例の音楽横好きの横野好夫君が前期高齢者の仲間入りをしました。へーえ。カンレキになって、これで映画を安く見られる、近くの天然温泉にも安く入れる、って喜んでたの、つい昨日のようだけど、あれから5年が経ったのか。時が経つのは早いわね、ホントに。
横野君自身は、この日が来るのが待ち遠しいかったんだって。なにしろ、これで年金が出るし、近くのマッサージ店も割引料金になるからって。でも、年金が出ると言っても横野君は自営業だったから国民年金。だからもらえるのは雀の涙。それでも、横野君、これまでの数年間、無収入だったからね。雀の涙でも涙が出るほど嬉しいらしい。それに、横野君の暮らしって仙人みたいだから、お金がちっともかからないらしい。その生活ぶりは、あたしなんかから見ると、憲法が保障した「最低限度の生活」未満だと思うんだけど、本人はちっとも不自由を感じてないみたいだから端からとやかく言う必要はないわね。
で、横野君に、高齢者になってなにか抱負は?って聞いたら、こないだ「あさイチ」で黒柳徹子さんが仰った「人と自分を比べない」という人生訓に感銘したので、その線でいくんですって。そうね。横野君、下手の横好きでおかま声で歌を歌うし、楽器もあれこれ手を出してるんだけど、歌も楽器も横野君より上手い人ばかりだから、人と比べると続けていける道理がない。だから「比べない」というのはいいことだと、あたしも思うわ。それに、年齢的にはこれから下り坂なんだから、それに逆らって向上を目指すとなると、これはもう自分との戦いなんだから、人と比べてる暇なんてないわよね。
横野君、貧乏だって言ってて、なんでそんなに楽器を持ってるのか不思議でしょ?だから、あたし聞いてみた。彼が言うには、楽器ってヴァイオリンでもチェロでも管楽器でも人が言うほど高いものばかりじゃない、自分の楽器はどれも二束三文で、一回の飲み会で使うお金の方がよっぽど高かったりする、だから自分は下手くそだけど、1円あたりに換算すると相当に上手だ、って言ってえばってる。「1円あたり」でえばられてもねー。
で、横野君に、自分へのお祝いなにかしたの?って聞いたら、久々に湯船一杯にお湯をはって肩まで浸かったんですって。で、幸せだなーと思ったんですって。そんな横野君だから、「カネオくん」に出てる高校生女優の田牧そらちゃんが話す「親御さんの『しまり屋』エピソード」が大好きで、こないだも、そらちゃんがテーブルに大好きな卵焼きがあったのを見つけて何切れか食べたらお母様に「なんで弟や妹の分まで食べちゃったの?今、卵が高いんだから」って怒られて、で、その日のお昼にお弁当を開けたら明らかに何切れか減らされていて「あー、うちは大変なんだなー」と思ったって話を聞いて、横野君、お婿に行くんだったら絶対こういうご家庭がいい、と思ったんですってよ。