非国民通信

ノーモア・コイズミ

そういう風にできている

2010-03-28 22:56:45 | ニュース

【ビジネス】残業する人 VS しない人、どっちの評価が高い? “評価の裏事情”を探る(COBS ONLINE)

 「仕事に無駄がなく、アウトプットも完ぺき。もちろん残業する必要もなく定時に帰宅するA君」

 「まじめに仕事に取り組んではいるが、毎日残業することでどうにか仕事をこなしているB君」

 A君、B君、どちらが高く評価されるのだろう。もちろん、仕事ができるA君の評価が高くなるのが当然だと思うのだが、本当にそうなのだろうか? 本音と建前を使い分ける日本人。評価基準の本音が知りたい。

 「社風にもよりますが、B君の方が高く評価される可能性はありますね」と話すのは、多くの企業で管理職研修を行っている本間正人氏。和を重んじる日本人は、周りが残業しているのを横目に、自分の仕事は終わったからと帰宅する社員を快くは感じないものらしい。「快く思われないのは、ノー残業を推進している会社でも同じです」。

 皆様のお勤め先の場合はいかがでしょうか。結構な数の職場を渡り歩いてきた私ですけれど、どこでも評価されるのは「B君」の方ですね。「A君」のタイプが評価される職場にはお目にかかったことがないですから、引用文中の本間氏の説明も妥当に思えます。中には例外的な会社もあるかもしれませんが、大体の会社はそういうものなのでしょう。

 ただ厳密に言うなら「B君」が高く評価されることは、まずないはずです。つまり「B君」は決して高く評価されないけれど、それ以上に「A君」は低く評価される、だから相対的に見ると「B君」の方が高く評価される、そんなところだと思います。仕事をきっちり時間内に片付けたからといって評価されることがないのと同様、真面目に仕事に取り組んだだけでは評価されることがない、相対的な順位付けはできるけれど、どちらも「評価されない」という点では変わらない、五十歩百歩であるとも言えます。

 総じて日本は「減点法」で評価する社会だと、そんな趣旨のこと以前に書きました(参考、事業仕分けが好評なのは)。つまり何か良いところを見つけて、そこを高く評価していくのではなく、どこか悪いところを探して、そこから減点していくのが評価法として好まれているように思えるのです。だから、この場合「A君」の業務遂行能力はあまり問題にならない、「B君」の真面目さも取り立てて評価の対象とはならないのではないでしょうか。その代わりに評価対象になるのは「A君」の「残業せずに帰ってしまうこと」であり、「B君」の「時間内に仕事を終わらせられないこと」ですね。評価する人が重点的に見るのは、あくまで減点の対象となるポイントですから。

 ゆえに「A君」とは「残業せずに帰る奴」であって、「残業せずとも仕事を終えられる」能力は取り立てて考慮されない、「B君」は「仕事が遅い奴」であって、「真面目に頑張っている」点はオマケみたいなものに過ぎません。そこで「残業せずに帰る奴」と「仕事が遅い奴」が比較対象となったとき、前者よりも後者の方がまだ許せると、そう評価されがちなのが実態と言えるのではないでしょうか。

 結局、どんなに仕事ができても余力を残していれば、その余力を仕事に投入しないことが減点の対象となる、評価を下げる結果ともなるわけです。これが「和を重んじる」風習の行き着く先なのでしょう。評価されたければ、あらゆる点でケチがつかないように努めなければならない、どんなに頑張っても仕事のために人生を捧げなければならない、そういう風にできているようです。

 

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5 コメント

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Unknown (バサラ)
2010-03-28 23:53:19
それは“職場にどれだけ長い間居られるか”っていう、只の我慢比べじゃないかと…。
当然、早く帰った方が負けですね。

そこで行われてるのは“仕事”ではなく“我慢大会”と考えれば何の不思議も無いですね。
どちらの評価が高いか (GX)
2010-03-29 14:44:57
 そう言われると、ついつい(日本の労働環境的に考えたら)B君だと答えてしまいそうですが、言われてみると相対的にそうなだけで、実際はどちらも「評価されない」かもしれませんね。むしろ、B君のように残業する労働姿勢が当たり前なのかもしれません。まあ、どんなに要領が悪い人でも働けると好意的に捉えられなくもないですが、やはり早く終わったなら早く帰れる方が一番に決まっています。すごく効率が悪く見えるのですが、仕事に全身全霊を捧げる(それで倒れた場合はその人を捨て、新しい人員を投入する。)ことが日本式の効率化なんでしょうね。
Unknown (非国民通信管理人)
2010-03-29 23:18:06
>バサラさん

 仕事の出来よりも、いかに会社に尽くしたかが問われるようなものですからね。相互監視で抜け出すことを許さない、そんな我慢大会です。

>GXさん

 前にも書いたことですが、いかに「絞り尽くすか」が日本でいう効率なんだと思います。定時で帰るA君は余力を残しているのでムダがある、必死で居残るB君の方がムダが少ない、みたいな。日本では効率化が進めば進むほど、働く人には余裕がなくなっていくのでしょう。
奴隷の自分 (慎太郎の夢は終わった)
2010-03-30 12:31:46
昨年の年末に上司から「社員の考課表」なるものを書くように言われました。 チェックする項目が10個あって「◎・○・△」で自己採点していくんです。
①髪の毛・髭・服装等の身だしなみが良く、お客様や上司に好感を与えているか?②積極的に掃除しているか?③2分以上、1ケ所に固まって井戸端会議していないか?④プライベートな用事より、仕事を優先しているか?⑤上司から指示されたことは迅速に行っているか?⑥常連様には名前を呼びお客様ひとりひとりに積極的に声をかけているか?⑦お客様の少ない日にお客様を誘う努力をしているか?⑧会社の繁栄のために有効な提案を行い、上司を補佐することができているか?⑨自分で解決できるトラブルは上司を頼らず迅速に解決し、必ず事後報告しているか?⑩後輩を厳しく温かく教育し、最大限に力を発揮させているか?
全部の項目が酷すぎて 今まで上司の期待に応えようと働いていたことがあほらしくなり それからはまず自分を大切にするようになりました。会社の姿勢がこれじゃあ まともに評価される日は未来永劫おとずれませんもんね。
Unknown (非国民通信管理人)
2010-03-30 23:17:34
>慎太郎の夢は終わったさん

 これは何とも典型的といいますか、まさに日本企業のスタンダードといった感じですね。業務に直接関係することではなく、働く「姿勢」や「態度」から真っ先に減点しようとするわけで。もっと他に重要なことがあると思うのですけれど……

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