(前回からの続き)
本ブログのあちこちで綴っているように、いまの世界的なリスク資産の高騰は主要中銀由来のQE(金融緩和策)マネーがこれらに流れ込んで起こったもの、つまりはバブルです。
では、肝心の経済の実態は、ですが・・・日本以外の諸国は、積み上がった巨額債務と不良債権の山、そしてわが国は・・・円安誘導+消費増税のWパンチによって引き起こされた意図的な「悪いインフレ」でGDPの根幹である内需・・・の柱・個人消費が青息吐息・・・といったありさま。これらこそ本来、マーケットの地合いや株価等を決定するべき「ファンダメンタルズ」のはずですが、QEマネーという「麻薬」がもたらした幻覚「リスクオン」で見えなくなっている状態にあります(いちばん見えていないのは日本―――政府・日銀そしてその意を汲む年金基金かな?)。当局のなりふり構わぬ対策からも分かるとおり、先述した中国の株とか理財商品も超危険なバブル資産ですね、いくら黒田日銀総裁が「(中国株に)市場は悲観的になり過ぎ」なんて中国を擁護したところで・・・
で、その世界的なリスクオンがいよいよ終わる―――具体的には、これ以上のバブル膨張を恐怖するアメリカ(のFRB)がQEマネーの回収を図るべく、いよいよ「利上げ」を再開する・・・らしいのです(?)。もしFRBが利上げに踏み切ったら、上記実情化にある世界経済でいったい何が起こるのでしょうか・・・?このあたりは内外のエコノミストや経済メディア等でさまざまな見通しが立てられているところですが、それらを要約するとこんな感じでしょうか・・・
・・・「米利上げによってアメリカへのマネー回帰傾向が強まる結果、資本流出に見舞われた新興国の多くは通貨・債券・株式のトリプル安に陥り、スタグフレーション(リセッションとインフレが同時に起こる悲惨な状態)および財政危機に直面して債務不履行リスクが高まる。中国の景気減速感もいっそう強まり、原油等の需要が減少して、対中輸出に依存する資源国経済の落ち込みが顕著となる。欧州ではギリシャ債務問題の先行きに不透明感がぬぐえないなか、ここへきて急浮上した難民問題にともなう負担が域内各国に重くのしかかり、経済成長どころではない。日本はインフレ率が低迷し、デフレからの脱却が見通せない。かくして、アメリカの独り勝ちが続く・・・」みたいな・・・
で、わたしが描く米金利上げ後の予想は・・・この世間一般的な(?)見方でいえば、たしかにそのとおり、と同意できるのは欧州のところまで。しかし、アメリカと日本に関しては大きく違いますね~。
上述のようにしばしば「独り勝ち」なんて表現される(というか、ヨイショされる?)アメリカ様ですが、そんなことはあり得ない、つまり「リスクオフ」とは無縁、なんて絶対に無理というもの。そもそも、好調とされる米経済・・・をけん引する個人消費の大半が低金利ローン頼りの危ういものだし、新興国のデフォルトといったリスクオフ・イベントの波動はすべて、最終的にはアメリカ・・・の投資家や金融システムに巨大ダメージを与えることになるからです。
で、そんなアメリカを脅かす数々のリスクを引き起こすトリガーとなりかねないのが、ほかならぬアメリカ自身の「利上げ」・・・