◆前号のブログでイスラム教寺院「銀川南関清大寺」を紹介しました。少し説明を補足します。「この寺院は明朝末期の1600年ころに建立され400年以上の歴史を持ちます。しかし、十年動乱(※文化大革命の動乱)の際に、寺院は破壊しつくされました。1980年代初頭、中国共産党政府の宗教容認政策への変更にともない1982年に再建されました。」と入場チケットに書かれていました。
午後2時ころになっていた。午前9時前から歩き始めて5時間あまりが経っているので、かなり疲れてきていた。駱駝に乗る老人の像が道沿いにあった。赤い衣装を身にまとった女性が歩いている。「BRT」と書かれたバス停がある。この街のバス停はみんなこんな駅で、バスが走る車線は他の車が原則入ることはできない。(左折や右折時以外は) だからバスの渋滞がないようだ。けっこう暑い気温だが湿気がなくさらっとしている空気。木陰に入れば少し涼しい。街にはゴミも少なく、けたたましい騒音も少ない。白い花が咲いていた。夏の花「合歓木(ねむの木)」の花が咲いていた。ここは、夏の季節なんだ。
私が住む福州の「ごちゃごちゃした雰囲気や騒音、半年間ものすざましい高温多湿、落ち着きのなさを感じる街の様子」とは、まったく違った街。街に品性を感じる。福州とは違って、人もおだやかで、ゆったりしている。けっこう親切だ。中国も地方や都市によって 人々の様子も人情もかなり違うなと思った。ひとくくりに「中国人は」「中国とは」とは言えないと改めて思った。
「承天寺塔総合市場」というものがあったので、市場に入ってみた。午後の昼寝時なので、客も店の人もほとんどいなかった。市場の入り口の路上では、「桑の実・ブドウ・桃」などが売られていた。桃がおいしそうだ。
承天寺の塔が見えてきた。三輪バイク軽トラックの荷台で昼寝をしている人の姿。塔を見る。見事な塔だ。寺の塀に沿って「石の露店」が100軒ほど並んでいた。翡翠などの宝石や巨大な硯(すずり)石なども売られている。中国の人は石が大好きだ。
寺に入る。とても品格のある寺院だ。なんかここの空気が違うようにも感じた。寺の由来が書かれた石碑を見る。この寺院は、ここ銀川に「西夏(せいか)王朝」の都があった時代の1050年に創建されたと書かれている。王朝の寺だったようだ。塔を見上げる。「見事」!! (※「西夏王朝」➡1038年~1227年の189年間続いた王朝。現在の「寧夏回族自治区・甘粛省」一帯を支配に治めていた。楼蘭や敦煌あたりのシルクロードも支配下におく。蒙古のジンギスカーンによって攻め滅ぼされ、王朝は滅亡した。)
境内には黄色い花を咲かせた樹木があった。「山桃」と書かれたプレートの桃の木が小さい実をつけてた。朱塗りの建物が美しい。芸術的な美しさを感じる境内だ。
塔の裏側に行く。ここから見上げる塔はまた一段と見事。この銀川の街の街路樹として一番多い種類の大木があった。名前は「刺槐(スーファイ)」と書かれている。アカシアの樹木の一種で、春先には花を咲かせるようだ。ここの塔の管理をしている女性と少し話した。なかなか親切でチャーミングなお姉さんだった。
寺院を出ると、もう3時すぎ。北方民族大学の正門で目黒さんと会う約束の時刻の4時半まであと1時間半。時間もないし歩き疲れたので、寺の前でタクシーを拾ってホテルに戻る。ホテルの横には、「寧夏回族自治区区政府」があったので、タクシー内より写真を撮る。ホテルに戻りシャワーを浴びて着替えた。
◆次号に続く