星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

いにしえ恋ふる…

2022-05-27 | MUSICにまつわるあれこれ
昨日、 Porcupine Tree の新しい曲「Herd Culling」を聴いていて、 思わずクスッとしてしまいました。

Porcupine Tree - Herd Culling (Single Edit - Official Visualiser)

、、 2コーラス目からは オクターブ高い声で叫ぶように歌う声がきこえてきそう……笑

でもこれ好きです。 こういう 思わずニヤリとさせるような、 オマージュとかリスペクトとか大好きとかに溢れているサウンドは愉しいです。 ギターソロがもうちょっと聴きたいところで終わるのもイマドキ?

、、で、 昨日気づいたのですが ポーキュパイン・ツリー(←って書くの違和感あるな…ポーキュパイン・トゥリー、だよね)、、 って、 スティーヴン・ウィルソンしか知らなかったのですが、 現在 リチャード・バルビエリがキーボードなのですね。。

それでまた ドラムスもうまっ!! 巧いこと。。 Gavin Harrisonさん、、 クリムゾンに引き抜かれたのもわかります。。
Porcupine Tree - Harridan (Official Lyric Video)

新しいアルバム たのしみです。

 ***

話変わって、、 やたらと忙しい今週。。
ウィズコロナ生活にも慣れてきたせいもあって、 これまで躊躇しがちだったあちこちへの通院をしているからなのですが、、(眼科とか歯科とか…。 体調はすこぶる良いのでご心配なく、ね) 

時間のすき間をぬって せっせと「万葉集」関連の読書は続けています。 たのしい。。 昔にもいろいろと読ませていただいた 中西進先生の万葉集解説本も、 昔は歌の意味ばかりを追っていたのを、 その歌が詠まれた時代とか 人と人の関係性とか 詠まれた場所とか、、 丁寧にゆっくり読んでいます。


新たな 推し(?)のお方の御歌から、、。  天武天皇の第九皇子、 飛鳥時代きってのセンチメンタル皇子、 弓削皇子(ゆげのみこ)さまの歌、、

 霍公鳥(ほととぎす) 無かる国にも行きてしか その鳴く声を聞けば苦しも

ほととぎすは、 「いにしへに恋ふる鳥かも」と この方の別の歌にもありますが、 昔を恋しく思う鳥、なのだそうです。。 それで、 「昔ばかりを恋しく思い出させる霍公鳥のいない国に行きたいものだ、 その鳴く声を聞くと苦しいから」 と。。 

「昔を…」と言っても、 この皇子さまは27才の若さで早世してしまうので、 遠い過去などあろうはずがありません。。 おそらく誰か過去に恋したひとを想って、、の歌なのでしょう。。 「声を聞くと苦しいから」と言いながら、 ほんとうは声が聞きたくてたまらないはず。。

他の御歌も、 それはそれは せつなくて淋しげな、 とてもセンチメンタルな皇子さまなのです。。 

でも、、 前の日記に 近江の京のこと書きましたけれど、 近江京にしろ 藤原京にしろ、 平城京にしろ、 都が移って廃墟になって、、 地面の下の遺跡になってしまった後も、、 こうして その方の「歌」は千年、 二千年と 残るのですから、、 「歌」って、 言葉って、 素晴しいですよね。


 ***

明日は暑くなるとか…


素敵な週末をお過ごしくださいね。。

古くて新しい旅…

2022-05-19 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
GWに、 古都や古美術や民芸の雑誌を見ていて、 そこに白洲正子さんの著書がたくさん載っていました。

、、それで…  白洲正子さんの本… お名前は知っていても御本を読んだことがないな、、と思って、、 お能やお仏像はよくわからないから、、 なんとなく 『近江山河抄』という本を手に取りました。 旅の御本だと思って…

以前、 京都の南禅寺に行った時、 水道橋のところを歩いて、 それが琵琶湖からつづく 「琵琶湖疏水」だと知って、、 でもその頃はまだ船でびわ湖まで行ける観光船は無かったんです。 近年、 桜の季節に「びわ湖疎水船」が運航していると知って、、 いつか乗ってみたい!と思っていました。 近江にはそんな興味もあったのです。。



