今回ご紹介するのは「光」(著:三浦しをん)です。
-----内容-----
あれは罪じゃない。するべきことをしただけだ。
天災ですべてを失った中学生の信之。
共に生き残った幼なじみの美花を救うため、彼はある行動をとる。
二十年後、過去を封印して暮らす信之の前に、もう一人の生き残り・輔(たすく)が姿を現わす。
あの秘密の記憶から、今、新たな黒い影が生まれようとしていた―。
-----感想-----
久しぶりに三浦しをんさんの小説を読みました。
三浦しをんさんのすごいところは、一作ごとに作風が違っている点だと思います。
今回の「光」は、タイトルとは全く逆の、闇の雰囲気を持っていました。
物語は大きく五段落に分かれています。
それぞれの段落ごとに、語り手が変わっていくという構成でした。
最初の一段落は、美浜島という島が舞台になっています。
中学生の信之と美花、小学生の輔などがその島で暮らしていました。
人口は300人足らずの、のどかな島です。
この島にある日、恐ろしい天災が降りかかります。
生き残ったのはわずかに5人。
信之の両親などもみな死んでしまいました。
信之の幼なじみの美花も生き残っていたのですが、美花の身にトラブルが起こり、信之は美花を救うためにある犯罪をしてしまいます。
事件は信之と美花の胸の内にしまわれ、全ては闇に葬り去られた……はずでした。
しかし二十年後、もう一人の生き残りである輔が信之の前に現われたことによって、封印されていたはずの事件が呼び起こされます。
信之の重い過去を背負って生きる姿は、松本清張の「砂の器」と似ているなと思いました。
砂の器は2004年の1~3月に連続ドラマになったので、ご存知の人もいるかと思います。
忘れたい過去の記憶が、唐突に現われた人物によって引っ掻き回されるのは、嫌なものだと思います。
信之の前に輔が現われたことによって、かなり重い人間ドラマが繰り広げられていくことになります。
今まで読んできた三浦しをんさんの作品の中では一番重い作品でした。
こういった作品も書けるのかと思いました。
第二~第五段落は、美浜島時代から二十年後が舞台です。
信之は既に結婚し、子供もいます。
各段落は、それぞれの語り手から見た過去のことや、現在のことが描かれています。
ある段落では、輔は最低な人間だなと思ったのですが、次の段落では信之もひどい奴かも…と思ったりしました。
信之の妻の南海子もひどいところのある人で、それぞれの人物の心の影の部分が描かれているような作品だったと思います。
そういった意味では、少し「私が語りはじめた彼は」と似ているような気もします。
しかし「私が語り始めた彼は」はシリアスさの中に人間ドラマの面白さがある感じでしたが、こちらはシリアスさの中に人間の醜さや怖さがある作品でした。
それでも終わり方が比較的穏やかだったので、読後感はそれほど悪くなかったです。
この静かに燃え上がるような人間ドラマの中で、最後がうまくまとまったのは、さすが三浦しをんさんだと思います。
今回も三浦しをんさんの新たな一面が見られました。
ただ、だいぶ重い作品だったので、次はもう少し軽めの作品を読みたいなと思います。
来年は「まほろ駅前多田便利軒」の続編となる「まほろ駅前番外地」が発売されると思うので、今から楽しみです
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
-----内容-----
あれは罪じゃない。するべきことをしただけだ。
天災ですべてを失った中学生の信之。
共に生き残った幼なじみの美花を救うため、彼はある行動をとる。
二十年後、過去を封印して暮らす信之の前に、もう一人の生き残り・輔(たすく)が姿を現わす。
あの秘密の記憶から、今、新たな黒い影が生まれようとしていた―。
-----感想-----
久しぶりに三浦しをんさんの小説を読みました。
三浦しをんさんのすごいところは、一作ごとに作風が違っている点だと思います。
今回の「光」は、タイトルとは全く逆の、闇の雰囲気を持っていました。
物語は大きく五段落に分かれています。
それぞれの段落ごとに、語り手が変わっていくという構成でした。
最初の一段落は、美浜島という島が舞台になっています。
中学生の信之と美花、小学生の輔などがその島で暮らしていました。
人口は300人足らずの、のどかな島です。
この島にある日、恐ろしい天災が降りかかります。
生き残ったのはわずかに5人。
信之の両親などもみな死んでしまいました。
信之の幼なじみの美花も生き残っていたのですが、美花の身にトラブルが起こり、信之は美花を救うためにある犯罪をしてしまいます。
事件は信之と美花の胸の内にしまわれ、全ては闇に葬り去られた……はずでした。
しかし二十年後、もう一人の生き残りである輔が信之の前に現われたことによって、封印されていたはずの事件が呼び起こされます。
信之の重い過去を背負って生きる姿は、松本清張の「砂の器」と似ているなと思いました。
