今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

彼女の名前は

2023年04月23日 | 「本」のひきだし

ブクログより



ベストセラーとなった「82年生まれ、キム・ジヨン」の著者の短編集。
今回も数々の女性を取り上げている。
作者が9歳の女の子から69歳のおばあさんまで60人余りの女性たちにインタビューをした、とある。

主人公は、母親の介護を一人押し付けられている女性、
セクハラにあって、勇気を出して声を上げたOL。
女性アイドル歌手の追っかけをしている女子。
結婚する前から婚家の考えを押し付けられてきた花嫁。
朝から夜まで、孫たちの世話をするおばあちゃん。などなど。

特に印象深かった話の主人公をあげたが、日本の女性たちも ♯me tooと声をあげそうなことや、日本じゃそこまではないかも、などと比べてみたりするが、
そういう女性たちの背後には、朴槿惠大統領に対する不信感や、セウォル号事故の政府介入に対する不信感など、時代背景も関係していて、そのあたりの考え方も日本とは少し違うかもしれない。
それでもこういう本が共感を持って読まれるということは、まだまだ問題山積みということの表れであると思う。



彼女の名前は / チョ・ナムジュ

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戦場のコックたち

2023年04月22日 | 「本」のひきだし

ブクログより



合衆国陸軍 第101空挺師団第506パラシュート歩兵連隊第三大隊に所属するティムは管理部付きのコック、幼少から食いしん坊で、料理に興味があり、おばあちゃんのレシピ帖を持って入隊した。1942年のこと。

身分は五等特技兵、一般の兵士よりは少し軽んじられる身分だが、ノルマンディーに降下すると、限られた材料で、おいしい食事をとティムは頑張っている。
毎日食事だけ作っているかといえばそういうわけにもいかず、戦地は点々と移動し、しゃもじの代わりに機関銃を持つという風に戦況も変わってくる。

そんな中で、絹地のパラシュート生地を集めている仲間の謎や、粉末卵紛失事件や、自傷で戦列を離れようとする兵士たちにまつわる現象の謎、仲間だと思っていた兵士のスパイ容疑など、など。
ミステリー要素も満載。

だんだん厳しくなってくる戦況のなか、もうまともな食事さえ用意できず、次々に亡くなる仲間たち、すさんでいく気持ち、文中に年号が出てくるたび、もうすぐだよ、もうすぐ戦争は終わるからと語りかけている。

いよいよ戦いも終わり、帰郷の途中極めつけの出来事に遭遇する。
アルプス山麓で見つけた収容所、アメリカ人から見た収容所、まあ誰から見てもおぞましくて凄まじいものには変わりはない。生き残ったユダヤ人の手助けをし、薄めたコンソメスープを作り、少しずつ飲ませる。
やせ細った彼らの目にだんだん力が戻るのを見届け、収容所を後にする。そして懐かしい故郷、おばあちゃんの家へと帰る。

そしてエピローグ、生きながらえた戦友たちとの再会、結婚して養子として迎えた子供たち、明らかになっていく、明らかに。
ティム、なんていい奴なんだ!最高!!
体が震えるほどの感動。


戦場のコックたち / 深緑野分

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カタクリ三昧、文珠山

2023年04月17日 | 「山」のひきだし
文珠山に行ってきました。
カタクリがいっぱいあるそうです。
米原から山友を乗せて、少し遠出。鯖江インターを降りて八号線経由、二上登山口へ向かいます。
9時半過ぎに駐車場につきましたら、20~30台は止められそうな駐車場は8割がた埋まっていました。9割がたが福井ナンバーでした。きれいなトイレも完備されています。


すぐに樹林帯に入ります。ルートがいくつもあります。


すぐに登山道わきに出てきました。





びっくりしたのはここのネコノメソウ。なにネコノメかはわかりませんが、その茎の長いこと。
長らく雪の下で春を待ちわびて伸びたんじゃない。と友達。


賑やかです。




ひらけたところに出ました。






小文殊さん。


しばらく行くと展望台があり、そこからの展望。


いよいよ群生が出てきました。





この辺のイカリソウは白いです。

文殊山のお社を巻いて、先に奥の院へ行くことに。


奥の院のお社。


途中にある胎内くぐり。


春蘭!


