星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

桜 見上げて…

2022-03-30 | …まつわる日もいろいろ
桜、 満開ですね


視界が花びらで埋まるほどのいっぱいに咲いた桜を目にして、、 あぁ 世界じゅうに桜の花があったら… と ふと思いました。

一年のなかでたった一週間ほど 街を薄紅に染めて、 後ははらはらと雪が舞うように 風のなかに散っていく桜。。 そして また一年後の春 めざめて街を彩る。


街じゅうに桜が満開に咲き誇ったら、、 それでも街をばらばらに コンクリートの廃墟にするだろうか… めらめらと桜に火を放ち 燃やし尽くそうとするだろうか…


そんなことを考えていました。。












 自分自身を含めて、 だれ一人として死ぬ覚悟ができている者などいない。 …略…
 だれもが頭の中の恐怖を懸命に払いのけながら、 世界を安全な場所にするために危険を冒しているのだ。 と自分たちに言い聞かせている。



、、日々の苦しいニュースから少し頭を離そうと、、 すべてを忘れて没頭できるはずと信じている新刊ミステリを手に取りました。 夢中になって読んでいます、、 
けど、 心が弱くなっているせいか 何度もなんども泣きそうになってしまう。。 物語なのに、、


物語だけど、、








世界を安全な場所に…



はじめからみんなそう願って生きていたよね…


フェルメールと17世紀オランダ絵画展とメトロポリタン美術館展:わたしの 20/35

2022-03-23 | アートにまつわるあれこれ
今月は二週つづけて美術館へでかけました。
3回目のワクチン接種も終えたし(最近、ワクチン接種のことあまり言わなくなってきましたね)、、 ここのところ自分の体力もついてきてるし、、 それにもうコロナに感覚が麻痺してきた、というのが本音かもしれません。。 2年ぶりの美術館は愉しかったです。

 ***

まずは ドレスデン国立古典絵画館 フェルメールと17世紀オランダ絵画展 東京都美術館 

この展覧会の一番の話題は、 フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」。 
背景の壁に塗り潰されて消えていた《キューピッド像》が 約300年ぶりに修復によって描かれた当時の姿でよみがえった、 というものですね。

この「窓辺で手紙を読む女」、、 2005年の来日時に見ているんです、 キューピッドのいないバージョンのものを。

あのとき見た構図、 何もない広い壁の、室内のしずかな雰囲気が(自分が思っているイメージの)フェルメールらしい静けさに思われて、、 今回 壁にキューピッドの大きな絵があるのが当初のフェルメールの絵と知った時には、 えーー!?と思いました。 で、(そのままにしておけばいいのに…)と 正直そう思って。。

キューピッドが塗り潰されたのは フェルメールの死後のことだったんですね。 そういわれれば他のフェルメール作品でも 室内の壁には額や地図が掛かっているものが多いですし、、 でも… あの天使(キューピッド) 大き過ぎません…?

展示では、 修復後のキューピッドのある絵と、 キューピッドのいない絵(複製)とが 両方あって、 比較して見ることができるようになっていました。 近くに椅子のスペースもあって、 座って少し遠くから両方の絵を見比べることもできて、 展示室はとてもゆったりとしていました。 ほかの絵画もゆっくりと気持ち良く鑑賞できました。

それはすごく良かったのですが… 、、 同行の友はなにやら不満の様子、、
 「カーテンレールが見えない!」と。。

そうなのです。 今回のフェルメールは、黒い幅広の額に入っていたのですが、 緑のカーテンの上部にまっすぐカーテンレールが横切っているはずのものが 額の中に隠れてしまっているのか、見えないのです。。 カーテンの下の部分も、 絵の左右も少しずつ切れてしまっている、、 左の窓枠も見えないし、、

こちらのサイトに(和楽>>)、 フェルメールの全35点の作品を集めたものが載っていますが、 その図像で見ても、 上のカーテンレールまでちゃんと見えているはずなのですが…

そのせいか、 前回見たときの、 しずかな明るい空間という印象から、 なんだか圧迫感のあるせまい部屋の印象に…。 修復で色彩はひとまわり明るくなったようで、 カーテンの緑もとても美しかったですが…。
 

