米国IBMと米国AT&Tは5月24日、IBMがAT&T子会社の企業間(B2B)データ統合ソフトウェア・ベンダー、Sterling Commerceを約14億ドルの現金で買収することで合意したと発表した。
この買収により、IBMが拡充を進めていたデータ管理ソフトウェアのポートフォリオがさらに強化される。Sterling Commerce製品とIBMのミドルウェアおよび分析製品を組み合わせて利用することで、企業は突発的なビジネス課題に機敏に対応できると、IBMは述べている。
Sterling Commerceは、ドキュメントなどの情報交換やビジネス・プロセスの統合を支援する企業向けプラットフォームを提供している。GXS、Inovis、Axwayなどが競合企業だ。
IBMはSterling Commerceを買収することで、同社の技術に加えて市場シェアを獲得する。声明によると、Sterling Commerceは金融サービス、小売り、製造といった業種の約1万8,000社の顧客を抱えているという。なお、買収は今年後半に完了する見通しだ。
買収完了後、Sterling Commerceの約2,500人の従業員はIBMのWebSphere部門に加わることになっている。
今回の買収はIBMにとって、2003年以降で57件目に当たる。直近の買収先はアプリケーション・インテグレーション・ベンダーのCast Iron Systemsだ。
IBMのSterling買収は、「事前の機密保持があまり徹底されておらず、業界ではしばらく前からうわさが流れていた」と、Forrester Researchのアナリスト、ケン・ボルマー(Ken Vollmer)氏は語った。
Sterling Commerceは、B2Bサービス分野でGXSに次いで「ナンバー2の堅実なベンダー」だと、ボルマー氏は指摘した。この分野では、数カ月以内にまた買収が行われるかもしれないと、同氏は付け加えた。
IBMがSterlingを買収先に選んだ決め手は、競合他社と比べた業績と顧客満足度だと、IBMのWebSphere担当ゼネラル・マネジャーのクレイグ・ヘイマン(Craig Hayman)氏は24日の電話会見で語った。「違いはささいなものではなかった」
Sterlingは買収を経て現在の事業構成となっており、2005年にサプライ・アプリケーション・ベンダーのYantraを、2006年に輸送管理ソフトウェア・ベンダーのNistevoを買収している。
IBMはSterling Commerce買収により、B2Bサービス分野にあらためて参入することになる。2004年に関連事業をGXSに売却しているからだ。ヘイマン氏は会見で、「IBMは、Sterlingの技術と自社の技術を、Sterlingの顧客とわれわれの顧客の要望に対応する形で融合させる計画だ」と語った。
(Chris Kanaracus/IDG News Serviceボストン支局)