みちのくの山野草

みちのく花巻の野面から発信。

いつまでも真実を隠し続けることはできない

2017-03-28 09:00:00 | 「賢治研究」の更なる発展のために
《「賢治自耕の地(下ノ畑)」の木標》(平成22年12月21日撮影)

 さて、この3月25~26日に開催された「賢治学会イーハトーブセンター」主催の
    「2017年春期セミナー」は、メインテーマよりも副題の「外臺の夢」が強調されたものであった。のだが、殆ど「夢」は語られず、結局のところ、
 メインテーマよりも強調された副題「外臺の夢」ではあったが、今回の春期セミナーの謳い文句「外臺の夢」は羊頭狗肉であったと言われても仕方がなかろう。
ということが今回の春期セミナーで私が一番感じたところであり、極めて残念なことだった。

 ただし、画期的なこともあった。それは何かというと、賢治に関する「不都合な真実の一つが公の場で明らかにされた」ことである。それは、セミナー二日目の26日のエクスカーションで伊藤孝(羅須地人協会員 伊藤清氏ご子息)氏のお話
    「父が宮沢賢治から蓄音機を贈られたことなど」
があったのだが、その最後に伊藤孝氏から、
    後ほど「下ノ畑」の場所をご案内します。本当の場所はもう少し南側です。
という意味のご案内があったことが切っ掛けであった。

 すると主催者側がこれは大変なことになったという様子でざわついた。それは、「賢治に関する不都合な真実」の一つだったからである。しかし覆水盆に返らずで(主催者側は結局観念したようで)、後ほど本当の「下ノ畑」の場所を参加者全員で見に行くことになった。実は、「下ノ畑」の場所が違っているということは一部関係者にはよく知られていたことなのだが、それは不都合な真実であるということで皆口をつぐんできたのである。
 しかし、真実をいつまでも隠し通す訳にはいかないということは世の常で、伊藤孝氏の今回の「お話」のお陰で、
 今回のエクスカーションで、巷間「下ノ畑」と言われていている場所は違っていて、本当の「下ノ畑」があった場所はもっと南側であったということが初めて公的に明らかにされた。
という画期的なことがあったということである。そして実際に、エクスカーションの参加者は伊藤氏の案内で本当の「下ノ畑」があった場所まで行き、その一帯を目の当たりにできたのだった。

 繰り返しになるが、巷間「下ノ畑」と言われていている場所は間違っていているということは、少なからぬ人達が以前から知っていたことであり、さりとて口にすることを憚ってきたというのがこれまでの事情だった。当然、心ある方々はそれを秘していることに悩んできた訳で、やっとこれで、これからはそのような人達もこのことを公に口にしてもよくなったということである。
 それこそ「忖度」が働いて、今まで関係者が口をつぐんできたことの一つであるが、やはりいつまでも賢治の真実を隠し続けることはできない、ということの一つの証左となったと言えよう。そして似たようなことは他にも少なからずあるのだが、これらもそのうちに明らかになって行くことは歴史の必然だろうし、その大きな切っ掛けができたということが今回の春期セミナーの最大の業績であったと後に歴史が評価するかもしれない。「賢治研究発展のターニングポイントだった」と。

 言い換えれば、このようなことでさえも今まで公にすることを躊躇っていたのがこの世界の体質であるということであり、そろそろこのような前近代的な体質から脱すべきである。それを避けているかぎり、賢治研究の発展があまり望めないであろうことはこれまた自明のことなのだから。

 続きへ
前へ 
 ”みちのくの山野草”のトップに戻る。

《鈴木 守著作新刊案内》
 この度、お知らせしておりました『「羅須地人協会時代」再検証-「賢治研究」の更なる発展のために-』が出来いたしました。
◇『「羅須地人協会時代」再検証-「賢治研究」の更なる発展のために-』(定価 500円、税込み)

 本書の購入をご希望なさる方がおられましたならば、『宮沢賢治イーハトーブ館』においてお買い求め下さい。
 あるいは、葉書か電話にて下記にその旨をご連絡していただければまず本書を郵送いたします。到着後、その代金として500円(送料込)分の郵便切手をお送り下さい。
    〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木 守
             電話 0198-24-9813
 なお、本書は拙ブログ『宮澤賢治の里より』あるいは『みちのくの山野草』に所収の、
   『「羅須地人協会時代」検証―常識でこそ見えてくる―』
のダイジェスト版です。さらに詳しく知りたい方は拙ブログにてご覧下さい。
 また、『「羅須地人協会時代」検証―常識でこそ見えてくる―』はブログ上の出版ゆえ、紙媒体のものはございません。

《鈴木 守著作既刊案内》
◇『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』(定価 500円、税込)
 ご注文の仕方は上と同様です。
 なお、こちらは『宮沢賢治イーハトーブ館』においても販売しております。

 ☆『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』                  ☆『宮澤賢治と高瀬露』(上田哲との共著)          ★『「羅須地人協会時代」検証』(電子出版)

 『羅須地人協会の真実―賢治昭和二年の上京―』、『宮澤賢治と高瀬露』のご注文につきましても上と同様ですが、こちらの場合はそれぞれ1,000円分(送料込)の郵便切手をお送り下さい。また、こちらも『宮沢賢治イーハトーブ館』において販売しております。
 ☆『賢治と一緒に暮らした男-千葉恭を尋ねて-』        ☆『羅須地人協会の真実-賢治昭和2年の上京-』      ☆『羅須地人協会の終焉-その真実-』

 ただし、『賢治と一緒に暮らした男-千葉恭を尋ねて-』は在庫がございません。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« コメントを下さった「宮沢賢治... | トップ | 北上市立花(カタクリの様子な... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

「賢治研究」の更なる発展のために」カテゴリの最新記事