読書日和

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「羊をめぐる冒険(下)」村上春樹

2007-05-12 11:22:40 | 小説
今回ご紹介するのは「羊をめぐる冒険(下)」(著:村上春樹)です。

-----内容-----
美しい耳の彼女と共に、星形の斑紋を背中に持っているという一頭の羊と<鼠>の行方を追って、北海道奥地の牧場にたどりついた僕を、恐ろしい事実が待ち受けていた。1982年秋、僕たちの旅は終わる。すべてを失った僕の、ラスト・アドベンチャー。村上春樹の青春三部作完結編。野間文芸新人賞受賞作。

-----感想-----
上巻に続き、下巻も読み終わりました。
下巻での興味は、<僕>がいつ<鼠>に会えるのかと、星形の斑紋を背中に持つ羊星形の斑紋を背中に持つ羊を見つけることができるのかということでした。
下巻の序盤で登場する「羊博士」が、かつて星形の斑紋を背中に持つ羊を見たらしい。
しかも見たどころか、この羊が体の中に棲みついたことがあったのだ。
この羊は意志を持っていて、人間に取り付いて支配することができる。
かつては「羊博士」に取り付き、次に右翼の大物に取り付いた。
この右翼の大物を利用して、羊は巨大な権力機構を作り上げた。
しかし羊にとって、この人物はただの使い捨てで、権力機構が完成した今、もう用なしなのだ。
羊は右翼の大物の体に取り付くのをやめて、別の人間に取り付くべく行動を開始していた。

「羊をめぐる冒険」という題名を見たときは、羊自体はそれほど重要なキャラではないと思っていました。
しかし読んでいくと、羊が悪役のボスみたいな存在に思えてきました。
まさか羊がこれほどまでの強さだとは…。


北海道十二滝町を訪れた僕と彼女。
山の上の牧草地に羊への手がかりがあると思い、そこを訪れる。
そこには<鼠>の別荘があった。
ついに鼠と再会するのかと思ったが、鼠の姿はなかった。
だがつい最近まで別荘にいた痕跡は残っていた。

クライマックスの「僕」と「鼠」の会話シーンはちょっと感動しました。
鼠が現れたとき、「僕」が最初に発したクールな質問。
鼠が登場したときから、そんな予感はしていたのですが。。。
「僕」がそのことに触れるのは後のほうになってからだと思っていたので。
このあたり、村上春樹さんの小説の面白いところかも。

最後の爆発音、これで三部作が完結するんだなという雰囲気がしました。
それと同時に、「僕」が全てを失ったんだなという気もして、切なくなりました。
風の歌を聴け、1973年のピンボール、羊をめぐる冒険(上)・(下)と4冊の作品を読んだわけですが、一番面白かったのは羊をめぐる冒険(上)です
これから何が始まるんだろう、とワクワクしました。
次が羊をめぐる冒険(下)です。
伏線がちりばめてあって、読んでいくと「ああ、そういうことか」と納得したりして面白かったです
特に<鼠>の伏線には驚きました。
あまり詳しく書くとネタがばれてしまうので書けないのが残念です(笑)

これで村上春樹さんの三部作を読破しました。
すごく文章がきれいで読みやすかったです。
あと、この小説の数年後が舞台の「ダンス・ダンス・ダンス」もいつか読んでみたいと思います。
全てを失った「僕」が今度はどんな冒険をするのか、興味深いです。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
カテゴリとしては (viviandpiano)
2007-05-12 19:45:29
純文学なのに、驚かされっぱなしで。
展開がミステリっぽいですよね。
独特の世界観、比喩、寓意。
それをぐいぐいと最後まで読ませる文章の力。
すごいです。

『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』もかなり破壊力ありますよ♪
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viviandpianoさんへ (読書日和)
2007-05-12 20:08:29
ミステリーの要素、「羊をめぐる冒険」で感じました。
先の展開が気になって読み続けてしまいます。
なんというか、つっかえることなく読み進められるのが良いと思います
村上春樹さんの文章力の成せる技ですね。

「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」、破壊力があるのですか!
読み始めたら止まらなくなってしまうということですね(笑)
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