tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

座標軸・原点・度量衡の意義

2024年04月13日 18時12分54秒 | 文化社会

スマホには「位置情報」という機能があって、そのスマホを持って歩いていればどこに行っても「今自分が何処にいるか」解るようになっています。

自分が何処にいるか知られたくないのであれば「位置情報」の機能を切っておけばいいという事の様です。位置情報を切っているという事になりますと何か「胡散臭い」という事になるのではないでしょうか。

動物にも位置情報が本能によってビルトインされているようで、自分の巣は何処かとか、ハクチョウやツルは毎年同じところに来るとか、鮭は自分の生まれた川に帰って来るとかいった行動をします。

人間にはそんな機能はないので、地図や磁石やスマホが必要になるのでしょう。

中学生の時だったかと思いますが、先生が黒板に白墨で小さな点を書きこの点が何処にあるか説明するにはどうするかと言いました。

訳が分からないでいると先生はその点の近くにタテ・ヨコに十文字の長い線を引いて、「この横の線はX軸、縦の線はY軸、この2本の線の交点を原点という。さきほど書いた点はX軸の原点から右に30㎝の真上、Y軸の原点から上に20センチの右真横、だから「原点の右30㎝その真上20㎝と位置を説明できると言いました。

そりゃあそうだ、だけど、先生は勝手に線を引っ張ってその交点(原点)から何㎝といっているので、何でそれでいいのかな、などと漠然と考えていました。

後からだんだん解ってきたのは、先生の言ったのは「方法論」で現実の世界では原点や軸の位置をみんなに共通なものとして決めて使っているのだという事でした。

今は地球上では経度と緯度が正確に決まっていて、世界中の位置情報は共通です。位置情報だけではありません、時間の原点は西暦紀元で共有になり、暦も閏秒が問題になるほど正確に共通になり、距離はメートル原器があり、重さや温度もグラムや℃で、原単位が違う場合は換算式が決まっていて、世界中共通理解が可能です。

中学生の時に先生が引いたX軸とY軸、その交点が原点でそこから何㎝という度量衡の原単位が世界中共通になって、大変便利になりました。

ところで、こうした物理学的な原点や原単位の共通化を経済の面でも利用できないかという事が当然考えられるでしょう。経済の度量衡、つまり経済価値を測る単位は今はドルという事になっています。各国通貨との換算式も固定的に決まっていれば大変便利です。

それを目指したのが戦後のアメリカが主導した「ブレトンウッズ体制」です。価値単位の原点であるドルの価値は1トロイオンスの金(きん)が35ドルと決め、日本円は1ドル=360円といった換算式(円レート)を決めたいわゆる「金為替本位の固定相場制度」でした。

これは1960年代まで続き、この間世界経済は順調な発展を遂げて来ていました。しかし1971年のニクソンショックでこの体制は崩壊、ドルの価値は原点の金と切り離され、結局今日の変動相場制になっています。

変動相場制では、基軸通貨ドルの価値は金という原点が無く浮動しますから、度量衡の換算式は常に変動し、1メートルのメートル原器が80cmになったり120cmになったりするようなもので、経営も経済も不安定になってしまうようです。

これをどうするかという知恵は、現状では無いので混乱が続いています。