鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

幕末維新の風景と浮世絵 その2

2007-09-29 10:27:35 | Weblog
ヘンリー・スミスの『広重 名所江戸百景』(岩波書店)に掲載されている絵は、ブルックリン美術館に所蔵されているもの。明治初年に日本へ行った西洋人が持ち帰ったものと推定されています。この広重の『名所江戸百景』は、北斎の『北斎漫画』とともに、「おそらくヨーロッパの芸術家達に最も刺激を与えた一作」であろう、と解説文に書かれています。広重の父は、安藤源右衛門で直参の武士。江戸城と旗本屋敷の消火を受け持つ定屋敷の役人でした。自身では消火にあたらず、火消屋敷(江戸城下に10ヶ所あった)に配属されている300人ほどの火消と人足を監督するのがその仕事。源右衛門が詰めていたのは、八代洲(八重洲)の火消屋敷。江戸城東詰めの馬場先門にありました。広重は、その源右衛門の跡を継いで、20余年を火消同心として過ごします。 . . . 本文を読む

幕末維新の風景と浮世絵 その1

2007-09-29 05:09:03 | Weblog
手元に『横浜浮世絵と近代日本─異国“横濱”を旅する─』という本があります。編集・発行は神奈川県立歴史博物館。ここには、丹波コレクションを中心とする浮世絵が約7000点も保存されているとのこと。「丹波コレクション」というのは丹波恒夫さんという方が収集された浮世絵。丹波恒夫さんという方がどういう人であるか詳しいことは知りませんが、先日の特別展「広重が描いた日本の風景」に展示されていた浮世絵作品も「丹波コレクション」の一部でした。その膨大な浮世絵コレクションの中に、「横浜浮世絵」と呼ばれる約400点の作品があるのですが、それをもとに開港期から明治前期の横浜の風景・風俗を探ろうとしたものがこの『横浜浮世絵と近代日本』。幕末維新期の風景・風俗を探る際に参考になるのは写真と絵画。絵画の中でも特に浮世絵は、当時の風景・風俗を探るのに大いに参考になります。 . . . 本文を読む