邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「夜叉」を再見

2013-05-27 | ★人生色々な映画

いや~何回見ても

胸がザワザワして、ついついまた「夜叉」の記事です。

 

「ミナミの修治・夜叉の修治」の健さんが

格好良ければいいだけ

田中裕子の色香にやられてしまうのが

悔しい。

いい映画って見所が沢山ありますが

この「夜叉」も名場面、いやさ つっこみどころが満載です。

 

田中裕子も決して美人ではないのに

うまいというかなんとというか

女が見ると胸をかきむしりたくなるあざといシーンが沢山あります。

演出のわざとらしさも冴え渡っています。

雪に映える赤い番傘、赤い襟巻き

着物からのぞく白いうなじとくれば・・・

 

鉄板でしょう!降旗監督も罪。

 

起き抜けの田中裕子が長い髪を無造作に束ね軽く伸びをしながら

ハミガキをしているところへ(ウワ~~書いていても怒)

修治(高倉健)が船で通りかかり

取れたての魚をほおり投げてよこすシ~ンで

全日本女性の嫉妬心にポォッと火が点ります。

赤いセーターの袖を長めにひっぱりながら

ハミガキしている姿もぶりっ子なら、

魚を受け取って喜ぶ姿もブリブリですわ。(段々嫉妬でヤケクソになってきました)

妻(いしだあゆみ)に向かって

「夜叉がミナミを捨てたんは女のためやない。海や」などと言い放ったり

甘えた声で「奥さん嫌い」な~~んて言ってみたり

いしだあゆみのファンならずとも憤慨するところです。

 

そんな女に、こともあろうに健さんは・・・・(怒)

あき竹城と一緒に「悔しい~~」と泣きたかった女性は推定100万人超!

しかも女の頼みに乗って

ミナミへ行くとは(怒)

いしだ「なんでそこまでせんならんの」とは全女性の代弁です!

道頓堀のエレベーターに乗った修治がす~~っと上がっていくシーン、いいですけどね。

 

事が済んで帰ってきた夫を

涙目で笑って迎える妻いしだあゆみ。

 

出来すぎ~~!

私ならバスから降りてきた男を2、3発は殴るところでしょう(怒)

 

田中裕子に橋の上で出会った時もおとなしかったですね。

私が監督ならそこで格闘にしますね。

 

・・・・でもそれではせっかくのトゥーツ・シールマンスの音楽が似合いませんね。

 

健さんの台詞って少ないけれど

体全体での表現は誰も真似できない。ビートたけしと戦って

背中の「夜叉」が現れるシーン 鮮烈でした。

ねじり鉢巻、長靴姿の猟師、修治と

スーツに帽子姿でキメたミナミの夜叉のたたずまいが楽しめて

一粒で二度美味しい映画です。

日本海の猟師町の匂いも漂ってきそう。

 

この映画で大好きな場面のひとつは

シャブで異常なテンションになった田中邦衛が無意味にはしゃぐシーン。

これは何度見ても最高に可笑しい。

本編が終わった後日本映画専門チャンネルで高倉健インタビューが放送された。

明るくて屈託なくて真面目な素顔の健さんを見てまたファンになりました。

役は役だよね(爆)

 

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「夜叉」

 

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川島雄三の「とんかつ大将」見たがやっぱり最高

2013-03-26 | ★人生色々な映画

「とんかつ大将」と言っても

とんかつ屋のオヤジではなく

主人公の佐野周二はとんかつが好物の青年医者である。

おんぼろ長屋に

艶歌師の吟月、三井弘次と部屋をシェアして住んでいる訳アリの「ボヘミアン医者」なのです。

(艶歌師=”街頭でヴァイオリンを弾き、演歌を歌って歌の本を売る=のちの流し”(大辞林より)

だそうで、作品中にも即興で歌うシーンがあります。いつ頃から

ヴァイオリンがギターに変わったのでしょうか。

風俗的に興味深いです。

ちなみに

吟月は羽織袴姿で、どこか明治時代の人のような古めかしさがあります。)

