(前回からの続き)
今月1日に強行された住民投票で、スペインからの独立に賛成する票数が全体の9割に達したことを根拠に、いまにも独立宣言をしそうな(?)カタルーニャ(自治州の政府)。前回、スペインもカタルーニャも同じユーロ圏にとどまる以上、独立カタルーニャが得られるものは唯一「財政自主権」だと指摘しました。
繰り返しになりますが、ユーロ圏はすでに通貨(ユーロ)、金融政策(欧州中央銀行)、人とモノの自由な移動(シェンゲン協定)、域外国との通商ルールなどは統一されています。だから域内で独立したところで、その前後でこれらは変えようがありません。ただ一つの例外が財政になります・・・って、通貨・金融は一本化したにもかかわらず。と考えてみると、カタルーニャにとっての独立運動とは、これまで従属してきた(?)スペインから財政権限を100%勝ち取るための戦いであることが分かります。具体的にいうと、歳入では・・・スペインとは違う税制を整えたり、自「国」の信用に基づいて自力で国債を発行しておカネを集めることになり、一方の歳出では・・・国内の公共インフラ投資を進めたり、独自の年金制度を運営する、といったあたりになりますね。
では、かりにカタルーニャが晴れて独立を果たせた場合、その財政政策はどのようになるのでしょう。それをイメージするには同「国」経済を概観する必要があります。
前述のように、カタルーニャのGDPはスペイン全体の約20%を占め、同国17自治州中、もっとも大きな規模となっています。また他州と比べて製造業が発達しているほか、地中海やピレネー山脈、さらに「首都」バルセロナといった魅力的な場所が多いことから観光業も盛んです。とはいっても・・・(F.C.バルセロナは別として)カタルーニャには世界的な企業とか、ノルウェーの「油田」やドイツの「自動車」みたいな「決め手」となる産業があるわけではないのもまた事実。現にカタルーニャの貿易収支は前述のようにスペイン以上に赤字傾向にあり、いまのままではせっかく独自財政を勝ち得ても、遠からずギリシャみたいに(?)資金ショートに陥ってしまいそう・・・
そこで考えられるのは・・・大手外国資本の誘致。やはりこれくらいしかないでしょう(?)。具体的にはドイツをはじめ、日本やアメリカなどの圏外の有力メーカー等に工場建設のような直接投資をしてもらうというもの。これで輸出振興を図って国際収支を改善させるとともに、当該企業からの「あがり」(≒税収等)を得て財政の健全化を目指すといった方向性です。つまりこれ、同じユーロ圏ではアイルランドの経済運営に近いやり方です。おそらく独立カタルーニャは法人税率を隣接するスペインやフランスなどより低く設定してこれら各社の進出を促そうとするのではないか・・・