砂の器は2004年の1~3月に連続ドラマになったので、ご存知の人もいるかと思います。
忘れたい過去の記憶が、唐突に現われた人物によって引っ掻き回されるのは、嫌なものだと思います。
信之の前に輔が現われたことによって、かなり重い人間ドラマが繰り広げられていくことになります。
今まで読んできた三浦しをんさんの作品の中では一番重い作品でした。
こういった作品も書けるのかと思いました。
第二~第五段落は、美浜島時代から二十年後が舞台です。
信之は既に結婚し、子供もいます。
各段落は、それぞれの語り手から見た過去のことや、現在のことが描かれています。
ある段落では、輔は最低な人間だなと思ったのですが、次の段落では信之もひどい奴かも…と思ったりしました。
信之の妻の南海子もひどいところのある人で、それぞれの人物の心の影の部分が描かれているような作品だったと思います。
そういった意味では、少し「私が語りはじめた彼は」と似ているような気もします。
しかし「私が語り始めた彼は」はシリアスさの中に人間ドラマの面白さがある感じでしたが、こちらはシリアスさの中に人間の醜さや怖さがある作品でした。
それでも終わり方が比較的穏やかだったので、読後感はそれほど悪くなかったです。
この静かに燃え上がるような人間ドラマの中で、最後がうまくまとまったのは、さすが三浦しをんさんだと思います。
今回も三浦しをんさんの新たな一面が見られました。
ただ、だいぶ重い作品だったので、次はもう少し軽めの作品を読みたいなと思います。
来年は「まほろ駅前多田便利軒」の続編となる「まほろ駅前番外地」が発売されると思うので、今から楽しみです
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
できごとの見え方も違っていたりするのでしょうね。
重い作品だというのは、
はまかぜさんのレビューでよく伝わってきます。
でも、そこにある人間模様、気になります。
それぞれの人物がそのときどんなことを思っているかが、リアルに描かれていました。
重い作品ではありますが、とても奥の深い人間ドラマだったと思います。
1冊ですね!
しをん先生って
楽しい作品イメージがあるんですが
すごく深いものを書かれている!!!
すごいなぁ~☆
これはぜひぜひ読みたいです!!!!
もちろん「まほろ」続編も~☆
(あのコンビ大好きなので♪)
また読みたい本が増えました…おいつかないっす~(涙)
今まで読んできた三浦しをんさんの作品の中では、最もシリアスで重さがありました。
何でも今度の週末、青山の書店に三浦しをんさんが来て、サイン会をするそうです。
本当はそこで本を買って、サインしてもらおうかと思いましたが、早く読みたかったので先に買ってしまいました(笑)
あかねさんも機会ができたらぜひ、読んでみてくださいね
私も実はこれ、図書館でリクエスト順番待ち中なんです。
早く回って来ないかなぁ~
読んだら、はまかぜさんのレビュー改めて拝見させて頂きますね♪トラバも^^
記事を読んでいたら、とっても興味わいてきました。
なるほど、忘れたい過去をある人物が現れた事によって、掘り起こされてしまうのですね。
「砂の器」は最近TVで再放送を1,2回見ました。『私は貝になりたい」の宣伝と関連してか、中居まさひろシリーズ的にやっていました。「白い影」を「砂の器」の前に再放送していたようでした。久々に見ると重さだけでなく、引き込まれるものがあって、見入ってしまいましたが・・・。
三浦しおんさんの作品って、色んなタイプのものがあるんですね。
何パターンもの、変化球を投げられるなんて、すごい人だなと思います。
「砂の器」って再放送されているのですね。
それは知りませんでした。
エンディングの歌がドラマの雰囲気とかなり合っていると思います。
白い影も、シリアスな物語でしたよね。
中居まさひろが意外と演技がうまくて、驚いた記憶があります。
三浦しをんさんは本当にすごい人だと思います☆
これからの作品も楽しみです^^
latifaさんも、近々読まれるのですね。
早く順番が回ってくると良いですね☆
なかなか重い物語ですが、読み応えは十分です。
latifaさんのレビュー楽しみにしています^^
すごい重くて、どっと疲れました。でもしをんさん、すごい~!がんばったな~って思いました。
はまかぜさんのレビューにもあるように、全員結構悪い人(爆)なんですよね。。。。
何の罪も無い椿ちゃんが一番可愛そうだったかもしれん・・・。
PS キャンドルナイトなどの写真、とっても綺麗で上手に撮影されてますね~。ああいう夜の、しかもフラッシュ使わないで、ぶれない写真って凄く難しいのにー。 噂には聞いているものの、どんなフェスタなのか知らなかったので、凄く楽しく堪能させて頂きました☆
それはかなりのチャレンジだったと思います^^;
ホントにしをんさん、頑張ったなと思います。
毎回違う作風でくるのがすごいですよね
写真、お褒めの言葉ありがとうございます
楽しんでもらえて何よりです