経済なんでも研究会

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木を見て森を見ない 新・原発政策 (下)

2023-03-02 08:04:18 | エネルギー
◇ エネルギー計画も作らない杜撰さ = いま日本は年間およそ1兆㌔㍗時の電力を生産し、消費している。その電力をどんなエネルギー源で生産するかを決めるのが、エネルギー計画の中核となる電源構成。21年度の実績は、再生可能エネルギー20.3%、原子力6.9%、火力72.9%となっている。このうち火力発電に使う原油・石炭・天然ガスなどの輸入価格が暴騰した。だから「原発を最大限活用する」という考え方は、必ずしも間違いではない。

だが太陽光や風力など再生エネルギーの活用も、きわめて重要だ。ところが今回の新・原発政策には、その視点が全くない。原発の新増設だけに、マトを絞ってしまった。これは明らかに経産省の跳ね上がりすぎ。このため唐突な感じは否めず、反対論を強める結果につながった。岸田首相も「これでは具合が悪いかな」と感じたのだろう。

福島原発の大事故によって、多くの日本人が原発アレルギーを持ったことは事実だろう。そんなところへ、突如という感じで「古い原発の60年を超す運転、次世代型原発の新設」という新政策を突き付けられた。心配や反対の声が上がるのは、むしろ当然かもしれない。ただ国民の多くは、必ずしも「原発、絶対反対」ではない。「無くて済むなら、それに越したことはない」と考える人が大半だろう。

原油・石炭・天然ガスの輸入量を減らすために、「まず再生可能エネルギーによる発電を増やす。政府は補助金を出して、太陽光や風力発電の普及を推進する。それでも不足する分は、原発に頼らざるをえない。だから古い原発の寿命を延ばし、次世代原発の新設にも取り組む。その結果、10年後の電源構成はこうなる」--こんな新エネルギー計画ならば、国民の多くは理解してくれるはずだ。岸田さん、森を見よう。

        ≪1日の日経平均 = 上げ +70.97円≫

        ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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