『近江山河抄』 白洲正子著 講談社文芸文庫


ところが…

最初の2ページ目でもう躓きました・・・

 「万葉時代に、すでに廃墟と化した志賀の都は、そのまま近江の国を象徴しているように見える。 律令制という、天智天皇の理想は、ここで発足したにも拘らず、完成したのは次の時代、飛鳥の京においてであった。 国分寺とその本尊の大仏が、創建されたのは紫香楽(しがらき)の宮だが、実現したのは奈良の都である…」(『近江山河抄』より「近江路」)


  ・・・ はい?? ・・

本当に恥ずかしいばかりですが、、 近江に京(みやこ)があったことすら知りませんでした…(日本史でやったとしても覚えてませんでした) 、、 奈良の大仏さまって、紫香楽(信楽)でつくられたの?? それも知らない…

、、 天智天皇のお名前は知ってますが どんな時代でどんなことをなさったのかは……。。(恥)  万葉集が好きですなどとここに書いたかもしれないけれども、 政治や地理的なこと、 よく知らないままでした。。 藤原京、 平城京、 平安京、 というのがあったのはなんとなくわかるけれど、 近江の京のことは全然わからない…

 ***

万葉集のお勉強は、 いつかちゃんとしたいと思っていました。。 
高校生のときに出会った、高橋虫麻呂さんの長歌については自分で何冊か本を読んだりしましたが、 どんな時代背景があって、 当時はどんな国で、 虫麻呂さんは遠く筑波山や千葉県や、 西は兵庫県での歌をのこしていますけれど、、 そこにどんなお仕事で赴いたのかとか、、 ずっと知りたいと思っていましたし…

、、ということで

虫麻呂さんに限らず、 万葉の時代のこと、、 近江の遷都のことも含めて いろいろなこと知りたいと思います。

ミステリ読書も 海外小説も 漱石先生も、、 いろいろ読みたい本はたくさ~んあるのだけれど、、 これを機会にまずは万葉集の時代へ、、

旅したいと思います。。


 「あかねさす 紫野行き標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」
という(あまりにも有名な)万葉の恋の歌の舞台が、 蒲生野という滋賀県の琵琶湖の東にある場所だということも、 白洲さんの本で知りました。。

少しずつ、、 『近江山河抄』の舞台も すこしずつ理解できるようになってきました。



とっても古くて 私には新しい旅、、 いにしへの京へ。。


ではまたね…

雨の週末に…

2022-05-13 | MUSICにまつわるあれこれ
なんとなく音楽が聴きたい今日…

ひさしぶりにARTE TVのサイトを見たら、 アヴィシャイ・コーエンさんのライヴが載っている♪

Avishai Cohen Trio (arte.tv)

ドラマーさんがずいぶん若い女の子に見えたので お名前検索したら、 まだ21歳で昨年からツアーに参加し、 彼女は音楽院を昨秋卒業したばかりですって。。 ロニ・カスピさん、 とってもしなやかな生き生きしたリズムを刻むかたです。

ピアノの音色もとっても柔らか。。 ファツィオリのピアノだから…? 透明感のある…

アヴィシャイ・コーエンさんと以前のマーク・ジュリアナさんとのトリオのアルバムも よく聴いていましたが、 今度の新しいメンバーでの音、、 ほんとしなやかで、 梅雨のはしりのようなこのところの雨空を心地良くしてくれるような音色です。。 雨に濡れてさらにみずみずしさを増す緑のような…

まるでエレピのようにも聞こえる柔らかいピアノが 普段ならあんまり好みの音色ではないけれど、 トリオで聴くと丁度良いかな… 生音で聴いてみたい… ベースがきっと体に響いて、、 ドラムスが空間をかけめぐって、、 良いだろうな。。。

タワレコさんにトリオの新しいアルバムとメンバーの紹介記事が載っていました。
https://tower.jp/article/feature_item/2022/04/18/0101


ARTE CONCERT でその前に聴いていた(読書していたので画面は余り見てなかったけど) 久石譲さんのパリ公演もとても素晴らしかったです。

 ***

Billy Howerdel さんの新譜 6月10日に出るって。。 春に… と前に書いてあったのを読んで、、 でもそれから情報がなくて 春が終わっちゃうよ… と思っていた矢先でした。。 
第2弾の曲も公開されていました。 ビリーさんらしくて聴いていて安堵します。。 ホッとするような楽曲ではないのかもしれないけど、、 私にとっては精神安定剤になり得る音。
Billy Howerdel - Free And Weightless


これ書いている間、、

アヴィシャイ・コーエン・トリオの演奏はまだ続いています…


明日も聴こう…  雨の週末におすすめ…


旅気分… 

2022-05-09 | …まつわる日もいろいろ
GW後半の一日、 加賀料理をいただきに出掛けました。

お店で食事するのは じつに2年3カ月ぶり。。 銀座へでかけたのは・・・ もう思い出せないくらい。。 このペースでいったら 次回はもう腰の曲がったおばあちゃんになってるかも…?




