『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『BALLAD/名もなき恋のうた』を観た]

2009-09-08 19:11:52 | 物語の感想
☆原作となった「クレヨンしんちゃん」云々は別にして、非常に面白かった。

 内容は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』の戦国版である。

 主演の草なぎ剛がもっと面倒な演技をする作品かと思いきや、実に見事に、生真面目な戦国武士を演じていて、私は魅力を感じた。

 姫(新垣結衣)に好意を持ちつつも、身分違いの恋を、自分の国防への使命で打ち消そうとする。

 そんな相反する感情をうまく表現していた。

 新垣結衣は、私の好みでないが、主人公のシンイチが「いつの時代でも女は強い^^;」と言うように、気丈に振舞いつつも、運命に従がう様が良かった。

 ・・・そう、時代は個人の幸せよりも、共同体の幸せを重んじる時代だった。

 どちらがいいと言うわけではない。

 より深く大きい「正義」が重んじられるのは、現在も過去も一緒だ。

 故に、春日城の殿は、自分の娘である<れん姫>を、政略的に近在の有力者と結婚させようとしていたが、大きな勢力を持つ、その傲慢なるかな男(大沢たかお)との婚儀に、最終的には「否!」と言う答えを出し、合戦が始まることになる。

   ◇

 メインキャラクターをはじめ、舞台となる春日城を形成する人々が味わい深く描かれていた。

 そういった優しい視点は、監督が『三丁目の夕日』の作り手なのでお手のものだろう。

 タイムスリップしたシンイチの持つ「ドラえもんの秘密道具」の如き未来のアイテムは、主に、戦国の人々とのコミュニケーションツールとして使用される。

   ◇

 この作品のテーマは、「大切な人を守ること」にあろう。

 そのテーマに準じて、丹念にエピソードを重ねていく語り口に、私はイーストウッドや黒澤と似たものを感じた。

 それを説得力あるものに見せているのは、何よりも、舞台となる戦国時代の美術セットの素晴らしさだろう。

 草なぎ演じる武士の住まいの、考証的なリアルさもあるし、各侍の衣服のくすみ具合や甲冑の汚れなども生活感が感じられた。

 城に付随する城下町の雰囲気も、そこに生きている者たちの息吹が感じられた。

 作り手は、あえて主人公たちを歩かせて、その背景の村人たちの生活を垣間見せてくれる。

 上に春日城の全容を掲げているが、このような大規模な舞台の構築は、邦画史上でも稀だろう。

 合戦時、背景の一部である漆喰の壁に矢が刺さったり、火縄銃の弾で壁が抉られる描写に興奮した。

 ・・・最後の合戦で勝利し、凱旋する主人公たちを、れん姫は物見櫓の上から降りて来て、城内を、「ワンカット」で走って迎えに行く。

 その姫の移動の背景も完璧に構築されている。

 家来や村人たちは、姫が通り過ぎていくと、当然のようにかしずき頭を垂れる。

 そのような演出もそつがない。

 見事である。

   ◇

 惜しむらくは、現代からタイムスリップしたシンイチ役の子の演技に、あまりにもムラがある点だろうか?

 元々が、この役は「クレヨンしんちゃん」だったわけで、作り手の戸惑いが感じられもした。

 でも、その両親も、おってタイムスリップしてきて、三人で戦国見聞をすることになり、それ故に、家族揃って楽しめる<ファミリー映画>となったので良かったか?

 合戦時に、『駅馬車』のクライマックスを彷彿とさせるが如く、シンイチファミリーの4WDが飛び出してくるところなんかたまらない^^

 それから、もう少し、「タイムスリップ」自体にケレン味を加えることは出来なかったのか?

 あまりにもあっさりし過ぎである^^;

                                    (2009/09/08)

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6 コメント

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TBありがとうございました。 (sakurai)
2009-09-09 08:14:32
ほぼ、「戦国大合戦」を踏襲していましたので、その見事とおっしゃるってる部分は、アニメの通りですわ。
もとになってるものが、完成された見事なものですから、これを変に作ったら、どうしようもないですが、VFXが売りの監督らしく、自分のいいところ、得意なところをうまく生かしてたと思いますわ。
返信する
sakuraiさんへ♪ (ミッドナイト・蘭)
2009-09-09 08:39:55
おはようございます^^

私は、「クレしん」は近年になって見始めたので「戦国大合戦」を観ていないのですが、いつか、大画面で見れるチャンスもあると思っています^^

戦国時代とシンイチ家族が違和感ないのが見事でした。

私はどうしてもこの作品、黒澤テイストを感じてしまうのです。

時代考証がちゃんとしているからかなあ^^
返信する
黒澤テイスト (sakurai)
2009-09-09 13:04:32
戦いの布陣とか、矢玉の飛ばし方の丁寧さとか、オオクライの性格の描き方とか、アニメ見たとき、「黒澤の映画をよく勉強してるなあ」と思いました。
やはり「戦国大合戦」は、別格です。
ぜひ、一度ごらんになられることをお勧めします。
あの時、周りに「だまされたと思って見ろ、見ろ」といっても、ほとんど相手にされなかったんですよね。
うれしいような、さびしいような・・・。
返信する
sakuraiさんへ♪ (ミッドナイト・蘭@拝島駅)
2009-09-11 10:10:08
おはようございます(^O^)

コメント遅れてすいません。

多忙と頭痛で、エントリーがやっとでした。

・・・ならば、日曜に借りてきて「戦国大合戦」見てみます。

もしかして、井尻侍の死もオリジナルと同じなのでしょうか?

そうなると、「クレしん」目当ての子供は、その悲劇性に度肝を抜かれ、大人の厳しさを学んだことでしょう。

姫と一介の武士の、あってはならない恋は、悲恋としてリアルを保たれたのでしょうか。
返信する
TBありがとうございました (シムウナ)
2009-09-20 14:47:24
TB有難うございました。
本作品を観賞して、ぜひオリジナル版を観賞
したくなりました。と思ったらどこも
レンタル中…みんな考えることは一緒ですね~
許されない愛…戦国時代と現代社会との違い。
身分を超えた悲恋に感動でした。

今度、訪れた際には、
【評価ポイント】~と
ブログの記事の最後に、☆5つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!
返信する
シムウナさんへ♪ (ミッドナイト・蘭)
2009-09-21 07:56:16
私も借りたいのですが、借りれない状態です^^;

ところで、『バラッド』上映館には、「クレしん」の「戦国大合戦」のパンフレットが売ってますよね。

妙に購買意欲をそそります^^;
返信する

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