Masayukiの独り言・・・

老いの手習い日記です。

SPACの演劇を見る

2017-02-11 22:24:10 | Weblog

 演劇に興味を持つようになったのは、つい最近のことでオペラやミュージカルなどの舞台を見るようになってからであった。また、静岡にSPACという舞台演劇を創作する劇団があり、これにも大きく影響された。SPACの作品を見るのは「東海道四谷怪談」「高き彼物」に続いてシェイクスピアの「冬物語」が3作目である。各々の作品は時代、世界観など違いはあるが、演ずる様子は、私にとって多くの感動を与えてくれる。そして演出者の妙味もだんだん感ずるようになってきた。

 シェイクスピアの作品と云えば、「ロミオとジュリエット」や「マクベス」と云った悲劇の内容がイメージされるが、この「冬物語」のタイトルを聞いただけでは全然イメージがわかなかった。その上シェイクスピア晩年の作品で悲喜劇であると聞いてさらに見てみたいという気持ちにさせた。2月11日(土)15時からの開演であり出かけた。前列から5列ほどの左側の席で場内の席はほぼ満席であった。ベルが鳴り始まったが何故か、舞台は人の気配がするものの暗い闇の中で沈黙が長く続いた。渡された資料には、この物語の内容がなく、どのように展開していくのか分からないが新鮮な期待を持った。

 このドラマは二幕で構成されていて、一幕は、シチリア王の宮殿で、来ている親友のボへミア王の様子が気になっていたそれは王妃との浮気を感じたからだ。その嫉妬から臨月を迎えている妃を責め立て牢獄に入れてしまう。そのショックから王子までが死に、王妃も後を追うように息を引き取る。そしてシチリア王は生まれたばかりの王女も野に捨ててしまう。大切な人を失い、ようやく過ちにきずいた王は悲しみと後悔にくれる。これこそ悲劇のストーリーであり暗く重々しい舞台であった。これが二幕になるとガラッと変わった。一幕から16年の歳月が経ち奇想天外なストーリーが始まった。死んだものと思われた王女は、漁師に拾われ、その娘として美しく育った。その娘の素性は知らないでボへミアの王子に求愛される。娘は身分の違いを感じ断っていたが、その成長を陰から見守っていたボへミヤ王の家臣が、王女であることを打ち明け、失意に暮れているボヘミア王のところに行き、経緯を話す。王は喜び、この結婚が承諾される。すべてがハッピーエンドの終わりとなった。

 一つの作品で悲劇と喜劇が混在する劇は初めてであった。しかし、違和感はないし、その結び付けにより印象を持ったのは、この最後の場面で、死んだ王妃の石像が動き出すところがある、自分の娘の王女がボへミアの王子と結ばれ、これで両国が友好関係に繋がることへの亡き王妃の喜びを表現した演出であったと思った。これにより悲劇と喜劇という結びつけがたい劇を纏め、評価される作品になっていることを感じた。

 


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