになりました。わが国では平成13年6月に測量法が改正され、施行は翌年
4月からです。新しい測量法では将来の数値の変化に迅速に対応するため回転楕円体の
長半径や扁平率は政令できめることになっています。国土地理院が発行する地形図の四隅に
記載される緯度、経度は当面、従来の日本測地系の値(黒字)に世界測地系(茶色字)の
値が併記されます。世界測地系によると東京付近の経線は東に約290m、緯線は南に
約350mずれます。これにより日本測地系にもとづく経度、緯度はそれぞれマイナス12秒、
プラス12秒の補正が必要です。これは距離にすると約450mになります。
原点方位角も以前の千葉県鹿野山の一等三角点から、つくば市の国土地理院内VLBI観測点
への方位に変更されました。VLBIは超長基線電波干渉計のことでVLBI観測の成果が
世界測地系への移行の際の基礎データになったためです。原理的にはどこでもよい訳ですが
鹿野山よりも地殻変動が少ないことや観測するうえで便利であることもあげられます。
また方位角は日本経緯度原点とVLBI観測点の双方をGPSで観測を行い得られた座標
から求めています。
地球の大きさと形状 日本測地系 世界測地系 差(世界-日本)
(単位:メートル) (ベッセル) (GRS80)
長半径a 6,377,397.155 6,378,137 +739.85
短半径b 6,356,078.963 6,356,752.31 +673.35
扁平率(a-b)/a 1/299.152813 1/298.257222101
赤道長 全周 40,070,368.1 40,075,016.7 +4,648.6
子午線長一象限 10,000,858.8 10,001,965.7 +1,106.9
法令で定められているのは長半径と扁平率(旧法では扁平度といいます)だけです。
世界測地系の長半径はメートル整数位で定められていますが、細かい精度にしても地球が
完全な回転楕円体でなく近似的に定めているため意味がありません。回転楕円体面よりも
数10m北極周辺はふくれ逆に南極周辺は窪んでいます。また上表の子午線長一象限は
赤道から極までの子午線の長さを表します。
【上西さんの 日本の測量史より】
●東日本大震災後、原点の移動があり法律が快晴されました●
測量法施行令の一部を改正する政令について
発表日時:2011年10月18日(火)14時00分
1.背景
測量法(昭和24年法律第188号)第11条では、基本測量及び公共測量の基準につい
て、位置は地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示することとされています。このう
ち地理学的経緯度は「日本経緯度原点」を、平均海面からの高さは「日本水準原点」を測量
の原点とし、その地点及び原点数値は測量法施行令(昭和24年政令第322号)第2条第
1項及び第2項に規定されているところです。
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴い、日本経緯度原点及び日本
水準原点の移動が確認されました。
原点の位置が移動したことにより地点と原点数値に乖離が生じたことから、測量の正確さ
を確保するため、原点数値を改正します。
2.概要
(1)日本経緯度原点の原点数値の改正(第2条第1項関係)
[1]経度
「東経百三十九度四十四分二十八秒八七五九」を
「東経百三十九度四十四分二十八秒八八六九」に改めることとする。
[2]原点方位角
「三十二度二十分四十四秒七五六」を
「三十二度二十分四十六秒二〇九」に改めることとする。
(2)日本水準原点の原点数値の改正(第2条第2項関係)
「東京湾平均海面上二十四・四一四〇メートル」を
「東京湾平均海面上二十四・三九〇〇メートル」に改めることとする。
(3)施行期日(附則関係)
この政令は、公布の日から施行することとする。
3.今後のスケジュール
閣 議 平成23年10月18日(火)
公 布 平成23年10月21日(金)
施 行 平成23年10月21日(金)