男性の半数は「座りション派」――。松下電工は12日、30~50代の夫婦約500組に聞いたところ、夫の半数は座って小用を足していたという調査結果を公表した。8年前と比べ、3倍以上に増えているという。同社は「座った方が水はねもなく、トイレ掃除もしやすいことが浸透しつつあるのではないか」と分析。今後も「座りション派」は増えるとみている。
もうずっと昔のことになりますが、主にロシアから研究者を招いての学会がありまして、学生だった私はスタッフとして狩り出されたわけです。で、博士号はとったものの就職先のない先輩や、初級のロシア語を受講していただけなのに連れてこられた素人娘などと、皆で一緒に机を並べたり資料をコピーしたり道案内したりと、まぁ誰でもできるようなことをやっていました。
で、そんな折りに素人娘が、なにやらすごいショックを受けたとか。聞いてみると、ある女性教授をトイレに案内したのですが、何気なくその後を除いてみると、便座を持ち上げてあったとのこと。素人娘としては一体何があったのか計りかねると、いたく衝撃を受けていたようでした。
「それはですね」と私が解説しました。「ロシアでは女性が用を足した後、次に男性が使うことを考えて、便座を上げておくのがマナーなんですよ」と。
これは、嘘です。そんなマナーはありません。本当の正解は、ロシアでは(今はだいぶ変わったかも知れませんが)トイレの汚さに定評があり、それは単にプライバシーがないだけで通気性の良さから意外に清潔な中国のトイレなどの比ではなく、世界中の荒くれトイレを相手に戦い抜いてきた歴戦の猛者である椎名誠氏をして「どうやったら人間がここまで便所を汚すことができるのであろうか」と言わしめる代物であります。「なぜ穴が開いているのにそこを使わないのか?」とか、そういうレベルなのです。
しかもソ連時代はトイレの便座もなぜか貴重品、公衆トイレの便座もすぐに持ち去られてしまうため、見つからないように隠しておくとか(何の意味が?)。そんなわけで、ソ連では便座を使わずに用を足すスキルがなければ生き延びることができません。そこで生み出されたのが和洋折衷、東西融合型の放尿・排便術で、すなわち洋式トイレの上に靴のまま乗り、そこから和式にまたがるという、かつての日本でも見られた伝説のスタイルがソ連ではかなり普及していたようです(まぁ、実際に見たわけではありませんし、誇張して伝えられている部分もあると思いますが)。
そんなわけで、便座を上げていたロシア人女性教授の場合、自分のやり慣れたスタイルで用を足したのだと推測されます。便座を上げないまま土足で乗ってしまう人も多いようなのですが、きっと日本の(ロシアに比べれば)清潔な便座に遠慮して、そこに土足で上がるに忍びないと、それで便座を上げたのかも知れませんね。よく見れば便器の縁に靴の痕が見つかったはずです。
まぁ、自分の国の常識が通用するとは限らないと言うことで。
ファビオ・カペッロのイングランド代表監督就任の前夜、この選択について意見を求められたフランス代表のドメネク監督は、「これはイングランド人監督にとって深刻な問題だ」とコメントした。「スウェーデン人(エリクソン)やイタリア人を探しにいかなければならないとは残念なことだ。代表選手たちのことやイングランド人のメンタリティーをよく知っているのは、イングランド人監督なのだから」。ドメネクはまた「この行為はイングランド人監督たちに対し、『君たちは無能なんだ。だから別のところに探しにいく』と言っているようなものだ」と、得意の問題発言をすることも忘れなかった。
イングランドのメディアも、「国民は、イングランドのクラブを指揮したこともなく、この国のサッカーを1度も肌で感じたことがないカペッロという選択が、まったくピンとこない様子である」と報じてきた。
ちなみに、サッカーのイングランド代表監督にイタリア人のカペッロ氏が就任したことで賛否両論に別れているとか。フランス代表のドメネク氏はフランス国内からもその資質を疑問視されているような人なのですが、それはさておきメディアやファンの中にもイングランド人の監督へのこだわりは少なくないようです。
この辺の背景にはEURO2008予選でのイングランドの敗退とそれに伴う犯人捜しがありまして、曰く国内リーグに外国人が多すぎるからだと、島国根性の本場らしい言動が幅を利かせていたりもするのです。ベッカムのような人格者ともなりますと「外国人を負けた言い訳にするのは間違い。彼らは多くをもたらした」と反論するのですが、世論は必ずしもベッカムの反論に頷きません。
ただ、イングランド人に有力な監督候補がいないのはある意味では当然のことです。メディアはイタリア人のカペッロを指して「イングランドのクラブを指揮したこともなく、この国のサッカーを1度も肌で感じたことがない」と語りますが、ところがイングランド人の監督で国外で活躍した人となると皆無で、つまりイングランド人の代表監督候補はというと「他のリーグのクラブを指揮したこともなく、よその国のサッカーを1度も肌で感じたことがない」、そういう候補しかいなかったわけです。
別にイングランドの流儀を貶めるつもりはありませんし、むしろ私の好みのサッカースタイルでもあるわけです。ただし、イングランドのやり方がそれだけで世界どこでも通用すると思ったら大間違い、それは学ばねばならないでしょう。島国根性の二番煎じの国としても、教訓とすべきところはあるかと。
イングランドのクラブの監督といえば、ヴェンゲルにしてもファーガソン、モウリーニョ、グラントなど非イングランド人がたくさんいるわけであって、代表監督がそうなのも理の当然(?)かも。
柔道、テコンドー、サッカー、スポーツの母国はプライドが高くて大変です。もっとも日本の場合、たいして強くもないスポーツ(バレーとか)にも日本人監督に固執している部分がありますが、これは時代錯誤な対応ですね。
なお母国ではありませんが、今年のラグビーのワールドカップで優勝した南アフリカは、監督は南アフリカの人でしたが、片腕格のコーチとして、かつてのオーストラリア代表監督を起用しました。これはいろいろな意味で、大いに参考になるかも。
余談:私もブログを開設しました。「非国民通信」さんでのコメントとはだいぶ雰囲気が違うかもしれませんが、お時間のあるときは管理人さんも遊びに来てください。
プレミアリーグでは、イングランド人が持っていなかったものを持ち込んだ監督、クラブが成功を収めているわけですから、それだけ見ても国籍へのこだわりはナンセンスですよね。自分の流儀だけではなく、他から学ばないといけないと言うことでしょう。
ブログ開設、おめでとうございます。前々からBill McCrearyさんにはブログをお勧めしたいと思っておりましたところで、さっそく読ませていただきました。あまり他人のブログにコメントを残すことはない私ですが、ひっそり巡回させていただきます。