読書日和

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「私が語りはじめた彼は」三浦しをん

2007-09-11 23:06:08 | 小説
私が語りはじめた彼は」(著:三浦しをん)

-----内容-----
私は、彼の何を知っているというのか?
彼は私に何を求めていたのだろう?
大学教授・村川融をめぐる、女、男、妻、息子、娘―それぞれに闇をかかえた「私」は、何かを強く求め続けていた。
だが、それは愛というようなものだったのか…。
「私」は、彼の中に何を見ていたのか。
迷える男女の人恋しい孤独をみつめて、恋愛関係、家族関係の危うさをあぶりだす、著者会心の連作長編。

-----感想-----
三浦しをん先生の本は読むたびに「今回読んだ本が一番面白い」と実感させられます。
最初に「ロマンス小説の7日間」を読んだのが5月頃。
初めて読むしをん先生の作品世界にすごく新鮮なものを感じ、これは他の小説とは一味違うなと思いました。
それから何冊もしをん先生の本を読んでいき、そのたびにあっと驚くような展開に息を呑みました。
特に「月魚」と「白い蛇眠る島」は伏線がすごくミステリアスで、「これは面白くなるぞ~!」と序盤で確信するほどの面白さでした

そして今回の「私が語りはじめた彼は」は、今までをさらに上回る素晴らしい作品です
繰り広げられる壮大な人間ドラマに息を呑みました。
今までのしをん作品とはまた違うミステリアスさがありましたね。
今回の作品は、大学教授・村川融(むらかわとおる)という一人の男に翻弄される回りの者たちの苦悩・嫉妬の物語。
彼は結婚しているが、しかし愛人も複数いる。
この愛人たちによる村川融の奪い合いが、恐ろしく迫力がありました
中でも太田晴美という女の執念には凄まじいものがあり、現実にこんな人がいたらどうしよう…と恐ろしくなったくらいです。

この小説は6つの章になっていて、どの章の登場人物も村川融と何らかの関わりがあります。
それほどまでに、村川融は他人に与える影響の大きい人物だということです。
一人の人間を巡ってここまで大きな物語が繰り広げられるなんて、今までそんな小説は読んだことがありませんでした。
きっかけは村川融のところに送られてきた一通の脅迫手紙。
愛人の一人が、村川融を自分だけのものにしようと画策した。
村川融の助手の三崎という男が手紙の差出人を突き止めようとするが、そこには別の愛人が仕掛けた恐ろしい罠の影があり…。
うむむ、思い出しただけでスリリング&ミステリアスな展開をもう一度読みたくなってくる。

三浦しをん先生のすごさは、こういった重い題材を使っているのに物語が暗くはならないところにあると思います。
暗いのではなく、先の展開が知りたくなるような切れのある文章を書くので、物語はミステリアスな雰囲気に包まれながら輝く、そんな感じです
今までしをん先生の本を読みきれなかったことはありません。
きっとこの先読むしをん作品も、すごく魅力的な作品なんだろうなと思います。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ぜんぜん (あかね)
2007-09-12 18:59:38
三浦先生の本を読めていない状態のあかねデス!
でもこの作品
めちゃくちゃ評判が高いことだけは知ってました!
読みたいな~♪
ほんと、三浦先生の幅って広すぎと言うか・・・
無限
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あかねさんへ (読書日和)
2007-09-12 21:36:21
三浦しをん先生の幅の広さはすごいですよね!
いずれ小説界の大御所になるのではと思います
色々なタイプの小説を書くから、読むほうも飽きないです。
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はじめまして (むさ)
2007-09-21 09:06:33
はじめまして、コメント&TBありがとうございます。
文章はとても読みやすいし、何かへの置き換えも上手い、何より書くものの幅が広いというのは、素晴らしいですよね。
一番最初に読んだ「むかしのはなし」だったのですが、SFっぽい背景に文学が乗ってる感じに感銘を受け、この人にはまりました。
 「まほろ駅前」のようなハードボイルドくずれっぽいのとか、今回みたいな愛憎劇とかバラエティに富んだカードを次々と繰り出されて、もうすっかり三浦しをんのトリコですw
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むささんへ (読書日和)
2007-09-22 01:49:12
三浦しをん先生は何を書いても上手いですよね。
「格闘するものに○」のようなギャグ調のものから、「月魚」や「白い蛇眠る島」のような思わずハッとするようなものまで、ホントに幅が広いと思います
「まほろ駅前」はまだ読んでいないのですが、ぜひ読んでみたい一冊です。
きっと面白いんだろうなあと思います

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