マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

年金制度における公務員厚遇

2011年11月03日 | カ行
<掛け金は安く支給額は多い>

 どうして公務員ばかりが優遇されるのか。マジメに働いてきたサラリーマンは、もうやってられない。

 厚生年金の支給開始年齢が68-70歳に先延ばしされるというので、老後の生活設計見直しを迫られるサラリーマンは戦々恐々だが、ここへ来て、保険料の上限も引き上げられる公算が高まってきた。

 厚生労働省は、年金財政を強化するために、現在は月給60万5000円で頭打ちになっている保険料の上限を117万5000円まで引き上げると言い出している。

 普通に考えれば、保険料が増えればその分、年金支給額も増えるはずだが、そういう話ではない。給付額の増加を抑えることも同時に検討するという。つまり、取れるところからどんどん徴収するが、それに応じた還付はしないと居直った。

 腹立たしいのは、サラリーマンばかりイジメて、公務員の手厚い年金は手つかずのままということだ。

 「ドロボー公務員」などの著書があり、公務員年金に詳しいジャーナリストの若林亜紀氏が言う。

 「年金の官民格差は著しいものがあります。格差を是正するため、2007年に自民党政権が年金一元化法案を出したのですが、官僚のしたたかな抵抗に遭って廃案になった。それからというもの、一度も議論にすらなっていません。

 公務員年金は、基礎年金(1階)、共済年金(2階)に加え、3階建ての部分が手厚い。『職域加算』という制度があり、在職20年以上の公務員は、報酬に比例する年金支給が一律で2割増しになります。勤務年数と給料が同じなら、公務員の年金は、民間サラリーマンより年間24万円ほど多く支給される計算です。しかも、公務員の掛け金は民間より安い。二重に優遇されているのです」。

<サラリーマンだけイジメる異常>

 思えば政権交代前、民主党は「年金一元化」や、月額7万円の「最低保証年金」の実現をうたっていたものだ。ところがマニフェストを実行しようともせず、「ミスター年金」こと長妻昭元厚労相も口を閉ざしている。野田政権になって、ますます公務員優遇は顕著になってきた。一体どうなっているんだ、民主党は! まったく「フザケルナ」である。

 「厚遇は年金だけではありません。キャリア官僚の退職金平均は5000万円以上。昨年、5000万~9000万円の退職金を受け取ったキャリアは301人もいます。加えて、天下りの特権もある。天下りの平均年収は1500万円です」(若林亜紀氏=前出)。

 それだけもらっていれば、老後の心配もない。年金なんて必要ないんじゃないか。ところが、狡猾な官僚は、一度手にした特権は決して手放そうとしないのだ。国民に増税を強いるなら、まずは政治家や霞が関官僚が身を切る姿勢を見せるのが筋だろう。だいたい、国民からかすめ取った年金基金を目減りさせ、年金制度を破綻させたのはキャリア官僚なのだ。コイツらが特権を享受し続け、庶民に負担を押し付けるなんて、許されるはずがない。

(日刊ゲンダイ2011年10月25日掲載)

   感想

 公務員問題では、高級公務員と下級公務員と非正規公務員の区別をして、その全体像を追求することが必要でしょう。

 その大前提は、1人1人の公務員の1年間の収入を、決算に基づいて、最後の1円まできちんと、個人名は伏せて、一覧表にして発表することです。かつて鹿児島県阿久根市で竹原市長が実行しました。