今月の18日の金曜日だった。
アーサーがオシッコをする格好をするものの、しかも所かまわず。
どうやら尿が出ないみたいなのだ。
その行為を繰り返すばかりで、わたしの部屋を歩き回っていた。
お陰で寝られず、下の居間の炬燵でカンちゃんと一緒に寝ていた。
アーサーは恐らく尿路結石と思われた。フグリを触ると,固い物があった。
そこを少し触ってみたけど、そのあと沁みるようにほんの少し尿が出たけど
獣医さんに連れて行った方がいいだろうと思った。
尿が出ないと尿毒症になって命を落とす危険がある。
でもなあ、かなり以前、目やにが止らず、病院に連れて行こうと思ったら、
大暴れして2階から落っこちてしまった。
それ以来、アーサーは何かあっても病院に連れて行かないと決めたのである。
旦那が山口県の宇部で個展をしている時、拾って来たのがアーサーである。
生粋の野良猫の赤ちゃんで、普通、最後に生まれて乳を飲む事も出来ず、死ぬ確率の高い猫だった。
しかし、個展会場の近くのおばさんがその子猫を助け、どういうわけか、その子が江崎家にやって来る事になったのである。
しかも、途中、一泊してきた友人の家の炬燵の中で下痢便をしたらしく、『ビチクソアーサー』なんて嬉しくない名前をつけられたのである。
それでも、アーサーは我が家ですくすく育ち、生まれてもう10年になった。
朝起きたら,部屋の中にアーサーの姿はなく、帰って来たら病院に強引に連れて行こうと思った。
身体が強く無さそうだったけど,10年も生き延びて来た。
外で何をしているか分からないけど、よく傷をして帰って来たし、
全身ビショビショで帰って来た事もある。
何度か,もう帰って来ないか,なんて思ったこともあったけど、その都度帰って来てた。
しかし、今回これでいよいよか,とも思った。
妻のオレコとはよく一緒に寝ている。
どっちかと言えば,オレコの方が強い。
オレコも拾って来た猫だけれど、1度出産させて,避妊をした。
その時生まれたのが、コテツ、サンダー、キクチヨである。
雌2匹は貰い手があり、雄3匹が残ったのである。
そのうち2匹は姿を消し、今はキクチヨのみとなった。
2日経ってもアーサーが帰って来ない。もしかして命を落としたか,とも思った。
しかし、A子女史に「アーサー見かけなかった?」と聞いたら
「昨日山から降りて来るのを見たよ。元気よかったよ」とのこと。
3日目の深夜2時頃だった。もの凄い臭さに目が覚めた。
ベッドから,アーサーが見えた。臭い,何だこの匂い、と思った。
眠くて起き上がれない。アーサーはすぐ姿を消した。
わたしは又寝てしまったけど、朝起きてとなりの部屋を見たら、ビニールシートの上に2カ所、茶色い液体があった。
拭き取って匂いを嗅いだら,深夜臭かった匂いと同じだった。
オシッコがわずかでも出ているのか,と思った。
その日,ゴミを捨てようと車に乗って家から5メートルいった所で,急いで走り去るアーサーを見た。
それは笑える程,元気のいい姿だった。ちょっとホッとした。
次の日、夜パソコンを触っていると,アーサーが部屋に入って来た。
あれ?なんか落ち着いている。あちこちしっこされたら困ると思って慌てたけれど
わたしのベッドの上で寝ようとする。
うん?尿路結石治ったのか?
餌を食べたらすぐ横になって寝ようとしている。
しかも,臭くない。
良かった,ともかくオシッコは出るのだろう。
野良はどっか強いのかもね。
綺麗だった頃のアーサーである。
さっきまでわたしのベッドの上でオレコと寝ていたアーサーである。
振返ってアーサーを眺めていたら、椅子の背にシャーッとマーキング。
あの心配はなんだったのか。いつもなら怒るけど、今日はアララで済ました。
なんだかね。大変よ、ほんと。