いま、、 他のフェルメールの作品も見ていて気付いたことが…
このキューピッドの絵は、 「ヴァージナルの前に立つ女」の背景にあるキューピッドの額と同じ絵なのですね。。 とすると、 キューピッドの上に掲げた左手には手紙を持っているのですね。 それが「窓辺で手紙を読む女」では カーテンに隠れて見えないようになっている。。
それを知ったうえで見れば、 なんだか、キューピッドの持っていた手紙が この女性のもとに届けられて、 それを読んでいるみたいな、、 そんなストーリーも想像できます。 カーテンをぱっと開けたら、 持っていたはずの手紙が今は無い! なんてヘンな想像をする面白さも…

「中断された音楽の稽古」という絵の背後にあるのも、 もしかして同じキューピッドの絵でしょうか、、 あちらの絵も女性が手紙をひらいていますね。。 


、、 いろいろ想像する楽しみはあるけれど、、 やはり 壁のキューピッドは無いほうが好きかな。。。 いえ、、 やっぱりキューピッドの隠された左手、、 ってところがポイントなのかも… と今は思い始めています。

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メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年国立新美術館

こちらは 西洋絵画の500年、とタイトルにあるように、 ルネサンスから近代まで 著名な画家がずらりと並んだとても贅沢な作品展でした。 どれもが見応えのある作品なので、、 個人的に気に入った作品についてだけ…

エル・グレコ 「羊飼いの礼拝」(MET美術館の画像>>
幼子イエスを見守るまわりの人物の動きと表情が生き生きとしていて、 聖なる歓びに満ち溢れている絵。 左端の暗がりにそっと顔をのぞかせているロバさんまで 優しいお顔で歓びにつつまれている気がする…

サルヴァトール・ローザ 「自画像」 (>>
この絵はうれしい驚きでした。 サルヴァトール・ローザといえば、 荒々しい渓谷や滝といった風景画が有名で、 夏目漱石が『草枕』のなかで この人が絵の研究のために山賊になったことがあると語っている、、 その本人の「自画像」が拝めるなんて…。 
とても知的で高貴な雰囲気のあるかたでした。 髑髏の頭蓋骨にペンで文字を書いている長い端正な指先、、 綺麗に爪が整えられていて、 茶色のマニキュア(?)が施されていました。

ベラスケス 「男性の肖像」(>>
こちらは自画像とは書かれていないのですけど でもベラスケスらしい重厚さと圧倒的な存在感。 まなざしも鼻梁の肌の質感とか柔らかさや、、 その人の存在感が絵から浮き出てくるようでした。

ムリーリョ 「聖母子」(>>
思わず か、かわいい…! と呟いてしまう幼子イエスの愛らしさ。 聖母子像の赤ちゃんって、 たいがいあまり可愛くないことが多いように思うのですが(スミマセン…) このムリーリョの幼子の可愛いこと。 お目ゝがちょっと離れ気味であまえた感じでこっちを見てて、、思わず微笑んでしまいます。。
ムリーリョの描く子供たちもマリア様も、 可愛らしい絵が多いですよね。 きっと優しいかただったんじゃないかな~

フェルメール 「信仰の寓意」(>>
フェルメールのなかでは後期にあたる作品のようで、 技量も確立したからか さまざまな寓意を描き込んで盛り込み過ぎにも感じられる作品、、 なので そんなに好きな絵ではないのですが いっぱいいっぱい読み込むことができる絵、という感じ。 
天井から下がったガラス球の表面に映った窓などの微小な像とか、 天球儀とか 石板につぶされた蛇とか。。 
この背後の壁にはキリストの磔刑図がかかっていますが、、 フェルメールの描いた磔刑図とか、、見てみたかったです。。(「マリアとマルタの家のキリスト」は以前に見ました)

メトロポリタン美術館には あと2点見ていないフェルメールの作品が所蔵されています。 「眠る女」と 「少女」という作品、、 また待っていたらいつかお目にかかれるかしら。。

これで私が見ることの出来たフェルメール作品は20点になりました。 (前回まとめた記事はこちら>>


近代の作品では、 マネ、モネ、ゴヤ、ドガ、ルノワール、ゴッホと、、 名の知れた画家ばかり。。 大好きな画家クールベの日本初公開作が2点見れたのは嬉しかったです。 「漁船」は海をたくさん描いたクールベらしい波の部分の描き方にくらべて、 妙に正確にリアルに描かれている船の部分がなんだか浮いてて、、ちょっと不思議でした。

