朝は、冷えるわね。
冬子さんが、いつもの席から、マスターに、話しかける。
「そうですね」マスターは、答えた後、焼きあがったトーストを皿に載せ、冬子さんの席に、運んでくれた。
「今回は、娘さんの所、長く行ってらしたんですね」
おしぼりで手をふきながら、「もっと、早く帰って来たかったんですけど、娘に引き留められて、中々帰れなかったのよ。」
「きっと、冬子さんの事が、心配なんですよ。」マスターに言われ、冬子さんは、「娘の気持ちは、ありがたいと思うのよ、でもね、一人が気楽なのよね。」と、深いため息をついた。
マスターも、冬子さんの気持ち、独り者の、私には良く分かりますよと、言った。
傍から見たら、一人で、寂しくないのかとか思われるかもしれませんけど、結構、自分には、あってるんですよね。
冬子さんは、コーヒーをゆっくり飲み、トーストを、小さくかじった。☕