マキペディア(発行人・牧野紀之)

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独立存在、das Fuersichsein。

2011年11月21日 | タ行
独立存在、das Fürsichsein。向自存在、対自存在とも訳される。

  参考

 01、対自に対立するものは即自だけにとどまるのではなく、同時に対他でもある。例えば知覚される物が他物に対してはしかじかであるのに、対自的にはそうではないという場合のごとくである。この場合には対自はむしろ即自である。さらに対他の「他」が他物というごときものではなく、他の人々であることがある(例えば第5章第3節その1の「事柄そのもの」の場合)が、この場合には対自的に存在するというのは、自分だけで存在するということである。そうしてこの意味が自覚的を意味する対自としばしば重なりあっている。(金子武蔵訳「精神現象学」上巻468頁)

 02、自己意識はさしあたっては単純な独立存在であり、全ての他者を自己から排斥することで自己同等性を保つ。その本質と自己意識にとっての絶対的な対象は自我である。(精神現象学143頁)

 03、これに反して植物は独立存在には達せず、個体性の限界に触れるだけである。(精神現象学187頁)

 04、この事が目的概念と独立存在と自己保存との区別であるが、それはいかなる区別でもない。(精神現象学197頁)

 05、独立存在を単純な自己保存的自己関係と規定しよう。そうすると、独立存在の他者は単純な否定性だということになる。(精神現象学216頁)

 06、我々が独立存在という表現と結びつけている表象がかの概念〔独立存在の一般的概念〕に一致している事を示して、この表現をかの概念のために使うことを正当化しよう。(大論理学第1巻147頁)

 07、独立存在の中には観念性という規定が入り込んでいる。(小論理学第95節への注釈)

 08、独立存在の最も手近な例は自我である。(小論理学第96節への付録)

 09、原子論哲学の観点は絶対者を独立存在として、即ち「1」として、しかも「多くの1」として規定することである。(小論理学第98節への注釈)

 感想・ヘーゲルは「原子(アトム)は分割しえない1であり、それは一層深く捉えると「個体的なもの(das Individuelle)であり、主体的なものである」(ズ全集第18巻56頁)と言っている。

 10、意志の原理は独立存在である。しかし、その独立存在には排他性と有限性が結びついている。(歴史における理性112頁)

 11、自我の自己内での自立性、即ち自我の独立存在〔というあり方〕はプラトンには無縁であった。(ズ全集第18巻68頁)

 12、他者を自己の契機にすぎないものとして持つ事が独立存在の規定である。(寺沢訳大論理学2、訳注290頁)

 ★ 対他存在

1, 他在は「関係としての無〔存在に対立する無〕」である(寺沢訳1、121頁)

2, 他在は本質的に定在の中にありかつ中にない(定在から分かれている)から対他存在である(寺沢訳1、121頁)

3, 対他存在が定在の真の規定。
  定在そのものは存在の規定だけである。非存在を含むものとしての定在は規定=否定された存在、他在である。(寺沢訳1、122頁)

4, 他在への関係の中でも自己を維持する。これが即自存在。

5, 存在と無は成の中では生成と消滅。定在の中では即自存在と対他存在。(寺沢訳1、123頁)

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