「水浴する若い女性」(>>)は、、 よく言われる、クールベの描くリアリズムの女性像は醜い、、とか、、 絵の説明文にも (肌のセルライト)なんてことまで書かれてて(笑)、、 そんなに醜いとは思わなかったんですけど…。。 足先を水に浸した透明感がよかったです。


ゴッホの「花咲く果樹園」
林檎かな、、 杏かな、、 明るい色調のやさしい絵でした。 ゴッホ展などでまとめて集中しながら見るときはゴッホらしい激しいタッチに目を奪われがちですが、、 この絵のように たくさんの絵画にまじって さりげなく展示されているゴッホの絵に、 あらためて光と色彩と花の生命のみずみずしさを感じました。 素敵な絵でした。


 ***

コロナ禍も3年目、、 そして いま世界を揺るがしているロシアの愚かしい軍事侵攻、、

世界の美術館から作品が貸し出されて、 飛行機で輸送されて、、 それがどれだけ貴重で平和なことか、、 今の戦争が(ほんとうはこれを戦争などと呼びたくない、、 こんな一方的な侵略、暴力、テロ、殺人…)、、 これが続いている限り、 海外の美術品を日本で観ることは輸送の問題もあってますます大変になっていくことでしょう。。 
でも、戦下で苦しんでいる人を考えたらそんなことは耐えます、もちろん。。。 だけど…

前に、、 エルミタージュ美術館の、ソ連時代の公開されずにいた西洋絵画のこと 書きましたね。。(この日記の下のほうに>>
またあの時代に逆戻りするのでしょう ロシアは。。 独裁者はそれでいいんでしょう。。 だけど、、 命の危険にあるひとたちの事、、

早く、、 一刻も早く、、 包囲されたひとびとを助けて… どうにかして。。


そればかりを考えています。。




週末に…

2022-03-19 | MUSICにまつわるあれこれ
昨日、 BBC radio 3 から流れてきた音楽で、 おもわずタイトルと作曲家を見て検索しました。

クロアチアの作曲家、チェロ奏者 ルドルフ・マッツ(Rudolf Matz 1901 – 1988)の曲でした。 演奏していたのは ザグレブ・ピアノ・トリオ と書いてあったように思いますが、 その方たちの同じ演奏の音源は見つけることができなかったので、

同じクロアチアのドゥブロヴニクのトリオの同曲の演奏を


Rudolf Matz: Balada Za Violinu, Violončelo I Klavir



心 しずかに…


おだやかな 週末でありますように…


日曜日…

2022-03-14 | …まつわる日もいろいろ
あたたかな日曜日、、 美術館へでかけました。

美術館は2年ぶり。 上野へでかけたのは 3年半ぶりかもしれません。 すごくひさしぶりに思えました。。 公園口の駅前がすっかりきれいに変わっていて、 改札を出るともうそこから公園が…


広場を行き交うたくさんの家族… 腰かけてくつろぐ人々… 噴水がすずやかな水音を立てている…


この平和な時間を…

このやすらぎを…


とどけることが出来たらいいのに…





つい 3週間前に書いた読書記 『アニルの亡霊』のなかの(>>) 戦闘地域の病院のようす、、 外科医ガミニによって語られる救急医療の現場の記述が、 今 現実のものとして 毎日まいにち続いているなんて。。 あの重苦しく 涙しながら読んだ時間はわたしへの何かの前触れだったのかもしれないけれど、、 こんな現実がつづいて良いはすがない… こんな不条理が… 暴力が…



あと一週間もすると わたしたちの街は花でいっぱいに彩られる。 誰もが美しさに笑顔になって空を見上げる。。 その日常をとどけたい…

でも、 戦いのなかにいる人は… 苦しみのなかにいる人は…
今日一日、、 今夜ひと晩、、 この数時間、、 それだけを生き延びることしか考えられないのだと思う…… あの子どものベッドにうつ伏せて眠る母親に 一輪の花が何の役に立つだろう…

それでも、、


この非道な攻撃がつづく日々のなかで、 たくさんのひとの力、 ひとの心の美しさ、 人間の信念の強さをも、 見せつけられてきたように思う。 いろんなところで、 あらゆるところで、 自分ができることを 出来る限りのことを…





