マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

高山岩男著作集(玉川大学出版部、2007年)の目次

2018年04月28日 | カ行
     

  第1巻

西田哲学、角川文庫、1951年
続西田哲学、改訂版、秀文館、1948年
西田先生と哲学的概念、高山岩男・島谷俊三編『西田寸心先生片影』黎明書房、1949年
呼応的同一の論理、『西田先生とその哲学』西田幾多郎先生項徳記念会、
1949年
西田先生の思い出、高山岩男・島谷俊三編『西田寸心先生片影』黎明書房、
1949年
田辺哲学の史的意義と特色、弘文堂編集部編『田辺哲学』弘文堂、1951年
田辺元「社会存在の論理」、(もとのタイトルは「思想時評」)、
 『思想』第157号、1935年
田辺先生の想い出、『哲学研究』第489号、1964年
愛の本質、『校友会雑誌』第八号、山形高等学校校友会、1924年
個性の問題と反省的判断力、『哲学研究』第147号、1928年

 第1巻・解題


  第2巻

哲学的人間学
ヘーゲル
弁証法入門
弁証法の歴史
 『高山岩男著作集』第二巻 解題
『哲学的人間学』、福井一光
『ヘーゲル』『弁証法入門』「弁証法の歴史」、中岡成文


  第3巻

文化類型学
 一章、文化類型学の概念
 二章、ギリシャ文化の類型
 三章、インド文化の類型
 四章、キリスト教文化の類型
 五章、仏教文化の類型
 六章、シナ文化の類型
 七章、西洋文化の類型
 八章、日本文化の類型
 九章、日本文化の発展
 十章、原題文化の問題

文化類型学研究
世界観の問題
哲学の歴史と世界観の類型
  ──ヘーゲルの哲学史の理念とディルタイの世界観説の理念

『高山岩男著作集』第三巻 解題
『文化類型学』他、田中久文


第4巻

世界史の哲学
世界史の動学
文化国家の理念
協同社会の理念
世界史の理念
世界史の転換と現代日本

『高山岩男著作集』第四巻 解題
『世界史の哲学』他、高橋文博
『世界史の転換と現代日本』、小坂国継


第5巻

理性・精神・実存
  ──理想主義・汎神論・実存主義の内面的連関
哲学と哲学的実存
歴史的実存と実存的歴史
  ──歴史主義に克服の道ありや
哲学的実存とニヒリズム
宇宙に於ける人間の地位

『高山岩男著作集』第五巻 解題
 『理性・精神・実存──理想主義・汎神論・実存主義の内面的連関』他、
森哲郎 


  第6巻

『場所的論理と呼応の原理』
改訂版への序
前篇 場所的論理と呼応の原理
第一章 序説 種々の論理(1~2)
第二章 論理の根本原理(3~7)
第三章 呼応の原理と場所的論理(8~10)
第四章 呼応的論理の段階(11~16)
第一節 技術と科学
第二節 社会と歴史
第五章 宗教と呼応的論理(17~20)

後篇 所の倫理
第一章 所の倫理の概念について
第二章 所の倫理と秩序の理念
第三章 欲望と自然的均衡秩序
第四章 理性的人格と法的秩序
第五章 場と所と個と
第六章 文化の所と創造性
第七章 無我の道義性と創造的世界観

『教育哲学』
第一章 教育とは何か
第二章 教育の前提となる人間観
第三章 教育の課題と哲学的人間学
第四章 場所的論理と呼応の原理
第五章 教育の場(家庭・学園・社会)の問題
第六章 教育と保守主義
第七章 技術の本質と教育的諸問題
第八章 文化の本質と教育的諸問題
第九章 道徳教育の諸問題
第十章 歴史教育の諸問題
第十一章 政治教育の諸問題
第十二章 職業倫理と教育者倫理
第十三章 教育愛・権威・師道
第十四章 全人教育と生涯教育

『高山岩男著作集』第六巻 解題
『場所的論理と呼応の原理』、大橋良介
『教育哲学』、花澤秀文

高山岩男 年譜
高山岩男 著作目録

 感想

 私は『マルクシズムの超克』の読みやすい版を求めて(紙も印刷もあまりきれいではない古本は持っていますので)これを調べたのですが、この「著作集」には入っていないようです。編者はなぜ入れなかったのでしょうか。

 私にとって一番関係のある第2巻は既に利用しています。

 今回の収穫は第3巻の中にヘーゲルの哲学史についての文章があるということを知ったことです。よくよく考えてみますと、ヘーゲルの著作の中で、その重要性に比して翻訳も研究も一番少ないのが『哲学史講義』だと思います。岩波から出ています『全集』でもこれは軽視されています。長谷川宏の「翻訳」という名の「妄想」は論外です。

 『マルクシズムの超克』についての書評を書いてから、御礼(図書館のホームページで全集物の詳細目次が必ずしも必要十分には提供されていないのではないかという私の問題提起に対する二人の方の親切なご教示に対する御礼)を発表するつもりでしたが、まだ時間がかかりそうなので、これを発表して御礼の「前半部」だけに代えます。「後半部」は高山の本の書評が書けるように成ったらその時に発表します。

 高山の本は他のヘーゲル論などに比して物凄く分かりにくいです。概念規定が不明確です。根本的には昭和24年という執筆時期の混乱とそれに対する自分の立場を建てられない自信の無さが原因でしょう。しかし、死ぬ前にマルクス思想に対する全面的な評価を書いておこうという私の試みにとってはマルクス批判派の重要な一人物である高山の本書の検討は欠かせません。

 そこでもう少し粘ってみようと考えている訳です。

 事情を考慮して読者の皆さんの寛容な態度をお願いします。

 なお、遅れに遅れています『小論理学』未知谷版の出版は、三校が終わりましたが、更に遅れそうです。ここへ来て、『精神現象学』未知谷版がこのところ売れ行きが上がって品切れになったので、重版することになり、それを先に回しているためです。単に重版にするだけなら簡単なのですが、「改訂新版」というほどではなくとも、初版(2001年)からの17年間に少しずつまとめてきていました「訂正」などは入れたいと思いましたので、少々手間取っている次第です。
 しかし、これは目途が立ちましたので、早ければ大型連休明けから少し後くらいには出るのではないでしょうか。
 よろしくお願いします。

4月28日、牧野紀之