今回ご紹介するのは「レインツリーの国」(著:有川浩)です。
-----内容-----
きっかけは「忘れられない本」。
そこから始まったメールの交換。
共通の趣味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。
まして、ネット内時間は流れが速い。
僕は、あっという間に、どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。
だが、彼女はどうしても会えないと言う。
かたくなに会うのを拒む彼女には、そう主張せざるを得ない、ある理由があった―。
-----感想-----
向坂伸行(さきさかのぶゆき)と「ひとみ」の、何ともピュアな恋愛物語。
最初はネットでメールを交換する日々でした
そこから次第に伸行はひとみに会いたいと思うようになっていき、会えないかと提案しますが、あまり乗り気ではないひとみ。
それでも、伸行の熱意に押される形で最終的にデートすることになりました。
しかしデート当日、それまでのネットでのやりとりとは打って変わり、どうにもギクシャクとしてしまう二人。
…それには訳がありました。
彼女は、難聴という障害を抱えていたのです。
それに気付かず、ひとみの不可解な態度への不満を爆発させ、猛烈に罵倒してしまった伸行。
ひとみを傷つけたのは明らかでした。
その別れ際、ひとみの耳に補聴器があるのに気付いた伸行ですが、もはや時既に遅し。
涙を流しその場を去るひとみに、伸行はかける言葉もありませんでした。
その後メールで謝罪した伸行ですが、ひとみの反応はすっかり冷えてしまいました。
ハンデなんか気にするなって言えるのは、ハンデがない人だけなんです。
それも、私に迷惑かけないならあなたにハンデがあっても気にしないよって人がほとんどだと私は思います。
たしかに…そんな気がしますね。
気安く”気にするな”と言われても、本人はとても気になっているので、逆に癇に障るかも知れません。
ひとみの反論は続きます。
自分に迷惑がかかったら、途端にうるさそうな顔になる人はいっぱいいるんです。
それが現実なんです。
これも核心を突いていますね
綺麗事で「全然迷惑じゃないよ」と言いつつ、いざ自分に迷惑がかかったら本音が出るということだと思います。
とはいえ、ひとみのメールは敵意むき出しな突っ走った感じだったので、伸行の反撃を食らいます。
自分は障害のことで傷ついたんやから、障害を盾にすれば相手を傷つける権利がある、みたいにムチャクチャつっけんどんな文章ばっかりやったやんな。
俺は確かに無知であることで君を傷つけた、でも君は傷つけるために俺を傷つけた。
そんなら君のほうがこの部分は意地が悪いで。
こちらもかなり強烈な内容です。
特に「俺は確かに無知であることで君を傷つけた、でも君は傷つけるために俺を傷つけた」が印象的でした。
そうなのです。。。伸行は確かにひとみを傷つけましたが、それは故意にではありませんでした。
あくまでひとみの難聴のことを知らなかったからです。
ところが、ひとみは悪意を持って、伸行を「傷つけてやろう」と思って、強烈なメールを送ってきました。
この部分は伸行が言うように、意地が悪いなと思います。
そこを冷静に指摘した伸行。
こんな感じで、メールで派手に喧嘩を繰り広げた二人。
果たして無事に仲直りして、また会うことは出来るのでしょうか。。。
私的には、お互いの感情と感情がぶつかり合うことが多いこの作品は、なかなか読み応えがありました
単なる恋愛物語ではない、人間ドラマを含んだ作品だと思います。
それとこの作品は、同じく有川浩さん著の「図書館内乱」という作品とリンクしているようです。
なのでいつか機会があれば、そちらも読んでみたいなと思います。
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
※図書ランキングはこちらをどうぞ。
-----内容-----
きっかけは「忘れられない本」。
そこから始まったメールの交換。
共通の趣味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。
まして、ネット内時間は流れが速い。
僕は、あっという間に、どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。
だが、彼女はどうしても会えないと言う。
かたくなに会うのを拒む彼女には、そう主張せざるを得ない、ある理由があった―。
-----感想-----
向坂伸行(さきさかのぶゆき)と「ひとみ」の、何ともピュアな恋愛物語。
最初はネットでメールを交換する日々でした
そこから次第に伸行はひとみに会いたいと思うようになっていき、会えないかと提案しますが、あまり乗り気ではないひとみ。
それでも、伸行の熱意に押される形で最終的にデートすることになりました。
しかしデート当日、それまでのネットでのやりとりとは打って変わり、どうにもギクシャクとしてしまう二人。
…それには訳がありました。
彼女は、難聴という障害を抱えていたのです。
それに気付かず、ひとみの不可解な態度への不満を爆発させ、猛烈に罵倒してしまった伸行。
ひとみを傷つけたのは明らかでした。
その別れ際、ひとみの耳に補聴器があるのに気付いた伸行ですが、もはや時既に遅し。
涙を流しその場を去るひとみに、伸行はかける言葉もありませんでした。
その後メールで謝罪した伸行ですが、ひとみの反応はすっかり冷えてしまいました。
ハンデなんか気にするなって言えるのは、ハンデがない人だけなんです。
それも、私に迷惑かけないならあなたにハンデがあっても気にしないよって人がほとんどだと私は思います。
たしかに…そんな気がしますね。
気安く”気にするな”と言われても、本人はとても気になっているので、逆に癇に障るかも知れません。
ひとみの反論は続きます。
自分に迷惑がかかったら、途端にうるさそうな顔になる人はいっぱいいるんです。