元気でいてください… 



わたしも元気でいますね…



美しい魂の魔法:「おしゃべりな家の精」アレクサンドル・グリーン

2022-03-08 | 文学にまつわるあれこれ(妖精の島)
ウクライナへの軍事侵攻が始まって13日目…

自分が怒り悲しんでも誰の役にも立たないとわかっていながら、 心が荒れ狂うのを止められない。。 入ってくる情報の重さにぐったりして、 もう忘れて過ごそう… いつもどおりの日常を… と思うのだけれど、 攻撃にさらされている人たちには ほっとできる日常など何処にも無いんだ… という思いが頭によぎって 結局おちつかない。。

そんなわたしの様子を、 低空飛行の天使か 見かねた妖精かが そっと手助けしてくれたみたいです・・・



『短篇コレクション 2』(池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)河出書房新社 2010年

この本、、 もともとは A.S.バイアット著の作品がこの短篇集に収載されていると知って、 ほかにも タブッキや カズオ・イシグロなどの短篇も読めるし、、 それで手に取ったのでした。 が、そのかたたちの作品ではなく、、

巻頭に載っていた アレクサンドル・グリーンの「おしゃべりな家の精」(岩本和久・訳)という小品のこと。

 ***

旅人、、(だと思う…)が 雨宿りに空き家をみつけて中に入ると、 そこに家の精がいて かれは虫歯が痛くて苦しんでいた。 痛がりながら「聞いておくれよ」と旅人に話し始める この家にかつて住んでいた若い夫婦のはなし…

ほんの7頁ほどの小品なので、 ストーリーを説明するわけにもいきません。。 この家の夫婦と、 それから夫の親友。 家の精が語るのは ある日の、 たった一日の出来事…

それは 愛の奇跡なのか 愛の悲劇なのか、、 

話し終えた家の精は、

 「…歯は痛いし、さっぱり理解できないし……」  

と、旅人に言う。。 どうやら この家の精には そのことが理解できなくて、 それをずっとずっと考えて、 もう誰も住まなくなったこの家にずっと居残りつづけているらしいのです…

家の精が語った物語、、 わかる、と言う人と 家の精と同様に さっぱり理解できないと言う人がいるかもしれません。 何がおこったのか、 いろいろな解釈ができるお話になっていて、、 わたし自身、  この物語の愛の魔法が わかるような気もするし、、 夫、 その妻、 夫の親友、、 それぞれが辿ったその後の人生について思いめぐらせてみて、 幸せなのか、 悲劇なのか、 運命なのか、 それとも理性の結果なのか、、 


 「驚くなよ、これこそが魔法なんだ。つまり美しい魂がもつ大いなる知識というものさ…」
と、 家の精が旅人に話し聞かせる場面もありますが、、 家の精はほんとうに《魔法》を見抜くことができたのかな…… 人間と人間のあいだにうまれる愛の魔法を……


いろいろ考えながら3回くらい読み返しました。。  それだけ魅了されるお話だったんです。

 ***

でも、、 魔法はこの物語の内容だけではありませんでした、、(いまの私には)

作者のアレクサンドル・グリーンという人を私は知らず、、 名前とこの家の精の話からは どこの国の作家かもよくわからない感じですが、 ロシア(旧ソ連)の作家だと知ってさらに驚きました。

父はポーランド人、 母はスウェーデン系ロシア人で、、 アレクサンドル・グリーン(1880年 – 1932年)は晩年をクリミア半島で暮らし、 黒海に面した美しい街フェオドシヤにはグリーン博物館もある、とのこと。。(いま毎日のように耳にしているクリミア…)
 
短篇作品を発表したのは おもにペトログラード(サンクトペテルブルク)の新聞のようだから ロシアの作家と呼んで良いのでしょうけど、、 彼が若い時に愛読したのは、 スウィフトやホフマン、 アラン・ポーなどの幻想小説、 それからスティーヴンソンの海洋冒険小説や、 H.G.ウェルズのSF小説なども、、 それで本名のグリネフスキーという名ではなく、 欧米人のようなペンネームでファンタジックな作品を多数のこしたそうです。

