そうですよね、私も一人暮らしが、性にあってて、好きですね。
奥の席にいた見慣れないご婦人が、二人の会話に、唐突に加わった。
年のころは、60代と思しきグレーヘアーの女性だ。
グレーのニットの襟元から赤いヒートテックが、覗いている。
女性は、マスターの店の近くのマンションに最近、越してきたのだと、自己紹介した。
冬子さんが、「ここのお店のコーヒーとマスターは、お勧めですよ」と、お茶目に言った。
マスターが、「☕が、お勧めなのは、ホントですけど、私は、あまりお勧めできませんよ」と、言ったので、冬子さんとグレーヘアーの女性が、声を上げて笑った。
波野と名乗った女性は、長い間、親の介護をしていたが、その親が亡くなったのを機に、家を処分して、中古のマンションを買ったのだと言った。
マスターが、波野さんのカップに、淹れたてのコーヒーを、注ぐと、「丁度、お代わりお願いしようと思っていたんです。」と、感激している。
冬子さんが、「マスターのこういう所が、なのよね」と言った。