星のひとかけ

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139年前の物語を、72年前の訳書で…:ヤコブセン『死と愛』

2019-04-28 | 文学にまつわるあれこれ(詩人の海)
昨年の暮れ、 デンマークのハードボイルドミステリを読んだ時、 ふしぎにも1880年という昔の 『ニルス・リューネ』という小説の名が出てきたことを書きました(>>

『ニルス・リューネ』とは、リルケが大変愛した作家 イエンス・ペーター・ヤコブセン (Jens Peter Jacobsen)の唯一遺した長編小説だということ、、 そして この小説を戦後まもない頃、 山室静さんが翻訳され、 そのとき 堀辰雄さんから励ましの言葉をいただいた、、という話を一昨年こちらに書きました(「モーゲンス」J.P.ヤコブセン『ここに薔薇あらば 他七篇』より>>

以来、『ニルス・リューネ』(ニールス=リーネ)を いつか読もう… とずっと思っていて、、 先日 古書を手に入れることができました。 昭和22年に山室さんが翻訳された本、 原題は Niels Lyhne ですけれど 山室さんは 『死と愛』という邦題をつけています。




この本を、 これからゆっくりと時間をかけて読んでいこうと思っています、、(ミステリなどのエンターテインメント小説は日々の楽しみの為に… そして、このように探し求めて入手した古書は 自分の命の糧として…)

 ***

まだ本文をまったく読んでいないので、 山室先生がなぜこの小説を 『死と愛』としたのかも、 どんな内容なのかも 全然わかっていません、、。 以前書いたように、 詩人のリルケが大変愛した作品だということが、 この本の「訳者あとがき」にも載っていて その部分だけを…




リルケの言う 「制作の本質とかその深さと不朽性について」 ヤコブセンと 彫刻家のロダンを並べて挙げている点も、 今はまだその理由は分かっていませんが 興味をひかれます。


… あさって、、
4月30日は ヤコブセンの命日です。 早くから胸を病んでいたヤコブセンは38歳で亡くなりました。 あとがきで山室さんは このように書かれています…

 「… 長い冬を越えて、春の初花を見た時には、どんなに彼は喜んだらう。 倦かずに彼はその花に見入り、その葉を撫でた。 そして櫻の花の眞白い四月の末に、母の手に抱かれて靜かに死んだ。 生涯結婚しなかつた。」


、、 この「あとがき」を山室さんは (五月一日、 信州小諸にて) 書かれています。。 これを読んで 今、ちょうどこの季節に 『ニールス=リーネ』を読むのはまさにふさわしいのだと、 この72年前の本が私の元に来てくれたのを 嬉しく思っているのです… 


今日、、 連休で故郷へ帰省したお友だちが 写真をたくさん送ってくれました。 昨夜は山に雪が降ったとか…  北国ではまだ桜の花も咲いているそうです。。 
山室さんが書かれている《櫻の花》、、 デンマークでも桜が咲くのでしょうか… バラ科の桜と同種の花はきっと咲くのでしょうね。。


… あたらしい本の旅を わたしも …

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