今回ご紹介するのは「やさしいため息」(著:青山七恵)です。
-----内容----
社会人5年目で友人なし。
恋人は3ヵ月前に出て行ったばかり。
そんな私の前に、行方知れずの弟と緑くんが現れて…
『ひとり日和』に続く芥川賞受賞第一作。
-----感想-----
先日新聞を読んでいたら、「やさしいため息」の紹介記事がありました。
昨年芥川賞を受賞した青山七恵さんが、受賞後第一作を出すとのこと。
内容の紹介文を読んで、これは面白そうだと思いました。
そして4日前に本屋を訪れたとき、「やさしいため息」を見つけたので、さっそく購入して読んでみました。
久しぶりに一人称の小説を読みました。
主人公は社会人5年目の江藤まどか。
ある日、江藤まどかの前に、四年間消息不明だった弟が現れる。
弟の名前は「風太」。
弟は姉のことを「まどか」と呼ぶ。
無遠慮な感じで接してくる弟に、まどかはイライラしがち。
姉の部屋に転がり込むことになった風太は、表紙に「江藤まどか」と書かれたノートに、一日のできごとを記録し始める。
このノートを何のためにつけているのか、物語が進んでいってもなかなかわかりませんでした。
一日ごとに、まどかに質問して、その日の出来事を聞くのです。
そしてそれを記録していく。
日記だとしたら、他人の一日を記録していくのだから「観察日記」になるのでしょうか。
風太がなぜそんな記録をつけていくのかは、物語の終盤で明らかになります。
風太の普段の振る舞いとは対照的な理由だったので印象に残りました。
この人間の心の寂しさを上手く小説にする辺り、さすが青山七恵さんだと思います。
そして「やさしいため息」の主人公・江藤まどかは、会社で浮いた存在になっています。
もっともこれは、本人が意識し過ぎているところもあり、周りは特にまどかを嫌っているというわけではないです。
しかしまどかは、会社での「付き合い」が大嫌い。
一緒にご飯を食べたりとか、飲みに行ったりとかを極力避けています。
この辺りの心情の描写はかなりリアリティがありました。
行きたくもない飲み会に行ったりするのは、嫌な人にとってはかなり嫌だと思います。
そうしているうちに、会社内で一人になってしまったようです。
しかしそんなまどかに、ちょっとした転機が訪れます。
それは「緑くん」との出会いです。
緑くんと話したことによって、まどかに社交への意欲が出てきます。
しかし、ここが青山七恵さんの真骨頂だなあと感じるのですが、社交への意欲が全開になるわけではないのです。
「ほんのちょっと、以前より勇気が出るようになった」という感じです。
この絶妙なバランスが、読んでいて何とも言えないさわやかさを感じます。
普段の生活でも、劇的に性格が変化することはまずないと思います。
何かを決意したとしても、毎日努力して少しずつ変えていくのではないでしょうか。
「少しずつ変わっていく日々」、青山七恵さんの小説には、常にこのテーマが潜んでいるような気がしました
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
-----内容----
社会人5年目で友人なし。
恋人は3ヵ月前に出て行ったばかり。
そんな私の前に、行方知れずの弟と緑くんが現れて…
『ひとり日和』に続く芥川賞受賞第一作。
-----感想-----
先日新聞を読んでいたら、「やさしいため息」の紹介記事がありました。
昨年芥川賞を受賞した青山七恵さんが、受賞後第一作を出すとのこと。
内容の紹介文を読んで、これは面白そうだと思いました。
そして4日前に本屋を訪れたとき、「やさしいため息」を見つけたので、さっそく購入して読んでみました。
久しぶりに一人称の小説を読みました。
主人公は社会人5年目の江藤まどか。
ある日、江藤まどかの前に、四年間消息不明だった弟が現れる。
弟の名前は「風太」。
弟は姉のことを「まどか」と呼ぶ。
無遠慮な感じで接してくる弟に、まどかはイライラしがち。
姉の部屋に転がり込むことになった風太は、表紙に「江藤まどか」と書かれたノートに、一日のできごとを記録し始める。
