経済なんでも研究会

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中途半端な 金融の量的引き締め (下)

2024-04-05 07:24:42 | 金融
◇ 日銀はETFの購入を止めただけ = FRBは国債と住宅ローン担保証券を売買することで、量的な金融操作を実施した。これに対して日銀は、国債とETF(上場投資信託)を売買している。ETFというのは株式の集合体だから、中央銀行が株式を売買することになってしまう。このため先進国の中央銀行が、ETFを金融操作のために売買することはない。しかし日銀は株価を下支えすることが重要だと考えて、一種の禁じ手を使用した。

日銀は17-20年に、年間4-7兆円のETFを市場から購入した。量的緩和である。しかし株価が回復したため、23年の購入額は2100億円に減っている。そして23年10月4日以降は、株価が大幅に下落してもETFの買い入れを止めている。したがってETFでみる限り、金融の量的緩和は終了した。日銀のETF保有残高は現在71兆円、年間の税収額と同じに膨れ上がった。これを売り出せば、量的引き締めになるが、そんな気配は全くない。

一方、日銀は16年9月から、国債を月5-10兆円のペースで買い入れている。特に23年は多く、114兆円にのぼった。そして、この国債については今後も月6兆円前後を購入し続けることを決めた。23年の月平均9兆5000億円に比べれば、購入額は減る。しかし国債についてみれば、なお量的緩和が続く。現在の日銀の保有額は600兆円という膨大な金額。それでも買い入れを止めないのは、国債の市場価格が暴落するのを恐れているためだと考えられる。

アメリカの場合は、FRBが量的引き締めを続けているが、まだ資金の吸収量が十分でない。日本の場合は、量的緩和の程度は縮小したが、まだ引き締めには至っていない。だから株式市場の周辺には、多額の投資資金が滞留している。この資金は何か悪材料が出ると一時的に引っ込むが、すぐに戻ってくる。株価が下がらない最大の原因が、ここにある。

        ≪4日の日経平均 = 上げ +321.29円≫

        ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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