竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻15 歌番号1110から1114まで

2024年04月05日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻15
歌番号一一一〇
原文 加能尓与宇己比多利乃於本以万宇知幾三尓安比尓个利止
幾々天徒可者之个留
読下 かの女御、左大臣に逢ひにけりと
聞きてつかはしける

原文 為従幾乃美也乃美己
読下 斎宮のみこ(斎宮内親王)

原文 者留己止尓由幾天乃美々武止之幾利毛世寸止以不太祢者於比奴止可幾久
和歌 はることに ゆきてのみみむ としきりも せすといふたねは おひぬとかきく
読下 春ごとに行きてのみ見む年ぎりもせずといふ種は生ひぬとか聞く
解釈 毎年、春ごとに、貴女の屋敷に行ってみたいものです、貴女が言っていた、あの年によっては花が咲かないと言うことが無い、毎年に花が咲くその花の種を得て、見事に生え育って花が咲いたと聞きましたから。
注意 この歌は歌番号1110を受けたものと思われ、「花が咲く」とは、左大臣の寵愛を受けたことを指す。

歌番号一一一一
原文 毛呂安幾良乃安曾无奈加乃毛乃萬宇須豆加佐尓奈利者部利个留止幾
宇部乃幾奴川加者春止天
読下 庶明朝臣中納言になり侍りける時、
表の衣つかはすとて

美原文 幾乃於本以万宇知幾三
読下 右大臣

原文 於毛比幾也幾美可己呂毛遠奴幾可部天己幾武良左幾乃以呂遠幾武止者
和歌 おもひきや きみかころもを ぬきかへて こきむらさきの いろをきむとは
読下 思ひきや君が衣を脱ぎ替へて濃き紫の色を着むとは
解釈 思いも寄りませんでした、貴方が四位の官服を脱ぎ、三位の官服に着替えて、三位の官服色である濃き紫の色の服を着るとは。

歌番号一一一二
原文 可部之
読下 返し

原文 毛呂安幾良乃安曾无
読下 庶明朝臣(源庶明)

原文 伊尓之部毛知る幾利天个利奈宇知者不幾止比堂知奴部之安万乃八己呂毛
和歌 いにしへも ちきりてけりな うちはふき とひたちぬへし あまのはころも
読下 いにしへも契りてけりなうちはぶき飛び立ちぬべし天の羽衣
解釈 前世でも約束されていたのでしょう、打ち羽ぶきて飛び立つのではないでしょうか、頂いた、この天の羽衣のような濃き紫の色の官服の上着は、

歌番号一一一三
原文 万佐多々加止乃為毛乃遠止利太可部天多以布可毛止部
毛天幾多利个礼者
読下 雅正が宿直物を取り違へて、大輔がもとへ
持て来たりければ

原文 多以布
読下 大輔

原文 布留佐止乃奈良乃美也己乃者之女与利奈礼尓个利止毛三由留己呂毛加
和歌 ふるさとの ならのみやこの はしめより なれにけりとも みゆるころもか
読下 古里の奈良の都の始めよりなれにけりとも見ゆる衣か
解釈 今は昔の里となった奈良の都の始めのように、ずいぶんと古い慣れ親しんだ仲の貴方と私、そのように古くなって慣れてしまったように見える、この衣ですね。

歌番号一一一四
原文 可部之
読下 返し

原文 万佐多々
読下 雅正(藤原雅正)

原文 婦里奴止天於毛比毛寸天之可良己呂毛与曽部天安也奈宇良三毛曽寸留
和歌 ふりぬとて おもひもすてし からころも よそへてあやな うらみもそする
読下 古りぬとて思ひも捨てじ唐衣よそへてあやな恨みもぞする
解釈 古くなったと思っても捨ててしまいませんよ、唐衣を裁つ、そのような話ではありませんので、話を作って、私が古びた衣のように貴女を棄てるとの、理不尽な恨みを貴女がします。(肌馴れた貴女は、このように大切に取って置くものです。)

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