ピンクのイカリソウ。






あれ? 花を探して歩いているうちに、またも文殊山を巻いていました。
お昼も過ぎていたし、文殊山には行かないことに?
展望台まで戻り、ランチをして下りました。
下りは、違うコースで。


アオキの花。花が咲いているのにその下に赤い実がついているという不思議な木です。


ササユリ。


こっちのコースにもカタクリいっぱい。

駐車場の9割がたの福井ナンバーの車が示す通り、1週間ごとに訪れるという人や、歩いている途中知り合いを見つけて、挨拶する人など、地元の皆さんに愛されている山だなぁと実感しました。
また、詳しくお花情報を教えてくださったり、白いカタクリの咲いているところを案内してくださったり、分岐で止まって、地図を見ていると「迷ってる?」と声をかけてくださったり、親切な人ばかりで、こんなに親切な人たちがいる山は初めてです。
季節によっていろんな花が咲いているので、また是非! と言ってくださり、また行ってみたいなと思います。
今度はちゃんと文殊山でお参りして、知恵を授けてもらわねば。



2023年3月31日(金)薄曇り
文殊山・365m  福井県鯖江市


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忍びの滋賀 いつも京都の日陰で

2023年04月09日 | 「本」のひきだし

ブクログより

滋賀県は京都の影に隠れて印象が薄い、佐賀とか千葉とかよく間違われると嘆かれる作者は滋賀のご出身。

昨年、連続テレビ小説の舞台にもなりましたが、あの舞台が滋賀だと認識している人がいかほどおられるか・・・などなど。
いくら説明してもわからない人には京都と言っておく、なんてそんなことはないでしょうが。
そう嘆くわりにそんなに郷土愛が感じられないのはどうしてでしょう?
やんわり毒舌で、適度に厳しく、なんだかすがすがしい。

そして全編を通して出てくる話題がお酒。
鮒ずしにはどんなお酒が合うとか琵琶湖の魚にはこんなお酒とか、小さい頃からの思い出や現在までほとんどお酒が出てきます。行ける口なんですな、姫野さん。

まあ私としましてはそこらへんには大いに共感するところです。
しかし、「私の口に合う日本酒は滋賀には無い、三重の何とかいうお酒です」って、最後にずっこけました。



忍びの滋賀 いつも京都の日陰で / 姫野カオルコ
 ( 2020年12月)


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日没

2023年04月08日 | 「本」のひきだし

ブクログより


皮肉で、風刺的な作品でした。桐野さん、またまた衝撃的な度肝を抜く作品です。

文化文芸倫理向上委員会という政府の組織があり、そこから召喚状を受けると出頭しなければならない。
いわゆるエンタメ作家のマッツ夢井が召喚され向かった先は・・・断崖の海辺に立つ療養所、とは名ばかりの中身は全く自由のない収容所。

意に沿わない言動をすると減点が課せられ、減点によって収容日数はどんどん伸びていく。
召喚された理由というのは読者からの告発で、犯罪や暴力を肯定的に描いている、つまり社会に良い影響を与えないという理由。
言論の自由とは言いながら、映画が年齢制限などで管理されているように書物も同じような扱いをしなければならないというのがその機関の言い分。

読者からの告発にショックを受け、そんな法律がいつの間にかできていることに呆然。混乱しながらも抗うことができず、収容所での生活が始まる。
社会から完全に分断された中で、粗食、屈辱、不自由、などに耐えながら、わずかに漏れ聞く情報も本当なのか嘘なのかわからないまま、最後まで正気を保つ事だけに腐心しながらの毎日。

話の展開にあっけにとられながら読むのをやめられません。本当にそういう施設がどこかにあるんじゃないかと思わせるような。
作家である自身をそこまで貶めるとは・・・
桐野さんは本当に世に問うておられるのでしょうか。


日没 / 桐野夏生




お花見サイクリングに行ってきました。


いなべの梅林公園



梅はすでになく、桜が満開。






員弁川沿いの桜並木、4~5kmもありそうな・・・この下を走りました。
桜で酔いそうな一日でした。

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