私は現在うつ病を患っていることもあり、ひじょうに意欲の低い状態が続いている。
しかし、振り返ってみると、もとから普通の人に比べれば、「欲」のレベルが低かったように思う。
過去にも、どのエントリだったかわからなくなってしまったが、似たようなことを書いた記憶があるのだが、現代社会というのは「欲」を肯定し、「欲」にドライブされることを良しとする風潮が強い。
だが、歴史を顧みれば、「欲」は多くの場合、否定的なものであり続けてきた。
倫理や道徳はもちろん、宗教でもたいていは「欲」に対して冷淡な態度をとるのが普通である。
ありきたりな定説を取り出すとすれば、ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』になるだろうか。
しかし、実証的にはヴェーバーの説は否定されているらしく、本当のところはよくわからないのが実情のようだ。
とはいえ、とにかく、「欲」を肯定する時代にあって、ただでさえ少ない「欲」が減退する病にかかってしまったのは、なんと不幸なことか。
そして、この時代に「うつ」と診断される人が増えているのは、単に時代精神としての「欲」のレベルを維持できない人々が、「社会的に」「病気」にされているだけではないのか。
思考力の落ちた今の私の頭ではこのくらいしか考えられない。
無念…