唯識に学ぶ・誓喚の折々の記

私は、私の幸せを求めて、何故苦悩するのでしょうか。私の心の奥深くに潜む明と闇を読み解きたいと思っています。

雑感

2016-07-20 23:22:36 | 雑感
  

 過去の投稿より
 「浄土真宗の正依の経典は『無量寿経』ですね。正しく依るということは、私の生活全体を『無量寿経』に問い、おまかせするということなのでしょう。「本願を説くを経の宗致とす」る『無量寿経』の根幹は第十八願です。そこに唯だ除くとしての、唯除の文が記されています。「唯除五逆誹謗正法」ですね。五逆罪と正法を誹謗する人を唯だ除く、と。この唯除の文は、一体誰を指しているんでしょうか。五逆の本質的問題は誹謗正法というてあるんでしょう。正面から言うと、誹謗正法なんですが、そこに隠されている問題は、私は何を依り所として生きているのかという問いかけであると思います。私の依り所は、三毒の煩悩といわれる貪・瞋・癡であると教えられているのでしょう。この煩悩を依り所としてしか生きていけないんですよ、ということを教えているんでしょう。貪・瞋・癡の根底に働いているのは我見ですね。我見がすべてなんでしょう。我見が五逆を生み出してくる根本の問題であることを、唯除の文は教えていると思いますね。どうあがいても我見しかないということです。そこに見出されてきた自身の姿が「無慚愧の我」でしょう。無慚愧に於いて我見が見出されてくることを唯除の文が教えている、他者の問題ではなく、自身の問題である訳です。社会を覆っている諸問題は何が問題なのか。日常茶飯事に起こってくる事件は何を起因としているのか。それを「誹謗正法」として押さえている『無量寿経』を大乗至極の教えとし、正依の経典としている浄土真宗が、正・像・末を貫いている本願一仏乗とし開顕されていることに有り難さを感ずるわけです。助かりたい、救われたいと思っていることが我見であった。どこまでいっても助からん身であった、私はあなたのこと何一つわかっていません、すべては私が作り上げた影でありました、影を見てあなたを判断している私に気づかされました、気づかされましたが、あなた自身を見ることは出来ませんということを知らされました、無慚無愧の我が身であります。私から出てくる自覚は「唯除」そのものなのではないでしょうか。「唯除」の自覚にのみ、人間性回復の道が開かれているのでしょう。

 いのちの営みは、
  はるか彼方の、いつとも知れず、あらゆる‟えにし(縁)〟のつながりにおいて、私にまで届いた。
  届いたいのちは、またはるか彼方の、いつとも知れず、あらゆる‟えにし〟のつながりにおいて受け繋がれていくのであろう。

 別境に「念」の心所がある。念の熟語には、念仏、憶念、信念etc、「念」は何を意味するのでしょう。
 念の心所は無記の性格?
 『成唯識論』巻第三に、「恒とは謂く此の識は無始の時より来た一類に相続して常に間断なくして、是れ界と趣と生とを施設する本なるが故に。」と。阿頼耶識の性格を明らかにしていますが、この一類・相続・無間断が念の性格でもあるんですね。
 念、曾習(ゾウジュウ)の境、即ち「無始の時より来た一類に相続して常に間断なく」、はっきりと記憶して忘れない性格なんですね。明記不忘だと。これが私のところまで届いている、業果ですね。欲界・人間趣・胎生という在り方を決定してきたのですね。
 人間界にのみ与えられた方向性。求める存在だということでしょう。何かを求めている。漠然としていても、不安を取り除きたい、歩む方向性を見出したい。私はどうなれば一番幸せになれるのかですね。
 仏教は大きく二つの方向性だと教えたのです。涅槃と菩提です。涅槃と菩提に背く在り方を謗法と押さえたのですね。どんなに自分の理想を描いたとしても、絵に描いた餅のようなものである、それではお腹は膨れませんよ、と。
 飛躍しますけれども、人間として生をうけたのは、涅槃と菩提を求める証として念ぜられている、憶念されているということなんでしょう。無始以来、念ぜられてきた歴史が、私を通して具体化しているのですね。生まれてからの歴史ではないということでしょう。
 人間に生まれるには、人間に生まれるだけの業を積んできたという背景があるわけです。そこには、生まれたら、人間に成れという願いがかけられているんですね。「成れ」とは「気づけ」ということと一体ですね。
 気づかなければ、「染の依他」を所依とし、染とは我執ですが、我執を所依として生きていかざるを得ないのですが、その背景に「浄分の依他」が支えている。
 僕は全くの依存症ですから、我執を所依として苦しむより、すべてを丸投げして、好きなように調理してくださいとお任せすることが楽なように思うんですがね。思いがある中はあきませんね。思いとの戦いかもしれません。今日もまた悪戦苦闘しましょう、悶々として。
 

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