フグが、マンボウに…

昼食の後片付けをしている時、
それは、私の手から滑り落ち、テーブルの上のランチョンマットを経て、
さらに椅子に落ちた後、ゆっくり(のように見えました)、フローリングの上に落ちました。

私の手を離れ、床に落ちるまでの間に、私は『壊れないで…』と祈る思いでしたが…、
『カチッ…』という音がしました。

「大丈夫？」
主人の声が、オフィスにしている隣の部屋から聞こえてきました。
カチッという音と、いつもとは違う私の気配に、主人が声を掛けてくれたのでしょう。

「うん、大丈夫よ。」と応えたものの、私は一瞬動けませんでした。
今まで大切に使ってきたお箸置きを、壊してしまったのです。

私はお箸置きが好きですので、出先でかわいいのを見かけると、
つい買いたくなってしまいます。
高価なものは買わないのですが、我が家の食器棚には、いくつものお箸置きが並んでいます。

そのフグのお箸置きをどこで買ったのかは覚えていません。
でも、沖縄や北海道など、山梨以外での生活には、いつも持って行っていました。
今回も、それを持ってきていたのです。

フグは、しっぽが割れて、床に横たわっていました。
分かれ分かれになってしまったフグを拾いながら、かわいそうなことをしてしまったと
思いました。

何かの間違いであってほしい…ところですが、
夕食の時間に、お箸置きが入っている引き出しを開けると、フグはやはり壊れていました。
でも、私はこのお箸置きを使い続けることにしました。
フグは、主人用に…。
壊れてしまいマンボウのようになったのは、私用として…。

山梨に帰ったらくっつけてあげるからねと約束をし、しっぽの部分は大事にしまっています。