読書日和

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「シアター!2」有川浩

2014-06-28 10:10:15 | 小説
今回ご紹介するのは「シアター!2」(著:有川浩)です。

-----内容-----
前途多難な小劇団を新たな危機が襲う…!?
「2年間で、劇団の収益から300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」
鉄血宰相・春川司が出した厳しい条件に向け、新メンバーで走り出した『シアターフラッグ』。
社会的には駄目な人間の集まりだが、協力することで辛うじて乗り切る日々が続いていた。
しかし、借金返済のため団結しかけていたメンバーにまさかの亀裂が!
それぞれの悩みを発端として数々の問題が勃発。
旧メンバーとの確執も加わり、新たな危機に直面する。
そんな中、主宰・春川巧にも問題が……。
どうなる『シアターフラッグ』!?

-----感想-----
以前ご紹介した「シアター!」の続編となります。
その時に「シアターフラッグの”その先”にも興味があるので、続編を期待したい」と書きましたが、本当に続編が出てくれて嬉しいです^^

劇団『シアターフラッグ』の主宰は春川巧、28歳。
主宰であり、脚本も書いています。
常にナヨナヨしているすごく頼りない感じの主宰です
前作「シアター!」で巧は『シアターフラッグ』を存続させるために兄の司から300万円を借りていました。
ただしそれには条件があって、2年間で劇団の収益から300万円を返さねばならず、それができなかった場合は劇団を解散しなければなりません。
もともと司は儲けの出ない”劇団”というものに冷淡で、弟の巧にもこの機会に演劇から足を洗ってほしいくらいに思っています。
前作でその300万円を返すために『新生シアターフラッグ』が走り出し、今作ではその奮闘ぶりがより詳細に描かれています。

「演劇ってもんは社会的に経済活動として成立してない」
序盤で出てきた司のこの言葉は核心を突くものでした。
スーパーメジャーな有名劇団ならともかく、『シアターフラッグ』のような小規模劇団では演劇で食べていくのは不可能です。
それゆえにみんなアルバイトをしながら演劇をしていて、生活も不安定になり、司はそこをすごく懸念しています。

今作では恋愛模様もかなりこじれてきています。
『シアターフラッグ』の看板女優、早瀬牧子は巧に惚れています。
巧はそんな牧子の想いには気付かず、『シアターフラッグ』新人女優にして”ディープインパクト”の異名を持つ羽田千歳を”シアターフラッグに舞い降りた天女”として何やら熱を上げています。
そして羽田千歳は巧の兄・司に惚れています。
こんな感じでぐるぐる回っているようです(笑)

また、今作では『シアターフラッグ』の公式サイトの掲示板が荒しの被害に遭います。
なぜか羽田千歳が集中的に狙われ、誹謗中傷のコメントが執拗に掲示板に書かれるようになりました。

有名な声優が入団したと聞いたのでどれほどのものかと思って『行こう、遥かなるあの山へ』をみましたが、しょせん……(苦笑)という感じでした。
私の好きなシアターフラッグが羽田千歳のせいでだいなしです。
羽田千歳が出るならもうシアターフラッグの舞台はみません。
私は大勢でわけあいあいとしてたシアターフラッグの雰囲気が大好きだったのに、羽田千歳のせいでシアターフラッグが分裂してしまいました。
私は絶対に羽田千歳を許しません。

↑こんな感じで、すさまじい怨念の書き込みが続いていました
書き込み内容からしてシアターフラッグの内情にかなり詳しい者であることが疑われました。
そして羽田千歳に強い恨みを持つ者。
その正体、実は上記の書き込みが仇となってバレることになります。
書き込み者は「大勢で和気あいあい」を「大勢でわけあいあい」と書いています。
ある人物との会話の中でこの癖を見抜いたシアターフラッグ看板女優の早瀬牧子さん、良い洞察力を持っているなと思います。

千歳とスズの大喧嘩も衝撃的でした。
”うっかりスズべえ”と呼ばれる清水スズは何をやるにもあたふたしがちで、日常的にうっかりを連発しています。
そんなスズをフォローしようと千歳が言った言葉にスズが激昂し、暴言に千歳も激昂し、まさかの大喧嘩に。
普段は喧嘩タイプではない両者の乱闘寸前の大喧嘩は意外だったなと思います。

主宰の巧は巧でテアトルワルツという劇場の支配人に啖呵を切り、それが引き金となってまさかの展開に。。。
その劇場を使わせてもらおうとしたのですが、支配人のあまりに傲岸不遜な態度と物言いに我慢ならなかったようです。
今作はなかなかトラブルが多いなと思いました。

そして嬉しいことに、あとがきを読むとさらに続編が出ることが明らかになりました
ここで終わってしまうのかという終わり方だったので、まだ続くと分かって嬉しいです^^
「2年間で劇団の収益から300万円返済」が実現できるのかどうか、色々こじれている恋愛模様がどうなるのか、第3巻を楽しみに待ちたいと思います


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