なんだか、、 今、このときに、 クリミア半島で暮らしたこんなファンタジックな作品を書くロシアの作家にめぐり逢ったことが、 なんだか魔法のような気がしました。 毎日、 悲しい、 日に日に残酷さが増していくニュースを目にしていて 心が重くぎすぎすしている時に、 ロシアにもこんな夢みる世界を描いた作家さんがいたんだ、と気づけただけで 心がすこし軽くなったのです。。 もちろんロシア文学には好きな作品がたくさんあるし、 いまの軍事侵攻と文学はなんの関係もないことは判っているけれど、、 
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もっとアレクサンドル・グリーンの作品が読んでみたくなって、 いま いろいろ集めているところです。 (すでにいくつかは読みました。 とても好きになりそうな気がしています、、 そうよね、 アラン・ポーやスティーブンソンを好きな作家さんですもの)

、、 そうしてグリーン作品を検索しているときに、 ロシア大使館のこんなツイートも見つけました、、 https://twitter.com/RusEmbassyJ/status/1429784445469425672

ほんの7カ月前には愛と夢と冒険の物語を紹介していたのに…


世界はすっかり変わってしまいました。。 でも ひとびとの心のなかの 愛や夢までは変えられないはず… なによりグリーンの作品がそういう作品だと思うから。。


これから少しずつ作品を読んでいきます。



私にアレクサンドル・グリーンをおしえてくれた家の精さん、 ありがとう…


3月になりました…:ウクライナの作家アンドレイ・クルコフさん『ペンギンの憂鬱』

2022-03-01 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
・・・たった数日のあいだに 世界が目まぐるしく動いてくらくらしている。。

突然の軍事侵攻に憤り 戦下の人々を心配し、、 そのことに変わりはないけれど、、 欧州各国からの武器供与、 ウクライナのEUへの加盟申請、 スウェーデン、フィンランドもNATO加盟を協議… と ヨーロッパじゅうの安全保障の問題になってきている、、 こんな急速に状況が動くなんて思っていなかった、、

それにしても 小国ウクライナ政府の素早さには驚きというか、 感嘆すらしてしまう。 サイバー攻撃を受ければスペースXに助けを求め、 どの国も助けに来てくれないとなれば世界中に義勇兵を募る。 大使館もどんどん情報発信をして募金も人も支援もつのって世界の眼をウクライナへ向けている。。 考えられることはすべてやる、という姿勢。 この動きの速さがなかったら キエフはここまで持ちこたえていないかもしれない。

、、でも この目まぐるしい各国の動きが 戦火をとめられるのか逆に相手の怒りを煽り立てる結果になるのか、、 私にはぜんぜんわからない。。 


 ***

午後のBBCで ウクライナの作家 アンドレイ・クルコフさんにインタビューをしていた。 音声だけ聴いていて、、「ペンギンの…」と聞こえてきて それで、あれ?と思った。 
『ペンギンの憂鬱』(新潮クレストブックス)の著者のアンドレイ・クルコフさんの事だった。

『ペンギンの憂鬱』はもうずいぶん前に読んだので、 著者がウクライナのかただというのを覚えていなくて、 ソ連が崩壊したあとの・・・(どこだっけ?) という感じで、 物語の舞台がキエフ だというのもうろ覚えだった。 アパートでペンギンと同居する物書きの青年の話、、 ペンギンと凍った湖に行ったり、、 すごく可愛く書かれているけれど 不穏な物事に巻き込まれていく、、 そんな話だった。。
 
アンドレイ・クルコフさんは ロシア語で小説を書く、ウクライナの作家さんなのだった。 、、ほんと こういう認識が甘くて反省する、、。 ソ連時代の地図に含まれていた地域を今でも ロシアの一部のように思ってしまったり、 ロシア文学の翻訳家のかたが訳されていれば それだけでロシア文学だと思ってしまう。。

BBCのキャスターも クルコフさんに、 あなたはロシア語で小説を書きつづけているのは何故か? 親ロシア派をどう思っているか? というような随分きびしい質問をしていて(いま戦争の恐怖にさらされている人にそんなこと聞くなんて、と思ったけれど)、 でもクルコフさんは冷静に自分の考えを答えていた。 

クルコフさんは 現在もウクライナ国内にとどまっているらしい… 行く末を見届けると仰っていた。

 ***

キエフにだんだんロシアの部隊が迫っている。 EUや北欧の動きにロシアがどう反応するかが不安でたまらない、、 



21世紀の戦争は 物語とサイバー上だけにして欲しい。 




『ペンギンの憂鬱』アンドレイ・クルコフ著 沼野恭子・訳  新潮クレストブックス 2004年