星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

片山廣子さんの随筆集『ともしい日の記念』から 「黒猫」のこと…

2024-02-14 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
前回書きました 片山廣子さんの随筆集『ともしい日の記念』、 あのあと注文してすぐ10日に家に届きました。

さきほど、 片山廣子さんの経歴(1878年2月10日 - 1957年3月19日)を見ていて気づいたのですが、 本の発行日の2月10日は片山さんのお誕生日だったのですね。 何故とはわからないけれど、 片山さんはなんとなく冬の生まれのような気がしていたので あぁやっぱり…と。。



『片山廣子随筆集 ともしい日の記念』ちくま文庫 早川茉莉編

この本をゆっくり読めることをとても嬉しく思っています。 本の中の活字で読むのと パソコン上の文字を読むのとではやはり感じ方が異なります(もちろん青空文庫に入力くださった方々のお陰でこれらの随筆に出会えたことは感謝に堪えません)

すこしずつ… ゆっくりと読もうと思っています。

それで、、
昨夜読んでいた一篇、 「黒猫」という随筆、、 

片山さんの家の庭に来る黒猫の話から 「Aさん」「Mさん」と共に「軽井沢」で月見をした時に出会った「黒猫」の話へ、、

、、 この随筆をどうも読んだ記憶がなかったのでちょっとびっくりして、、 Aさん、Mさん、軽井沢、といえば、 芥川龍之介と室生犀星のことに違いありません。 だけど青空文庫の「燈火節」のなかで この随筆を見かけた記憶がなかったので、 ちょっと不思議に思って調べたら、 2007年出版の『新編 燈火節』のほうに収録されていたことがわかりました(>>月曜社) 新たに8篇の随筆がここに加えられていたようです。

青空文庫で公開されていないので詳細はよしますけど、 この「黒猫」の随筆のなかで片山さんは 「Aさん」が猫にちょっかいを出す様子やそのとき交わした会話を綴っています。 

・・・ これはいつ書かれたものだろう・・

非常に残念なことに、 ちくま文庫の『ともしい日の記念』には それぞれの随筆が書かれた年や初出が載っていないのです。 すごく素敵な、 今読めることがありがたい随筆集なのですが、 その点だけがなんとも残念、、。 『新編 燈火節』を参照すれば載っているのかもしれませんが…

この「黒猫」の随筆では 片山さんは娘さんと共に生活しているようだし、 片山さんの「母」の事も書かれていて、、 片山さんが軽井沢で芥川らと月見をしたのは大正13年の夏の事で、 そのときに同行したお嬢さんは17歳くらい。 だとするとこのエッセイが書かれたのは(娘さんの描写からみて)そんなに年月が経っていないような気がする、、

片山さんの家の庭にくる「黒猫」、、 軽井沢でAさんがたわむれた「黒猫」、、 そして アラン・ポーの「黒猫」についても 片山さんは連想をしている。。 エッセイの読後感は どこか淋しい… 

さびしい… けれども

『燈火節』を発表した70代の片山さんではなく、 軽井沢の月見の晩の思い出が(たぶん)そう遠い過去のことではない時期、 片山さんのなかでまだ遠い過去にはなっていないはずの、 ある痛みをともなった記憶、、 自分の家の庭をおとずれる「黒猫」と「Aさん」の思い出を重ねあわせる その想いの、 非常に鮮烈なものをも、、(ポオの小説の壁に塗り込められた黒猫の生々しささえ思い起こさせるような…) 

そんな鮮烈なものを 時に片山さんには感じるのです。。 きっとこのかたは 心に激しいものをお持ちのかただろうと…

 ***

「黒猫」のエッセイのなかには、 軽井沢で月見をした日付けも書かれていましたので、 たわむれに月齢をしらべてみましたら、 その翌未明が満月という晩でした。 きっと綺麗な月が碓氷峠のうえにかかっていたことでしょう。。

けれども片山さんのこのエッセイには お月さまのことは何ひとつ書かれていないのでした…




・・・ 恋人たちの守護聖人の記念日に・・



 

この記事についてブログを書く
« 燈火節は過ぎましたが… | TOP | エルザ・トリオレの最初の小... »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)