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16755、芥川賞「道化師の蝶」、これは、ジョイスの「フィネガンズウエイク」の下位家族?

2012年02月26日 08時36分51秒 | thinklive

今日の日経に評論家の佐々木敦が単行本「道化師の蝶」の評論を書いていた、ボクも芥川賞同時受賞の「共食い」と2編並べて、感想を作るつもりでいたので、すぐ目にとめて読んだ、副題にー答えのない問いが生むスリル-とつけている、作品が答えだから、答えの無い問いとはナンダ、と感じるが、コトバと想念を絵の具のように操って脳内風景を描写しているので、それを眺める快感を楽しむ作品である、作者も、”ぼくにはそう見える通りに書いているので、リアルな作品だと思っている、と述べている、

珍らしい蝶を、伸縮自在な銀色の小網で採るように、世界中を飛行機で飛び回りながら着想を捕まえ、実際に飛行機のなかでワインを飲みながら、そのワイングラスのヘリに、蝶たちは飛んでくるのだ、その蝶たちの着想を収集して巨万の富を築いた,A.A。エイブラムス氏と、わたしと表現される作家の、イメージと想念の交錯が小説を構築している、作家は量子論を専攻した複雑系理論の科学者である、なんとなく宇宙の11次元構造論を小説化した趣がある、なんとなく中勘助の「銀の匙」を連想させられる、複雑系銀の匙?とにかく読んで、居ると面白い、読んでいる自分が面白くなってくるところもある、

全体が、抽象の世界、抽象の図書館、抽象の飛行機のなか、のイメージの描写で、コトバの意味と感触、それに連関する円周的な世界ヘノモグリ混みとで構築されている、ボクはこの作者は編み物をやるんじゃないか、と想像したが、インタビューではそれを肯定している、ボクの友人にクライマーがいて、山行きの帽子や靴下を編んでいた、その手つきを思い出した、がっしりしているが、柔らかい手であった、

最後の章に、

”わたしは男の頭のなかに卵を1つ産みつける

 言葉を食べて、卵から孵る彼女は育つ

 こうして私は思考を続ける

七面倒くさい道筋を辿り、ようやくなんとかかろうじて雄にあうことができ、ほっとしている、”

終章に近い。文章の一例である、

ボクは、銀色の小網と言うコトバから、中勘助の「銀の匙」と言う作品を思い出した、70年前に読んだ本の感触、最初のキスの唇のプルンプルン、

読み終えた後でのイメージはジョイスの「フィネガンズウエイク(柳瀬尚紀訳)」に似ているな、と感じた、ジョイスには”ダブリン”という肉体があるが、円城氏には、それがナイ、というイメージである、複雑系スイート、の感触である、このなからどうやって彼女を出産するのであろう、ヨケイナお世話!

中勘助「銀の匙」

1913年から1914年にかけて、漱石の推薦で自伝的小説『銀の匙』を東京朝日新聞に連載。素直な文章で愛されているが、『犬』『提婆達多』など、愛慾、妄執などを幻想的な作風で描いた作家でもある。その陰には兄金一との確執があった。金一は1910年に倒れて廃人となるが、勘助はその妻末子に愛情を寄せていた(末子は幕末長州の志士入江九一の弟野村靖の娘)。1942年に末子が死ぬと勘助は57歳で結婚するが、金一は結婚式の日に自殺している。このことは、末子の兄の孫である菊野美恵子が明らかにした。

「フィネガンズウエイク」、ジェイムス.ジョイス作

*柳瀬尚紀の日本語訳は翻訳史上における世界レベルの金字塔である、河出文庫版、オススメ,1,2,3(3,4巻)冊、全巻読まなくても、2巻に小林恭二が「フィネガンの迷宮」という名解説を掲載している、この解説から読むといい、ただし、英語を読めないヒトは無理だな、男女の交合を地球レベルで表現するという言語的奇跡をジョイスは行っている、

英語による小説ではあるが、各所に世界中のあらゆる言語(日本語を含む)が散りばめられ、「ジョイス語」と言われる独特の言語表現が見られる。また英語表現だけをとっても、意識の流れの手法が極限にまで推し進められ、言葉遊び、二重含意など既存文法を逸脱する表現も多い。『若き芸術家の肖像』以来の神話的世界と現代を二重化する重層的な物語構成と相俟って、ジョイスの文学的達成の極と評価される。

 1929年には擁護者たちによる論文集『進行中の作品の結実のための彼の制作をめぐる我らの点検』("Our Exagmination Round His Factification for Incamination of Work in Progress")が出版される。この本の巻頭論文「ダンテ・・・ブルーノ・ヴィーコ・・ジョイス」(「・」が1世紀を表す)こそ、当時大学を出て間もないサミュエル・ベケットの初めて活字になった文章であった。これを機に2人は20世紀の文学史上最も有名な交友関係を結ぶこととなり、ベケットはしばしばジョイスの秘書的な役割をも果たした。

物理学における基本粒子クォークは、この作品の中に、鳥がquarkと3回鳴いたというところから、3種類の性質を持つクォーク理論の提唱者であるマレー・ゲルマン自身によって命名された。(ただし現在ではクォークは3種類以上の性質を持つ事が明らかになっている。)

 


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