そろそろ咲くのかな?  242

2024-03-30 16:25:04 | 小説

「マスター、アイスコーヒー、出来る?桜もまだ咲かないのに、夏みたいだよ。」

店に入ってくるなり、額の汗をふきながらヤマさんが、アイスコーヒーを注文した。

マスターは、笑いながら、「天気予報で、暑くなるって言っていたので、氷を注文しときましたから、バッチリですよ。」と、答えた。

又、ドアが開いて、渚がリンちゃんと一緒に入って来た。

リンちゃんは、羽織っていた水色のカーデガンを脱ぎ捨てるように、イスの背に掛けた。

渚も、ボダーシャツの袖をたくし上げ、「マスター、アイスカフエオレ出来ますか?」と、矢継ぎ早に頼んだ。

先に来ていたヤマさんが、「親子で、騒々しくて、悪いね」と、マスターに謝った。

ヤマさんに、やっと気づいた渚が、「お父さん、仕事の帰りなの?」と、聞いた。

ヤマさんは、リンちゃんに、「ごめんね、親のしつけが、悪いもんだから、がさつでさ、仕事でも、迷惑かけてないといいんだけど」と、言った。

リンちゃんは、そんなことないですよ、良い先輩で、いつも仕事教えてもらって、助かってますと、ホローした。

ヤマさんが「そんなに褒められたら、奢らないわけにいかないな」と言って、作ってもらったアイスコーヒーを一気に飲むと、マスターに、二人の分も一緒に払うからと、支払いを済ませ、

もう一軒、寄るところがあるからと言って、さっさと帰っていった。

リンちゃんが、渚に、後でお父さんに、お礼言っておいて下さいと頼んだ。

「気にすることないから、ああいう人だから」と、他人事のように渚が言った。

 

 

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