OECDはこのほど日本経済についての報告書を発表、その機会にコーマン事務総長が来日、昨日都内で記者会見を開いています。
OECDには専門分野を持つ日本人スタッフもいて、このブログでも時に引用する加盟国の経済統計など役に立つ情報を提供してくれています。
今回の報告書は経済の諸分野をはじめ人口問題、雇用問題、環境問題、など関係分野にも触れて適切な解説や助言などを含んで、日本として注目すべきポイントも含まれています。
その中でもいくつかの注目すべき点を取り上げてみました。
第1はコロナによる経済への打撃です。これについては、OECD加盟職に較べて、落ち込みは多少軽かったようですが、その後の回復が遅れている点を指摘しています。確かにマスクの取扱いや5類への移行について慎重だったという感じはありますが、回復のスピードは今後の政策次第でしょう。問題はこれからいかに頑張るかでしょう。
第二は金融政策です。OECDがこの所の物価上昇は一時的で早晩沈静とみているようです。これは当たりでしょう。その上で、金利政策について2%インフレを前提に、もっと早く金利政策の転換に動くべきだという指摘のようです。
確かに日銀は、賃上げが低い中での物価上昇なので、金融緩和を続ける必要を強く認識して来たようですが、早晩2%への正常化が予想されるのであれば、早目に金利引き上げに動いてもいいのではないかという政策論も成り立つでしょう。そうしてしていたらどうなっていたかを考えるのも大事かもしれません。
第三は財政赤字の巨大化の問題です。OECDは日本の突出した赤字財政は危険と指摘し、補正予算を安易に積み上げるのは良くない、原油などの輸入企業に補助金を出すの早くやめるべきで、必要な財源は消費税の漸進的な増税で確保すべきという考え方です。
これは日本政府のやり方、何かあるとすぐに補助金を出して票に繋げようとする事の不健全性を暗に指摘しているのでしょう。
原油が値上がりすればその分は末端価格に素直に反映させて国民がエネルギーの値上がりを実感し、対応を考えるという経済原則に沿った行動が重要という意味で、このブログでも安易な補助金は不適切と考えているところです。
財政の健全化についてはコーマン事務局長の記者会見で強く指摘しているようで、OECDの中でも突出した赤字財政には警鐘という所でしょう。
その他、高齢化と労働力の有効活用については定年制の問題なども取り上げていますが、これは日本の特殊事情ですから、日本自身が適切に誤りない対応策を取るべく努力している所でしょう。
嘗ては日本的経営に関心を持ち、プラザ合意以降は円高に苦しむ日本の実情を統計数字で示してくれたDECDです。
日本も積極的に協力しつつ活用できる組織として、その意見は真摯に傾聴すべきではないかという感じがします。