三井弘次の

独特のべた~~っとした声と飄々としたユーモアが良い

アクセントになってます。この人出てくると絶対面白いですよね。

 

****ネタバレ注意報*********

 

イケメンで手術の腕もいいけど、なよなよした秀才じゃなくて腕っ節も強く

思いやりはあるが言うべきことはぴしっと言い、曲がったことが大嫌いで

長屋の住人から厚い信頼を寄せられている「とんかつ大将」。

大将から恋人を取ってしまう親友役の徳大寺伸が

事業に失敗して、日々うつろに飲んだくれるろくで無しなので

より一層、とんかつ大将が爽やかに見えます。

 

川島雄三の作品はいつでも登場人物のキャラが飛び切り立っていますが

この作品も「喜劇」というよりも

細やかな人生の機微が散りばめられた

主人公の青春・成長物語、取り巻く人々の群像劇といえるでしょうか?

爽やかな後味が残る

ミントティーみたいな逸品になっております。

 

佐野を慕う居酒屋の女将角梨枝子()が、

気が強いお嬢さん医者の津島恵子()と喧嘩で啖呵を切るところは見もの。

角さんはフランス人形のような美貌に鶴のような首筋、ため息が出るほど色っぽいのに

大将にふられてしまう。タイプは違うけど津島恵子ももちろん綺麗で

和洋の美の競演が見られます。

 

酔っ払っているのに他人の病院でいきなり手術を始めたり

しかも火事で火の手が迫っているのに手術強行!や、

手術したてのホヤホヤの子供を乱暴に抱きかかえて運んだりとか、

角梨枝子のワルの弟を一瞬で改心させ、出頭させるなど

(直前に大暴れしていたのにもかかわらず)

漫画チックな場面は多々あるにせよ、

佐野の清潔で嫌味の無いキャラと

すべて丸く収まるハッピーエンドで

春先のモヤモヤ気分がすっきりすること請け合い。

 

ラスト、大阪の大病院のお坊ちゃまらしい大将は

父親の危篤によって長屋を去るんですが

この後、長屋に戻ってくるんでしょうか?

それとも大病院を継ぐことになるんでしょうか??と

ちょっとほろ苦いふくみを持たせて終わります。

 

音楽はハッピーな歌を書かせたら右に出るものはいない木下忠司。

また大好きな映画が増えた!!そしてとんかつ食べたくなった!

脚本 監督 :川島雄三 

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若尾文子の「雪の喪章」

2013-03-06 | ★人生色々な映画

水芦光子の原作を三隅研次が監督。

三隅監督にこんな女一代記もの?があったとは知らなかった。

 

石川県の金箔屋に嫁入りした妙子(若尾文子:美!)は

先代が亡くなった後もその妾を平気で出入りさせている

旧家の常識に唖然とするが

婚礼まもなく

夫(福田豊士)と女中のせい(中村玉緒)の「現場」を目撃して

ショックを受ける。

姑も半ば黙認状態で、

しかも相手は妊娠していることを知って絶望!

 

妻妾同居の奇妙な物語の始まりです・・・

 

憎いはずの妾に

「お前、いい子を産みなさい」などと、

聖女のような顔で言ってしまう

文子様の本心がまったくなところがこの作品のミソです。

(ここで ムカムカする女性は何万人も存在すると思います!)

 

返す玉緒も玉緒で

「私は奥様が好きです。旦那様よりもっと好きです。

ずっとお側にいさせていただきたいです」

などと言うじゃありませんか!!

(筆者のムカムカここで大爆発!!)

 

しかしそのやりとりの後、庭先に気味の悪い蛇が出現するところから

美しい文子様の心中にも魔物が棲んでいることを暗示させます・・

 

図々しく、ねっちり、しぶとい妾を

中村玉緒が好演しています。

さすが鴈治郎の娘ですね。

ぼんやりして見える妙子(若尾)とは対照的に

踏まれても生えて来る雑草のように

生き延びるための知恵に長けてると申しますか

生命力があるといいますか・・

美人じゃないけど男好きがするっていうのかわかりませんが

したたかなようで良く気がつく働き者で・・・・・

情が深くじっとりと湿った女なんですね。

 

せいの子が事故で亡くなった折、

遠くから眺めている妙子の口元に浮かぶ

微笑は、劇中で歌われる

「人の心はケンケン ケモノであったとさ~~・・・♪」 

という物騒な子守唄を思い出しぞっとするシーンです。

この曖昧な表情はさすが若尾文子!

