読書日和

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「オー!ファーザー」伊坂幸太郎

2014-05-07 22:33:03 | 小説
今回ご紹介するのは「オー!ファーザー」(著:伊坂幸太郎)です。

-----内容-----
父親が四人いる!?
高校生の由紀夫を守る四銃士は、ギャンブル好きに女好き、博学卓識、スポーツ万能。
個性溢れる父×4に囲まれ、息子が遭遇するは、事件、事件、事件──。
知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。
多声的な会話、思想、行動が一つの像を結ぶとき、思いもよらぬ物語が、あなたの眼前に姿を現す。
伊坂ワールド第一期を締め括る、面白さ400%の長篇小説。

-----感想-----
主人公の由紀夫は、高校二年生。
由紀夫には、父親が4人居ます。
鷹、悟、勲、葵と4人居て、4人とも由紀夫のことを「俺の子だ」と言っています。
この4人と由紀夫が同じ家に住んでいるのですが、そんな特殊環境で育ったからか、捻くれた子になってしまったようです
由紀夫は凄く大人びていて、醒めていて、父親達との会話でも適当にあしらうような感じで話すことがしばしばでした(笑)

父親達は由紀夫に格言じみたことを言うことがよくあります。
序盤から格言的な言葉が出てきて、これは後半でこの言葉が生きてくるんだろうなと思いました。
伊坂さんの小説の十八番で、序盤で何か印象的なキーワードが出てきた場合、かなりの確率でそれが伏線になっていて後半に思わぬ形で登場したりします。
それは人の名前もそうで、「富田林(とんだばやし)さん」なる謎の人物の名前が出てきた時も、どう考えても物語が進めば登場するんだろうなという予感がしました。
「富田林さんは怖いぞ、やばいぞ」という感じでその名が語られていただけに、どんなやばい人が出てくるのか興味深かったです。

ちなみに父親達4人の職業は、鷹がギャンブラー、悟が大学の教授、勲が中学校の教師、葵がバーの経営者。
鷹は賭け事大好きでアウトローの陽気な悪オヤジの雰囲気を醸し出していて、悟はあらゆることを知っていてクイズ番組に出れば優勝出来るのではというくらいの博識、勲は筋骨隆々のスポーツ万能タイプで由紀夫に戦闘の仕方を教えてくれたりもしました。
最後の葵は女性を見かければ即声をかけるというくらいの女好きで、あまりの声のかけっぷりに由紀夫も呆れていました^^;

ただ父親達、4人が4人とも、良い味を出しているんですよね。
4人の誰かしらと由紀夫が2人で話す場面もあるのですが、みんな何かしら興味深い話をしてくれます。
釣れない態度を取る由紀夫ですが会話は軽妙で、読んでいて面白いです。

そしてこの作品の特筆すべきは、終盤の怒涛の伏線回収ラッシュです
あれも伏線、これも伏線で、終盤の意外なところで見事につながります。
伏線が一気に終盤で結びついて一つの大盛り上がりな物語を見せてくれるのは本当に凄いです
伊坂さんの作品では「別々だった物語が一つに合わさり、うなりを上げて動き出す」という展開がありますが、この作品は「別々だった伏線が一つに合わさり、うなりを上げて動き出す」という終盤の盛り上がり方でした。
怒涛の伏線ラッシュを怒涛の勢いで読み、非常に盛り上がりながら読めるクライマックスで読んでいて楽しかったです


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