人生、消去法
世捨て人のつぶやき




夕方仕事から戻ると父が初夢の話しをしてくれた。
なんでも、人を殺すという不吉なものだったらしい。
途中で目が覚めたが、その後も続きを夢に見たらしく、
計3回、同じような不吉な夢をみたそうだ。

で、それに対して私は、まぁ夢というのはその表面に現れていることよりも
それが暗示する、なにか本人にはわからない欲望のようなものがあるみたいだよと話した。
いわゆるフロイト説である。
父は腑に落ちない様子であったが
とりあえず気を紛らわせてあげることは出来たかなと思った。

父とのその夢についての会話はそれほど続かなかった。

しかし、しばらくたって、どうも父が殺したいのは私なのではないかという
不吉だが、無意識の願望としてはありそうな連想を思いついた。

ここのところ、心配と心労を掛けているし
今年39歳にもなろうとする息子が
いまだに安定した人生行路についていないというのは
ある種の鬱屈した感情のわだかまりを生んでいる可能性はある。

私自身は、今年はじめて父と父の姉である叔母にお年玉をあげた。
ふたりともとても喜んでくれたのが私としてもうれしかった。
せめてもの罪滅ぼし、という気持ちがそこにはある。

しかしいまさらそんなことをしてみたところで
いままで心配を賭けたことは取り消せない事実として残る。

そうして、父の心の底に、薄暗い私への怨念があったとしても
それはそれで仕方のないことのように思える。

何かしみじみと、私の心は、一月の冷気に凍え始めている。

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