 

店の元従業員で後に成功する天知茂は

妙子に思いを寄せながらもせいの世話もするなど、

貧乏からたたき上がっただけあってフクザツな男です。

こういう風に

登場人物全員、ひとくせあると申しましょうか

ただの善人ではないことを見せるところが

この作品の深みというか、いやらしさだと思いました。

 

舞台は冬の金沢。大雪の日に人の死を重ねることによって

ドラマチックな効果を生んでいますが

なんで男はこんなに勝手なんだ!と筆者終始ムカムカ(爆)

女も女だし、許すからいけないのだ!と激昂!

しかし三人はしっかりと妙な絆で結ばれているような風情なのが

大人の事情といいますか

私のような世間知らずの子供(嘘)には理解しがたい、深いところだと思いました。

 

あれこれあった挙句、み~んな死んでしまって

最後に残ったのは妙子。 

 

あまりメジャーではない作品ですが、

若尾文子は終始着物姿。

透き通るような白い肌にぷっくり唇でこのうえなく美しいから若尾マニア必見!

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「南極料理人」

2012-04-29 | ★人生色々な映画

たまたま合わせたチャンネルの

「世界で一番受けたい授業」

というテレビ番組で

「ごみを絶対出さない南極の料理」

の驚くべき

「しりとり:使い回し料理術」を見て

ショックを受けた!

 

たとえば

「おでん」を作るとします。

で、そのおでんが残ったら「炊き込みご飯」に(普通の家庭ではここまでですね)

そしてさらにそれがのこったら

「ドリア」に

ドリアが残ったら「コロッケ」に・・さらに・・・・それが残ったらさらに・・・さらにさらに

という具合にしりとりのように

延々と料理を展開していくのであります。

貴重な食べ物を絶対無駄にしない

究極のエコ料理術です。

 

創意に溢れたミラクル技を披露した料理人は

実際に南極で越冬体験を二度もこなした

西村淳さん。

ユーモラスな語り口ですが

底知れぬパワーを感じさせる方でした。

 

おりしも

「日本映画専門チャンネル」で西村さんの書籍を

元に作られた

南極料理人」をやっていたので

早速見る。

 

主演の堺雅人の

ふんわりと温かみのある役作りと

「かもめ食堂」を筆頭とする

一時期流行った「料理映画」のような

ほのぼのとした雰囲気は 今風 で楽しめたが、

なんとなく食い足りなさを感じてしまいました。

映画では

究極の「しりとり料理」が披露されなかったのも残念でした。

 

なんといってもご本人、

西村さんの全身からかもし出されるユーモアと

生物的に力(パワー)があるというか

「原始的でダイナミック」な印象が強烈でした。

そんな人だからマイナス50度、

昭和基地からさらに1000キロ奥地に入ったドームで

サバイバル出来たんだろうなと思った。

 

そこで原作である

「面白南極料理人」を読んでみましたところ、

ものすごい内容に抱腹絶倒!!

 

氏のサバイバル術伝授本

「身近なもので生き延びろ!」も早速買ったのは言うまでもありません!

面白くてかつ、ためになります!

 

 

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「清盛」見逃して「にごりえ」見る

2012-02-13 | ★人生色々な映画

録画した「にごりえ」を

堪能、かまけていたら

またもや「清盛」見逃したああ。

 さらに

以前放送された

蜷川幸雄演出浅丘ルリ子などが出演した

舞台「にごり江」と

今井正監督の「にごりえ」を交互に

見比べるなどして悦に入っていたため

あっと思ったときには時すでに遅し・・・

地団太踏んでもあとの祭り~~だったのでした。

 

