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抗がん剤、エルプラットの作用機序,DNA複製を阻害、正常細胞にも影響、副作用?

2015年07月30日 07時18分15秒 | thinklive

抗悪性腫瘍剤「エルプラット」治癒切除不能な進行・再発の胃癌に対する効能・効果の追加に係る承認取得,15/3/20

承認されたのは、エルプラット点滴静注液の50mgと100mg、200mgの3つ。効能、効果に関連する使用上の注意では、治癒切除不能な進行再発の胃癌に対し、同薬の術後補助化学療法における有効性と安全性は確立していないと説明している。また、用法用量では、他の抗悪性腫瘍剤との併用で通常は成人にオキサリプラチンとして130mg/m2(体表面積)を1日1回静脈内に2時間で点滴投与し、少なくとも20日間休薬。これを1サイクルとして、投与を繰り返すよう明記している。

 エルプラットは、進行再発の結腸、直腸癌に対する標準治療の1つである併用療法(FOLFOX療法)で用いられている。同薬を巡っては、日本胃癌学会が胃癌での効能効果の追加を求め、2014年7月に開かれた医療上の必要性の高い未承認薬・適応薬検討会議で公知申請に該当すると評価された。ヤクルト本社はこれらを受け、同年10月に公知申請を行い、15年3月20日に治癒切除不能な進行再発胃癌での承認を取得した。

オキサリプラチン(商品名:エルプラット)の作用機序

がん細胞は正常細胞が変化したものです。もともとは正常細胞であるため、がん細胞と正常細胞との間に大きな違いはありません。これが、がん治療が難しいと言われる1つの理由です。その中でも、がん細胞と正常細胞を比べたとき、最も分かりやすい違いと言えば「細胞分裂の速度」がありま正常細胞は細胞分裂を行うことで成長していったり、傷を修復したりします。しかし、永遠に細胞分裂を行うわけではなく、ある一定の大きさにまで成長すると分裂を止めてしまいます。これによって臓器の適切な大きさを保つことができ、正常な機能を維持できるようになります。

 一方、がん細胞は細胞分裂を止めません。無秩序に増殖を繰り返すことで増えていきます。正常細胞に必要な栄養を横取りし、組織として機能しないがん細胞が正常細胞に取って替わるため、前述の通り栄養失調や臓器不全が起こります。

 このように、がん細胞と正常細胞には増殖速度に違いがあるため、この差異を利用してがん細胞を殺そうとします。もっと言えば、細胞分裂の速い細胞に毒性を示す薬を投与するのです。細胞が分裂を行う際、DNAの複製をしなければいけません。DNAが合成できなければ、細胞分裂は起こりません。そのため、DNA合成を阻害する薬は細胞分裂を抑制できます。

 白金製剤はDNA合成を阻害する作用を有します。細胞分裂を活発に行う細胞は「DNA合成の阻害」による毒性を特に受けやすいため、細胞死が引き起こされるようになります。

 DNAに作用するとき、白金製剤はDNAに対して「橋を架けたような構造」を取ります。これを架橋構造と呼び、DNAの複製が阻害されます。

 

 エルプラット(オキサリプラチン)の作用機序:白金製剤

 このような考えにより、白金製剤を用いることでDNAの合成を阻害し、細胞毒性によって抗がん作用を示す薬がオキサリプラチン(商品名:エルプラット)です。

 オキサリプラチン(商品名:エルプラット)の特徴

白金製剤とは、その名の通り白金(プラチナ)を利用した薬のことです。白金製剤は幅広いがん細胞に対して利用されますが、その中でもオキサリプラチン(商品名:エルプラット)は大腸がんの細胞株に対して特に強力な抗がん作用を示すことが発見されたことから研究がスタートしました。

 これらの結果をもとにして、オキサリプラチンが大腸がん(結腸・直腸がん)に対して用いられるようになりました。膵がんなど、他のがんに対しても使用される薬です。

 オキサリプラチン(商品名:エルプラット)は肝臓に存在する代謝酵素にほとんど影響を与えません。そのため、薬物同士の相互作用が少ない薬であることが分かっています。

 なお、細胞毒性を示す薬であるため、副作用が強い薬でもあります。主な副作用としては末梢神経症状、疲労、食欲不振、悪心・嘔吐、白血球減少、好中球減少、血小板減少などが知られています。

 


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