このノートを何のためにつけているのか、物語が進んでいってもなかなかわかりませんでした。
一日ごとに、まどかに質問して、その日の出来事を聞くのです。
そしてそれを記録していく。
日記だとしたら、他人の一日を記録していくのだから「観察日記」になるのでしょうか。
風太がなぜそんな記録をつけていくのかは、物語の終盤で明らかになります。
風太の普段の振る舞いとは対照的な理由だったので印象に残りました。
この人間の心の寂しさを上手く小説にする辺り、さすが青山七恵さんだと思います。
そして「やさしいため息」の主人公・江藤まどかは、会社で浮いた存在になっています。
もっともこれは、本人が意識し過ぎているところもあり、周りは特にまどかを嫌っているというわけではないです。
しかしまどかは、会社での「付き合い」が大嫌い。
一緒にご飯を食べたりとか、飲みに行ったりとかを極力避けています。
この辺りの心情の描写はかなりリアリティがありました。
行きたくもない飲み会に行ったりするのは、嫌な人にとってはかなり嫌だと思います。
そうしているうちに、会社内で一人になってしまったようです。
しかしそんなまどかに、ちょっとした転機が訪れます。
それは「緑くん」との出会いです。
緑くんと話したことによって、まどかに社交への意欲が出てきます。
しかし、ここが青山七恵さんの真骨頂だなあと感じるのですが、社交への意欲が全開になるわけではないのです。
「ほんのちょっと、以前より勇気が出るようになった」という感じです。
この絶妙なバランスが、読んでいて何とも言えないさわやかさを感じます。
普段の生活でも、劇的に性格が変化することはまずないと思います。
何かを決意したとしても、毎日努力して少しずつ変えていくのではないでしょうか。
「少しずつ変わっていく日々」、青山七恵さんの小説には、常にこのテーマが潜んでいるような気がしました
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
がーん
ときた。
なんか、今の私の気持ちに合ってるかも。
会社の付き合いが嫌だけど…っていう部分なんかリアルすぎるょー
全部断るわけにいかないしね~☆
少しづつ変わっていく
か~私もそうありたいなできれば「ヨイ」方向に
青山七恵サンははまかぜサンのお勧め作家サンだったと思ったので「ひとり日和」getしてあります。
そう考えると「ナラタージュ」も未読でした
たしかに、リアルすぎですよね。
主人公がごく一般的な社会人なので、リアリティがあるのだと思います。
「ヨイ」方向に、日々精進していきましょう
焦らず、少しずつ進んでいけば大丈夫ですよ。
「ひとり日和」は、のんびりとした雰囲気で読みやすいです。
「ナラタージュ」は、本の装丁が今の時期に合っていると思います。
内容もどことなく6月の梅雨の時期に似たところがあります。
切ない恋愛物語なので、読んでみてくださいね
「緑」君との出会いか・・・。
人と人との出会いって、大切だなって思います。
その人と出会ったことによって、人生にハリが出てきた、刺激を受けた・・・ってこと今までにいっぱいあります。
その度に、感謝の気持ちが芽生えます。
でも反対に、いやな人との出会いもあります。
できるだけそういう人とは出会いたくないのですが、職場・ご近所・学校・・・等等色んなところで、色んな人と接する限り、色んな出会いがあるのは、当然の事。
少し前までの私は、いやな人はできるだけさけるようにしか考えられなかったけれど、最近は、そういう方とも、程良い距離で、うまく付き合って行くことを学びました。
人との関わりは、大切な学びになりますね・・・^^b
毎日が楽しくなってくるし、感謝ですね☆
嫌な人との出会い…出来れば避けたいところです。
でも広い世の中、嫌な人というのも必ずいるものです。
そういう人ともうまく付き合って行くなんて、さすがですね。
「やさしいため息」のような小説を読むと、日々の人との関わりについて考えさせられますね。