舞台「にごり江」では

濃厚妖艶ルリ子ちゃんと芝居の濃さでは負けない江守徹ちゃん(ちゃん?)が

ガチバトル。

江守徹は明治のやさぐれた男をやるには

福福しくてちょっと違和感あったけど・・・アクが強い

江守節を撒き散らしていて待ってました!感。

見ごたえはありました。ルリ子ちゃんは

伝法で粋で で、やっぱり原色!!なんだよねえ

 

映画版の淡島千景は儚げで虚無的でなぞめいていて

一葉が描いた「お力」そのもので

白昼さらされたその哀しい死に顔は

宮口精二の痩せた胸板と共に目に焼きつきました。

 

糟糠の妻、杉村春子も何度見ても上手いわ~~

すごく嫌味たらしいかと思うと女らしかったり・・

 

「おおつごもり」の

おおみそかの大店の風情も

たまりません!

それと、どうにもならない階級の差というものを

これでもか!と強調している作品であることをいまさらながら感じた次第。

 

堪能堪能・・・・・・・

甘露甘露・・・

 

*以前書いた感想文

舞台 にごり江

映画 にごりえ

 

 

 

 

 

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祇園の姉妹

2012-02-01 | ★人生色々な映画

溝口健二の1936年の作品。

依田義賢脚本

勝気な妹山田五十鈴と

古風な姉、梅村蓉子の対比が

面白いが

ただそこに

山田五十鈴がいるだけですごい存在感。

 

その身のこなしと絶妙な間、

流暢な台詞についついひきこまれてしまった。

 

白黒で描かれる

戦前の祇園の風情が素晴らしく

当時の香りが画面から

匂いたつような貴重なフィルム。

 

うっとり・・・

 

溝口監督って

田中絹代に言わせると「ユーモアが無い」だそうだけど

私はそうは思わない。

「赤線地帯」もそうだったけど

ここでも全編にわたって

なんともいえぬグッドセンスの

ユーモアが漂っており

そこがとても好きだ!

 

山田五十鈴のプロフェッショナルな

男扱いに

新藤英太郎が

見事ころっとだまされて

ミイラ取りがミイラになってしまうシーンなど

大笑いだった!

さらに、家に帰って古女房にとっちめられる場面も!!

 

祇園で生き抜く姉妹の

対照的な生き様を描いて

とても味わいが深い。

通行人の服装やら

鼻歌などから当時の風俗がくっきり浮かび上がってきて・・・

 

日本って独自の文化を持った美しい国だったのね~と

溝口作品を見るといつもそう思う。

 

もうこんな映画は二度と作れない、

こんな日本や日本人は

二度と帰ってこないと思うと寂しくなる。

せめてこのような素敵な映画の中で偲びましょう!!

 

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「安城家の舞踏会」

2011-12-15 | ★人生色々な映画

 やはりすごかった「安城家の舞踏会」!!

見せ場満載で

ツボ満載。

全部の台詞を暗記したいし

仕草もまねしたくなって

もう10回くらい見てしまいました!(爆)

何度も見て噛みしめたい玉のような映画。

木下忠司の音楽も優雅に

映画を盛り上げています。

脚本は新藤兼人。

 

没落寸前の華族「安城家」で開かれた

舞踏会の一夜を描く。

登場人物すべてのキャラが立っている群像劇であります。

 

吉村公三郎の演出は

予定調和を許さない驚きに満ちており

役者も生き生きと各々のパートを演じきっている。

 

筆者のツボ

 

その1

絶望して

自殺を図ろうとするお父様(滝沢修)に体当たりをくらわして阻止する原節子。

父親を猛烈タックルで弾き飛ばしながらも

「ごめんあそばせ」

とつぶやく

 原節子の品がすごすぎ!

 「ご辛抱あそばせお父様!」もノックアウト級な台詞。

その2

いきなり札束をかかえて出てくる原節子

 

その3

女の呼びかけにも答えず

ピアノを弾く若様、森雅之

ごうを煮やした女中の行動が・・・びっくり!!

●●● 壊れなかったかしら~~~

 

その4

滝沢修のお殿様ぶりと激高・狼狽シーン 

 

その5

元安城家運転手神田隆のひとり芝居のすばらしさ:

悪役で有名な神田さんしか知らなかったので

若々しくてしかも抜群に上手い演技に惚れ惚れしちゃいました!

