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「破れ傘長庵」

2006年10月04日 | ★ハードボイルドな映画
60年の「不知火検校」コンビ、
森一生監督がメガホンを取り、
犬塚稔が脚本を書いている。

犬塚は座頭市シリーズの記念すべき第一作目
座頭市物語」の脚色も手がけている。

といった観点からすると、
悪のヒーローがパワーアップして
帰ってきたという図式なのですが、
これはシャレになりませんわ~~

お化けが出ないだけで、
この物語は言ってみたら「ホラー」だ。

と、ぼろくそに言われるだけのことは十分にある悪党が主人公。
同じ「破れ傘」でも「刀舟」とは大違い。

想いを寄せていた女に失望したのが発端か、
生まれながらのワルなのか。
無免許医者、長庵(勝新太郎)はライクアローリングストーン、
鬼畜街道をごろごろと転がっていくのである。

伝統的な「怪談もの」だと、中盤あたりから
非道の限りを尽くす主人公に
亡者が復讐するので、
観客は『そら見たことか』「お天道様はみていらっしゃるのだな」と
安堵するのだが、
ここでは白黒のコントラストが美しい画面に
長庵の悪事がトントン拍子にエスカレートしていくさまが描かれる。
典型的な傘張り浪人に扮した
あの天知茂までもが
哀れにも毒牙にかかってしまうにいたっては
呆然とする。

寺の鐘がご~んご~んと鳴るラストに
恐ろしいほどの無常観が漂っている。(「不知火検校」に通じる)

悪人と問題アリの善人たち、
人物描写も巧み。
皮肉も利いており
ネガティブなパワーに満ちた怪作である。

他に藤村志保 福田公子 万里昌代 中村鴈治郎 天知茂など

*映画の中のイイおんな
藤村志保:貧乏浪人の糟粕の妻・・おとなしそうでいて芯が強い女です。
あまりにも人を信じすぎるのもな~と
思わせる人の好いおなごを日本の美・志保さんが演じております。

1963年 監督  森一生
脚本  犬塚稔 辻久一
撮影  今井ひろし
音楽  鏑木創
美術  太田誠一

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