竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻17 歌番号1200から1204まで

2024年05月01日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻17
歌番号一二〇〇
原文 加之己満留己止者部利天佐止尓者部利个留遠志乃比天
佐宇之尓万以礼利个留遠於本以万宇知幾三乃
奈止可遠止毛世奴奈止宇良美者部利个礼八
読下 かしこまる事侍りて里に侍りけるを、忍びて
曹司に参れりけるを、大臣の、
などか、音もせぬ、など恨み侍りければ

原文 多以布
読下 大輔

原文 和可美尓毛安良奴和可美乃加奈之幾尓己々呂毛己止仁奈利也志尓个无
和歌 わかみにも あらぬわかみの かなしきに こころもことに なりやしにけむ
読下 我が身にもあらぬ我が身の悲しきに心もことになりやしにけん
解釈 差し障りがあり里に籠り、我が身が我が身で自由に出来ない、その状況の我が身の辛さに、心も我が心持とは違うものになったのでしょう、(それで、お便りも出せませんでした。)

歌番号一二〇一
原文 飛止乃武寸女尓奈多知者部利天
読下 人の女に名立ち侍りて

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人しらす

原文 与乃奈可遠志良寸奈可良毛川乃久尓乃奈尓八多知奴留毛乃尓曽安利个留
和歌 よのなかを しらすなからも つのくにの なにはたちぬる ものにそありける
読下 世の中を知らずながらも津の国の名には立ちぬる物にぞ有りける
解釈 男女の関係事をなにも知らないのに、摂津の国の難波の言葉の響きではありませんが、浮名だけは立ってしまったものです。

歌番号一二〇二
原文 奈幾奈多知者部利个留己呂
読下 なき名立たち侍りけるころ

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人しらす

原文 世止々毛尓和可奴礼幾奴止奈留毛乃八和不留奈美多乃幾寸留奈利个利
和歌 よとともに わかぬれきぬと なるものは わふるなみたの きするなりけり
読下 世とともに我が濡衣となる物はわぶる涙の着するなりけり
解釈 貴方との男女の関係とともに、実が無いのに世の中が私の濡れた衣となるものは、辛く思って流す涙で濡れた衣が着せるものなのですね。

歌番号一二〇三
原文 左幾乃保宇於者之満左寸奈利天乃己呂己世知乃曽従
乃毛止尓川可八之个留
読下 前坊おはしまさずなりてのころ、五節の師
の許につかはしける

原文 多以布
読下 大輔

原文 宇遣礼止毛加奈之幾毛乃遠比多不留尓和礼遠也飛止乃於毛比寸川良无
和歌 うけれとも かなしきものを ひたふるに われをやひとの おもひすつらむ
読下 憂けれども悲しきものをひたぶるに我をや人の思ひ捨つらん
解釈 大変に辛いのですが、前の皇太子が亡くなられた悲しみを、ただただ、あの人に愛されたこの私が、あの人の思い出を棄てることが出来るでしょうか。
注意 末句「おもひ」を「思い出」と解釈してます。

歌番号一二〇四
原文 加部之
読下 返し

原文 与美飛止之良寸
読下 詠み人しらす

原文 加奈之幾毛宇幾毛志利尓之比止川奈遠多礼遠和久止可於毛比寸川部幾
和歌 かなしきも うきもしりにし ひとつなを たれをわくとか おもひすつへき
読下 悲しきも憂きも知りにし一つ名を誰れを分くとか思ひ捨つべき
解釈 貴女が持つ前の皇太子が亡くなられた悲しみも辛さも判りました、亡くなられた皇太子の、その一つの名前、その皇太子への悲しみは私だけが持ち、他の人が持たないだろうとの、そのような人とは特別との思いは捨てるべきです。(貴女だけでなく、皆が、皇太子の死を悲しんでいるのです。)

コメント
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