加賀料理はとても好きなのです。 名物の治部煮もずっと食べたいと思っていました。。 お酒も美味しい土地ですしね。。




使われている器もみな、 地元の作家さんのものだそうで、 お酒には沢山の綺麗なぐい吞みから好きなものを選んでいただくことができます。

、、気づいたのですけど… 盃のくちの広い丸い器でのむ時と、 ちいさな四角い升型の器(写真の下に写っている金色の四角の)でのむ時と、、 同じ種類のお酒なのに味が変わるの…! あれ?と思って、 一緒にお食事した友と器を交換してみて、、 「ね? そうよね? やっぱり味が変わるわよね?」…って。

広くて丸い器でいただくとまろやかな味がふわっとひろがって、、 一方 四角い器でいただくとよりエッジの立ったお味がする。。 たぶん… (勝手な想像ですけど) 丸い器だと口の中ぜんたいにお酒が触れて、、 升の器だと角の部分から飲むので 細くお酒が入ってきます、、 その違いで味の感じ方が変わるのではないかと…

だから それぞれにお好みの器で お好みのお酒に合わせた飲み方が見つけられるのでは…? と、 なんだか 面白い発見でした。。 

 ***

金沢へ旅したのは、、 もう25年以上も前になります。。 寒い季節で、 雪の降る茶屋街も風情がありました。
金沢城だったか、、 たくさん歩き回って身体が冷えきった後、 どこか駅ビルのような場所の食堂でいただいた 治部煮うどん、、 美味しかった~~。


旅先の、 なんでもない場所でふいに出会った美味しいものの思い出、、 結構あります。。 もちろん料亭やレストランでの食事も美味しいですが、、 歩いて歩いて くたびれて それで辿り着いていただいたものは なぜか忘れられない…

奈良の元日、、 東大寺や春日大社や いっぱい歩き回って、 奈良公園のほうまでずっと歩いて、、 元日だから閉まっているお店も多くて、、 それで見つけたおばあちゃんのやっている食堂。 うどん定食に添えられていた 厚焼き玉子がおいしかった~。 

大晦日の札幌、、 どこかの居酒屋さんの 一夜干し氷下魚がおいしくて美味しくて、、 つい飲み過ぎて、 ほんとうは大通公園の時計台のまえでハッピーニューイヤーを迎えようとしていたのに、 大通り公園へ向かって走っている途中で 赤信号待ちの新年の時報~~ 、、とか。

お正月の京都、、 十年に一度とかいう大雪の銀閣寺、、 深々と積もった雪を踏んで参拝を終えたのは良いけれど、、 路線バスなど待ってても待っても全然。。 余りに寒いので甘味処さんをみつけて そこでいただいた大きなお餅のお汁粉。。

これまた真冬の小樽、、 もう日暮れて灯りがともる頃 なぜか港を見ようと。。 雪かきもされていない道をざっくざっくと漕ぐように進んで、、 人っ子ひとりいない港、、 外国船をながめて、、(なんでこんなことしてるの…?) と思いつつ、 また雪の中を運河まで戻って、 それであの美しいホテルでいただいた珈琲。。 

、、 やはり真冬の思い出 多いですね。 働いていたから年末年始のお休みくらいしか旅行は出来なかったから。。 でも、 寒さや疲労と、 旅の風景や美味しさの思い出が一緒によみがえるのは、 体験すればこそ の貴重な記憶。。

 ***

今年のGW、、 コロナの制約なしの休日ということで どこもとても沢山の人出でしたね。 2年ぶり、 3年ぶりの旅行を誰もが心待ちにしていたのがよくわかります。 それほどに、 《どこかへ行く》 という事が簡単ではない世の中になってしまったのですね。。

自分だって… この数年のあいだにコロナの自粛と自分の手術とで、、 大好きだった山への旅行も今となっては、 3時間の列車と1時間半のバス、それから何キロかの山歩きを考えると、、 もう出掛けるにはハードルが高くなってしまったことに気づきます。 あの場所へ…… もう行けないかもしれない……