 

 その6

華族としての高いプライドを持った

長女を演じた逢初夢子:

レースのハンカチを噛みながらの

「だけど昭子の心は華族!」にしびれました~!

 

その7

森雅之に翻弄され

辱めを受けて逆切れする津島恵子

メリハリ抜群の芝居と

ぴちぴちの色っぽさ!

「酔いどれ酒場」

「七人の侍」もすばらしかったけど

この小娘役最高! 

 

その8

森雅之の端正でいかがわしい魅力が堪能できて

大満足!!

「ごきげんよう」

 という挨拶がこれほど似合う男優もいない。

 

などなど書ききれない

お宝シーンが次々に・・・ 

 

重厚でありながらもきっちりエンターテイメントしている

絶妙のバランスは

さすが吉村公三郎です。

 

古い体制から新しい価値観へ・・・・

安城家の一夜が象徴しています。

感動がひたひたと胸に迫ってくる

クリスマスにぴったりの映画を

 

あなたもぜひご覧あそばせ!

 

 

 

 

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「泥の河」再見

2011-09-20 | ★人生色々な映画

NHKBSプレミアム

「山田洋二が選んだ日本映画の名作100本」という

企画番組で

「泥の河」 が放送されていたので再見。

やはりず~~んと心に染入る作品だった。

宮本輝の原作を

白黒画面で情感豊かに再現する

小栗康平監督の目線に感嘆した。

 

台詞に頼らず

俳優の絶妙な演技と映像にゆだねる演出が素晴らしかった。

過剰な音楽も無い。

「蟹」のシーンの後、きいちゃんが泣いたのは

混乱した信雄の心が読めたせいなのだろうか。別れの予感だろうか。

一番悲しい場面だった。

その後の信雄の放心、

夜店のシーン、田村高広の表情、藤田朋子、

加賀まりこ!、銀子ちゃんの笑い声、すべての映像が忘れられない。

 

ラスト、信雄が

船を追っかけるシーンでは

年のせいか?涙がこみ上げてきて困った。

最初は無言で・・・

そして遂に叫ぶ。

 

「きいちゃ~ん!」

ニクい。ニクすぎる。

 

「きいちゃ~ん!

きいちゃ~ん!」

 

やめてくれ~~~!!!!(爆)

 

ああいう別れのシーンはズルい。

 

木下恵介監督の「陸軍」での、息子の出征をどこまでも追っかけ手を振る田中絹代。

母親(いしだあゆみ)が乗った列車を

走って追う中島朋子(「北の国から」)・・・・

 

演技ってわかっちゃいるけど涙が止まらなくなるではないか!

 

 

 

 

 

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有馬稲子の「胸より胸に」

2010-05-20 | ★人生色々な映画
生活のためストリップ劇場で働く娘(有馬稲子)の変遷を
彼女を囲む男たちを絡めて描く。
戦後の浅草界隈、仲見世、隅田川の映像がふんだんに盛り込まれ、
今となっては貴重な記録になっている。

戦争で家と家族を失ったにもかかわらず
イネコチャンは明るさを失わず生まれ育った下町で
踊り子をめざし働いていた。

工場で働いている
親友の久我美子は「歌おう会」なる、青年団に所属していて
(音楽担当は木下忠司。忠司的世界が爆発している)
イネコを誘うも「立派なストリッパー」になる夢を持っている彼女は耳をかさない。

この頃まだイネコはぼってりしたスカートに花柄ブラウスで垢抜けない。
うぶな少女丸出しである。

偶然知り合った大学教授(冨田浩太郎)は
純真な彼女にひと目惚れ!

イネコちゃんはあまりに無邪気で無垢で可愛いので、
彼女を見ると誰でも好きにならずにはいられなくなるのだ!

