音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■「私の家に、テレビはありません」とWolfgang Boettcher先生■

2012-01-07 23:58:24 | ■楽しいやら、悲しいやら色々なお話■

■「私の家に、テレビはありません」とWolfgang Boettcher先生■
                       2012.1.7  中村洋子

 


★新年明けまして、おめでとうございます。

2012年1月1日午後3時前、日本列島から600キロ南方の、

「鳥島」を震源とする、M.7の大深度地震で、

東京も震度4と、大きく揺れました。

これから、まだまだ、何が起きるのか・・・とても不安です。

一日一日、大切に生きることを、あらためて、自覚させてくれました。


★年末年始は、静かな環境で、

 「 本物 」 のクラシック音楽を、楽しみました。

例えば、Wolfgang Boettcher  ベッチャー先生と、

指揮のNeville Marriner ネヴィル・マリナ― (1924~)による、

Johannes Brahms ブラームス (1833~1897)の、

「 Das Doppelkonzert a-Moll für Violine, Violoncello und Orchester Op. 102 = Double Concerto 」

「 ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 」 (1887) や、

Paul Hindemith パウル・ヒンデミット (1895年~1963) の

「 Cello Concerto チェロ協奏曲  」(1940) を、

Paul Tortelier ポール・トルトゥリエ (1914~1990年) の

名演奏で、聴きました。


★このような名曲と、名演奏を聴く手段は、

いまや、ご自分でそのCDを探し出し、選択するしかありません。

FM放送には、歴史的な名演はほどんど流れません。

新聞のテレビ欄を見ますと、 “ 行き着くところまで逝った ” と、

思わざるを得ないほどの、俗悪な娯楽番組ばかり。

それらに、何の必然もないのに、こびりつかせている

 “ 音楽もどき ” の、バックグラウンド騒音には、

耳を、塞ぎます。

 


★先月の、石川県津幡町・シグナスホールでの、

Wolfgang Boettcher  ベッチャー先生との録音には、

東京からも、数名の方ですが、遠路はるばる、

見学に、おいで下さいました。

「 これまでの人生で、あのような幸福感と充実感を、

味わったことは、ありませんでした 」 という、

うれしいお手紙を、頂きました。


Boettcher 先生の、迫真の演奏をお聴きになり、

ごく自然に、そのようなお言葉が思い浮かんだことでしょう。

本来は、クラシック音楽を聴く人たちが、

日常的に、そのような体験をすべきなのです。

それが、どうして、稀なこととなってしまったのでしょう。


★Boettcher 先生 と、録音以外にも、

本当にさまざまなことを、お話いたしました。

それが、滋養のように、いま、私に染みわたっています。


★以前、当ブログでもご紹介しました、

http://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/d/20111107

ドイツの風刺番組 『 Heute show 』 について、

「 面白く、素晴らしい番組ですね 」 と、申しましたところ、

先生は、「 それは何ですか? 日本のテレビ番組ですか? 」

私 「 ドイツ ZDF の人気番組ですよ 」

先生 曰く「 私は、テレビをもっていない 」

 

 

 


★「 毎日 Bach を弾き、  Beethoven を勉強し、

それに、Yoko Nakamura の新曲も大変です。

演奏が難しいところは、何十通りものフィンガリングを考え、

practice します。

テレビを見る時間は、全くありません 」


★先生は、ベルリンの自宅に在宅中、

奥さまがラジオから聴いたニュースを、間接的に聴かれるそうです。

1時間のうち、20分はニュースを流している放送局があり、

それをよく聴いていらっしゃる奥さまは、世界情勢にも、

とても、詳しいそうです。

しかし、先生は、読書が大好きで、

「 いま、トルコのノーベル文学賞作家の小説を読んでいる 」


★毎日、倦まず弛まず学び続ける・・・、

そのような真剣な生き方に、必要なものは、

必要なもののみを、集中的に選び、

余分なものを、極限まで捨てる、

そのような態度であると、思います。

Boettcher 先生は、それをまさに日々、実践されています。

 

 


★先生は、ベルリンにお帰りになった後もお忙しく、

28日は、ケルン  Köln で、「若くて素晴らしい( Boettcher 先生  )」

 ピアニストと、Duo recital デュオリサイタルを開催されました。


★「演奏は fantastic で、standing ovation までありました 」 と、

演奏をお聴きになりました、Cellist の Johannes Nauber

ヨハンネス・ナウバー さんから、メールが、届きました。


★Nauber さんは、 Berliner Philharmoniker

ベルリンフィルのメンバーを経て、

現在は、ケルン  Köln の、Gürzenich-Orchester

ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団で、演奏されている

Boettcher 先生の、古いお弟子さんです。


★この Gürzenich-Orchester ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団は、

上記の Johannes Brahms ブラームス 作曲、

「 Das Doppelkonzert a-Moll für Violine, Violoncello und Orchester Op. 102

ヴァイオリンとチェロのためのドッペルコンチェルト 」Op.102  (1887) の

初演をするなど、歴史の古い名オーケストラです。


★Nauber さんも、私の作品を各地で、演奏してくださっています。

これから、楽しみな一年が始まります。

 

 

 


                   ※copyright © Yoko Nakamura
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲
                                           

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