コロナ以降、、 《どこかへ行くこと》の意味がほんとうに大きく変わりました。

どこかへ出かけることが難しいのなら、 拠点を変える、という発想も。。 移住、ですね。 住まう拠点を移して 行きたい場所を手もとに引き寄せる。。 それもありかも…


そんなことを考えながら 古都や民芸品や、、 はたまた大自然や聖地や、、 雑誌のなかで眺め暮らしていた休日でした。




さあ 新しい一週間です。


また日々のお仕事にいそしみましょう。

パラレルな80年代…

2022-05-02 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
5月になりました。 GWの中間 、、遠出もしないので 冬物のお片付けなどしています。

前回の日記に引用をあげた本、、 エイドリアン・マッキンティさんによる刑事ショーン・ダフィ・シリーズの読書は3冊目に入りました。




北アイルランドを舞台にした、 当時の政治や社会情勢、 それから当時のポピュラー音楽が事細かく物語に反映されている小説で、 第一作は舞台が1981年、 サッチャー政権下のベルファストではIRA暫定派の囚人たちのハンガーストライキが続いている。 第二作は82年、 フォークランド紛争が勃発、、 そんななかで北アイルランドでは毎日どこかで爆発や暴動や放火やテロが起きている。。 その日常が(ありえないような日常なのだけど) 地元で暮らしていた著者さんが書くのだから真に迫る、、

、、その1981年や82年の 極東の島国ではティーンエイジャーの私が生きていて、、 なんだか、、 パラレルワールドを生きているよう。。。 
サッチャー首相やIRAやフォークランドや、 そんな同じ出来事が起こる時間に生きているのに、 まったく知らない別の世界がそこ(本)で動いている。。

毎朝 仕事に出かける前に、 爆弾が仕掛けられていないか車の下を覗き込むのが命を守るルーティンだなんて…。。

噛み合うのは音楽のネタが出てくるとこだけ…。。 でも、 主人公は81年当時で32歳くらいだから ずいぶんと年上。。 第二作で彼が聴くのは マーヴィン・ゲイやニック・ドレイクやヴェルヴェット・アンダーグラウンド、、 それから 《いい》ツェッペリン…笑

、、 いつブームタウンラッツやU2が出てくるだろうと思うのだけど出てこない。。 北では聴かれてなかったのかな… でもブロンディはお気に入りみたい…


 ***

GWに入って、 ハードボイルドの読書はひとやすみして、、 芸術新潮のバックナンバーを眺めています。 楳図かずおさんの特集号。



この春に開催されていた 楳図さんの「ZOKUーSHINGO」の美術展、、 見に行きたかったけれど行かれなかったので 雑誌でその制作の様子や 楳図さんのインタビューなど読んで 85歳で101枚の新作を描かれた凄さに感動しています。

、、と言っても 私、 楳図さんの『わたしは真悟』を知らないのです。 さきほどの話に繋がりますが、 『わたしは真悟』は82年から連載が始まったそう、、 同世代の友は読んでいたそうです、、『AKIRA』と一緒に、、って。  わたしは『AKIRA』だけ単行本化されてから…

ここでもパラレルワールドを感じます。。 自分の生きていた世界の ちょっと離れたところに、 楳図さんの『わたしは真悟』を読んで82年を生きていた君がいる。。

世界は一様ではないんだな、、と 今ごろあらためてそんな事を思っています。 世界という大きな樹があるとしたら、、 自分が生きてきた人生は 大きな幹のほんの細い面から見た世界で、、 裏側へ廻ってみればぜんぜん別の面が見える、、 


近頃、、 年を重ねていくのもいいな、、と思えます。。 こうして、 小説のなかで 北アイルランドから見た自分の知らない80年代の世界を読んだり、、 楳図さんが80年代に 『わたしは真悟』を通して見ていた世界を 今から振り返ったり、、 そうすることで 別のパラレルワールドを知ることが出来るから。。

自分が生きていたあのとき、、 その時間のちょっと向こう側で あなたは、、 他の人は、、 こんなふうに生きていた、、と。

自分の生きていた時間のなかでは、 それなりに精一杯生きていたとしても やっぱり些細なことに気を取られて ちいさな身の周りで精一杯で、、 でも いろんなパラレルワールドを知ることで 同じ時間をなんども生き直すことが出来る。。 そう思うとなんだか面白い。


 ***


ゴールデンウイークの後半は お天気に恵まれそうですね。


よい時間をお過ごしください。