さらにナイスバディとくれば誰がほっとくであろうか!!
(勝手に興奮しております)

女癖の悪いインテリわけあり妻帯者(下元勉)も
同様にひきつけられる。
下元勉が暮らすのは海が見える鎌倉の家。
少女波とたわむれるの図は活き活き溌剌。キャワイイ~~

一旦はプリティ・ウーマンのような幸せを夢見たイネコだったが
彼らとは住む世界が違うことを自覚し、カタギの生活をあきらめる。

そうこうしているうち
バンドマンのチンピラ(大木実)にころっと騙されてしまい、
ヒモつきストリッパーとして一生懸命働き始める。

この時点で化粧もファッションもど派手になり、
見た目にも立派なクロウトさんに成長。

有馬さんは原作に惚れ込んで自ら願い出たそうだけど、
ストリッパー役なんて誰でも出来る芸当ではない!
さすがあっぱれイネコさまだ。
際どいポーズは取らないまでも
美しいおみ足と宝塚仕込のダンスを
惜しげもなく披露する場面は口あんぐりものです。

生活に疲れたイネコは
働く青年たちの「歌おう会」の世界に触れ、
新しく出直そうと決心するのだが・・・

イネコちゃんの熱演と戦後の風景が忘れがたい。佳作。
岸惠子・久我美子・有馬稲子の3人を中心に1954年設立された
にんじんくらぶ記念すべき第一作目の作品。

永井荷風もあの浅草の雑踏にいたのだろうか?

監督 家城巳代治
脚本  椎名利夫 家城巳代治
原作  高見順
撮影   木塚誠一
音楽  木下忠司
美術 平川透徹

1955年 にんじんくらぶ
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「女の中にいる他人」再見

2010-03-16 | ★人生色々な映画
再見。

何度見てもついつい引き込まれてしまう。
成瀬巳喜男作品の中では異色のサスペンスもの。

ごくごくありふれた妻子持ちのサラリーマン
(小林桂樹)が誤って浮気相手を殺してしまう。
何食わぬ顔で優しい妻(新珠三千代)や
子供たちに囲まれた生活を続けるが、
徐々に
良心の呵責に追い詰められていくというストーリー。

こういっちゃなんですが、
色っぽい話とは無縁のような小林桂樹が
身体中からS●Xアピールを発散している若林映子を相手に
マジで浮気というのが逆にリアルだ。

そして殺人の動機がまた似合わなくてビックリ。
これが仲代達矢とかだったら
全然変わったものになるのだろうな。

さりげなく振舞おうとすればするほど
一挙一動があやしくなるさまを小林桂樹が達者な演技で魅せ、
(むっつり顔・シブいお茶を飲んでるようなしかめっ面も良い)
ハラハラさせられる。

新珠三千代がこれまた絶妙なんだわ。

長岡輝子が演じるものわかりのいい姑
(胸元ゆったりのくつろいだ着物の着付けがナイス)、
しっかり者の妻、無邪気な子供たち、
人の良さまるだしのバーのマスター(加東大介)、上司の十朱久雄
小林の友人で浮気相手の夫(三橋達也)、
主人公をはじめ、善人ばかりが登場する。

間にはさまれる
同僚の横領事件もスパイスになっている。
中北千栄子が生活感ある主婦役で出ているが、
出来すぎで思わずクスリと笑ってしまう。

上手い俳優たちのちょっとした言葉や仕草、
目の使い方などで見事にそれぞれの心情が表現されている。

新珠三千代が一瞬にしてハラをくくる場面は
さすがの名演だ。

成瀬作品では男は情けなくて小心で
女は肝が据わっている物語が多いがこれは典型。

しかしまあ
女は子供を守るためには何でもするのが、
ライオン・鳥・猿・人間も含めて生物のサガではある。

応接セットが収まった木造家屋の洋間、
こんな行きつけの店持っていたいなあ
と思わせるこじんまりしたバーなど、
成瀬組ではお馴染み、
中古智による美術がすごく心地良く、
なんとも言えない温かみを感じさせる。

そういえば「ノイローゼ」と言う言葉も久しぶりに聴いた。
今で言うところの「うつ」ですね。
「神経衰弱」って言葉も最近使われなくなりましたね。

しっとり濡れた雨のシーンも多いのが印象に残った。

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