♦️906『自然と人間の歴史・世界篇』ドイツ最低賃金

2019-02-20 10:51:45 | Weblog

906『自然と人間の歴史・世界扁』ドイツの最低賃金

 ドイツでは、2015年1月1日に全国一律の法定最低賃金(当時時給8.5ユーロ)が導入された。それまでも、業種別の最低賃金を決める枠組みは、緩い形で存在していたという。

 けれども、それは、全産業に適用される、万人に法的な拘束力を持つ最低賃金としては存在しなかった。それというのも、労使は産別を中心に団体交渉を行い、そこで決定した協約賃金を拡張適用することで、未組織労働者へ波及させてきた。そういうことなので、1990年代初頭までは、さしたる必要性が社会的な声として上がらなかったのかもしれない。

 とはいえ、この間の産業構造の変化や労働組合の力量低下もあり、その効果が限られるようになってきた。そこで政府もやっと乗り気になり、政府、産業界、労働者の間で制度化の合意がなったのだという。

 その創設の2年後の2017年1月1日には、最低賃金が8.84ユーロに引き上げられた。そして迎えた2018年6月26日の最低賃金委員会は、最低賃金(時給)を、現在の8.84ユーロから、2019年1月1日より9.19ユーロ、さらに2020年1月1日を期して9.35ユーロへ、二段階で引き上げるよう政府に勧告したという。

(続く)

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□191『岡山の今昔』岡山人(19世紀、山田方谷)

2019-02-20 09:43:43 | Weblog

□191『岡山の今昔』岡山人(19世紀、山田方谷)

 山田方谷(やまだほうこく、1805~1877)は、その後の1868年(明治元年)に64歳で引退するまで、その要職にあったとされるので、文字どおり藩の財政を立て直した救世主と考えてもよいのかもしれない。
 そんな引退してからの彼の詩の一つには、こうある。
 「暴残、債を破る、官に就きし初め。天道は還るを好み、○○(はかりごと)疎ならず。十万の貯金、一朝にして尽く。確然と数は合す旧券書」(深澤賢治氏の『陽明学のすすめ3(ローマ字)、山田方谷「擬対策』明徳出版社、2009に紹介されているものを転載)
 彼ほどの不屈の精神の持ち主が、いかに幕府の命とはいえ、10万両もの貯金を食いつぶしてしまったことへの悔悟の念が、心の底に巣くい、沸々と煮えたぎっていたものと見える。

 できたばかのり明治新政府の要人として出仕するよう誘いを請けたとも伝わる方谷なのだが、固辞したらしい。すでに隠居の身の上にて、いまさら宮勤めは勘弁してくれというのであったのかもしれない。この点、今更ながら、断らなければより有名な身の上になったのではないかとの評にも出くわす。けれども、彼の名声の真骨頂は政治事に臨んでの勇断実行のほかにもあったはずで、それは上から目線で人に相対しなかったことにあるのではないか。

 新政府に出たら出たで、「富国強兵」が国是となる中、財政を担当する者には、終わりなき修羅場に違いあるまい。旧と新が激しく混ざり合う、混濁の世での対応には、気力と体力の消耗を強いられよう。必ずや出くわしたであろう、有象無象の政敵などに足元を狙われることもありうる。のみならず、晩年の方谷にとって、表舞台にて功なり名誉をほしいままにすることが人生の最終目的ではないことを、何かしら読み取ってのことだったのではないか。

 (続く)

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