それが現実なんです。
これも核心を突いていますね
綺麗事で「全然迷惑じゃないよ」と言いつつ、いざ自分に迷惑がかかったら本音が出るということだと思います。
とはいえ、ひとみのメールは敵意むき出しな突っ走った感じだったので、伸行の反撃を食らいます。
自分は障害のことで傷ついたんやから、障害を盾にすれば相手を傷つける権利がある、みたいにムチャクチャつっけんどんな文章ばっかりやったやんな。
俺は確かに無知であることで君を傷つけた、でも君は傷つけるために俺を傷つけた。
そんなら君のほうがこの部分は意地が悪いで。
こちらもかなり強烈な内容です。
特に「俺は確かに無知であることで君を傷つけた、でも君は傷つけるために俺を傷つけた」が印象的でした。
そうなのです。。。伸行は確かにひとみを傷つけましたが、それは故意にではありませんでした。
あくまでひとみの難聴のことを知らなかったからです。
ところが、ひとみは悪意を持って、伸行を「傷つけてやろう」と思って、強烈なメールを送ってきました。
この部分は伸行が言うように、意地が悪いなと思います。
そこを冷静に指摘した伸行。
こんな感じで、メールで派手に喧嘩を繰り広げた二人。
果たして無事に仲直りして、また会うことは出来るのでしょうか。。。
私的には、お互いの感情と感情がぶつかり合うことが多いこの作品は、なかなか読み応えがありました
単なる恋愛物語ではない、人間ドラマを含んだ作品だと思います。
それとこの作品は、同じく有川浩さん著の「図書館内乱」という作品とリンクしているようです。
なのでいつか機会があれば、そちらも読んでみたいなと思います。
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
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読んでみたいな~とも思っている作家です。
ハンデって、とても微妙な問題ですよね。
さりげなく、自然のこととして受け入れられるのが理想だけど、
なかなか実行は難しいかも・・・
二人の恋の行方、気になります(^^)
たしかに微妙な問題ですね。
自然のこととして受け入れるのは、言うだけならともかく、実際にやるのは難しいと思います。
この作品の二人はその問題を乗り越えようと頑張っていて、なかなかの奮戦ぶりでした。
気になる恋の行方、viviandpianoさんもいつか機会があれば読んでみてください
レインツリーの国読みました。
私は、図書館戦争シリーズからレインツリーの国を読んだクチなのですが・・・
小学生のころには私の身近にも、補聴器を付けた女の子がいて途中でその子が引っ越ししてしまったのでそれからはあってませんが、普通に家に遊びに行ったり・・・仲良かったつもりです。でも今、駅などで白い杖を持ってる人を見かけた時どうかなって考えると・・・
「自分に迷惑がかかったら、途端にうるさそうな顔になる人はいっぱいいるんです。
それが現実なんです。」
ひとみさんのメールは確かに伸さんを傷つけるためのもので、ひどい書き方ではあったけど、
この言葉が本当に辛いです。
私自身そうですから・・・
最後まで読んで、ハッピーエンドで、良かったし、途中で泣きました。
本当に(色々課題は残ってるけど)ハッピーエンドで嬉しかったです。
でも、あのひとみさんの言葉がどうしても頭に(心に?)残ってしまって・・・;
長文ですみません。
はまかぜさんはレインツリーの国で一番残った言葉は何でした?
コメントありがとうございます
なるほど、緋色さんはかつて身近に難聴の人がいたのですね。
となるとこの物語はとてもリアリティがあったのではと思います。
ひとみの言葉は核心を突いていて、人間の嫌な部分を描き出しているように思います。
ハッピーエンドなのは本当に良かったですね
色々と印象に残る言葉がありましたが、一番は「ハンデなんか気にするなって言えるのは、ハンデがない人だけなんです。」です。
これは上辺だけの慰めがかえって相手を不愉快にさせることを意味していて、強烈な言葉だと思います。
レインツリーの国は全体的に”薄々分かってはいるものの、あまり認めたくないこと”を会話の中に織り交ぜているなという印象を持ちました。
良かったらまたお越しください
太字の部分、私もグサグサっと来ました。
なかなかこの2人、メールなどでも本音でズバッと言い合ったりして、それが読んでいるこちらにも辛辣さがびりびり来ちゃいました。
とはいえ、難聴の人の事とか気持ちとかを少しだけとはいえ、かいまみる事も出来たし、恋愛ものとしても楽しめる小説でした。
PS よさこいの写真なども沢山楽しく拝見させて頂きました^^
latifaさんもグサッと来ましたか。。。^^;
強烈な本音が飛び交っていましたよね。
人間ドラマのある恋愛ものとして、なかなか読み応えがありました。
よさこいの記事も楽しんでもらえたようで良かったです。
またいつか機会があれば見てみたいと思います
TVで、障害をお持ちの方、PCを利用なさっている方、とっても多いなって、普段から感じていたから。
結局会って、最初はうまく行かなかったけど、その後のやりとりで、お互い本音を言い合える
仲になって行ったのではないでしょうか。
ぶつかり合いの中で、次第に心が通じ合っていった・・・そんな気がします。
障害者の方にとっては、健常者と同じように、普通に接してもらうのが、一番心に負担がないのでは・・・と思います。もちろん、障害の度合いによっては、そうでもないのですが、この本に登場している人なら、そう思うのではないかな・・・。
障害者の方も、健常者も、心も体もバリアフリー・・・の時代です^^
会うのに乗り気でないのは障害があるからでした。
ぶつかり合いながらも何とか心が通じていきましたが、お互いの考え方の違いが浮き彫りとなり大変でした
それでも、本音のぶつかり合う物語はなかなか読み応えのあるものでした