「お前は死んだ」「お前の一生はいい一生だったのか?」
閻魔法王が問い質す。単純な問いだ。
*
イエスの青い札とノーの赤い札のどちらかを上げることになっている。
否定か肯定かしかない。
それ以外の答え方はない。
*
おれはイエスの青い札を上げる。
それで尋問は終わりだ。
次の世の扉が開く。
「次へ進め」になる。
*
いいことをしたか、よくないことをしたか、それは問われていない。
生きて来た自分の人生を肯定するか否定するか、生きた当事者の自分が肯定するか否定するか、それだけだ。
*
閻魔法王は上げた青い札を見てそこでにっこりする。「いい人生を生きられてよかった。嬉しいよ」と言って、引き寄せて、ハグをする。
ハグが熱を持っている。凄まじい熱だ。1000度はありそうだ。いっきに熔けてしまいそうになる。
*
此処で仏陀が登場する。1000度になったおれの体を引き寄せて、またハグをする。
おれは10000度に到達してしまう。熔けてしまう。
***
「ふふふ、ふふふ、そんなドラマがこれからお前を持ち受けているかもしれないぞ」の呟きが聞こえた。おれは飛び起きた。
おれは、こんな夢を見て飛び起きた。午前4時を少し過ぎていた。